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鈴子とチカン

作者: 草月叶弥

……チリン……


人気のない路地に甲高い鈴音が響き渡る

慌てて振り返るがそこには誰もおらず、チリチリチリッ連続して鳴る鈴音と同時に感じる、局部への違和感。


「まぁたお前かぁぁぁぁ!!!」


「やぁ~ん、捕まっちゃったぁ~」


大事な息子をわし掴みにしてきた腕をつかみ上げて叫ぶと、彼女は悪びれもせずーむしろ嬉しそうにーそのまま抱きついてこようとした。


「……………ふんっ!」

抱きつかれる前につかんだ手を振りほどいてダッシュで距離をとる。

その距離、約5メートル。

そんなにとるのかよ!思うなかれ。彼女はこのくらいの距離ならば一瞬で詰め寄ることができる脅威の身体能力を持っている。

だからこそ、鈴なんて音のでる物を身に着けたまま、チカン行為を成功させることができるのだ。

まぁその素晴らしい身体能力をチカン行為に発揮させているド変態ではあるがな!!


「あ~!逃げられちゃった~!!

 そろそろパターン覚えられちゃったみたいだし、次からは別の方法考えなきゃ~」


何か物騒な言葉が聞こえた気がするが、気のせいに違いない。


あーあーあー!

俺には何にもきーこーえーなーいー!!!!


彼女ー鳴海鈴子、14歳ーは鈴音を響かせながら日常的にチカン行為を行ってくるド変態である。

本来ならば警察にでも通報すればいいのだろうが、俺のような身長が180㎝を越えるような男子高校生が鈴子のような160㎝にも満たない、見た目だけなら可愛らしい部類に入る女子中学生にチカンされているだなんて誰が信じてくれるのか。

少なくとも、俺なら信じない。


「お前…いい加減にしろよ。

 毎日毎日変態行為にいそしみやがって…俺に何の恨みがあるんだ!!」


「おーこーらーれーたぁーヽ(≧▽≦)/キャハ」


「喜んでんじゃねぇよ!!!」


おい、誰か。こいつと会話して意志疎通してくれ。俺には無理だ。


「鈴はぁ~先輩の事が好きなだけですよぉ?

 好きな人のことは触りたくなるじゃないですかぁ~」


こてん、と首を傾げる様子はメッチャ可愛い。


散々、罵倒しておいて何言ってんだと思われるかもしれないが、鈴子の顔や身体はオレの超好みである。

さっらさらのちょっと茶髪がかった髪もくりっとしたアーモンド型の瞳もちっこいくせに出るとこ出てる身体もかったるい喋り方も全て好みだ。

人のち○ぽ掴んでくるド変態だけどな!!


「触りたいなら普通に触れ。触らせてやるから。

 だから股ぐらや尻はめろ!ここは女子中学生が気軽に触っていい場所じゃねぇ!!」


「でもぉ~相手に愛情を伝えるためにはソコを掴むのが一番いいって~」 


「誰だ、そんな嘘を教え込んだヤツは!」


「?おじいちゃまですよぅ~??」


どこの誰だか知らないが、孫に嘘八百教えてんじゃねぇよ!


「それでぇ~先輩、今、触っても良いって言いましたよねぇ~?初めての時、触ったら怒ったのに、何でですかぁ~?」


「知らない奴にいきなり二の腕まさぐられたら誰だって怒るわ!!

 むしろそっからチカン行為に走るお前の行動が意味わかんねぇんだよ!!」


ぜぇはぁ、ぜぇはぁ。


やっべ、叫びすぎて息切れしてきた。この後、鈴子から逃げ出すっつー重大イベントが残ってんのに。

息を整えながらじりじりと鈴子から距離をとる。


勝負は一瞬。

それを見逃したら今日もまた遅刻だ。


「じゃあ、何で今は触ってもいいんですかぁ?」


「んなもん、お前に惚れたからに決まってんだろうが!」


「………ふぇ!?」


俺の言葉にぽかんと口を開けて固まる鈴子。

あーすげぇ可愛い。抱きしめたい。

でもここでそんな事したら遅刻決定だから俺は鬼になるぜ☆


「そゆことだから!じゃあなっ!!」


固まる鈴子を放置して、俺はダッシュで学校に向かった。

振り向く余裕なんぞカケラもない。再起動した鈴子に捕まる前に校門をくぐれなければ俺のサボリは決定する。


正直な話、次、遅刻したらヤバいんだよ!!


「えぇ~!?言い逃げ!?言い逃げですかぁ~!?待ってくださぁぁぁぁ~い!!」


「誰が待つかぁぁぁぁ!!!」


全力で走る俺の顔は、多分、真っ赤だ。

追いかけてくる鈴子の顔も(見てないけど)多分、真っ赤だろう。


通学路を走り抜け校門をくぐり、教室にたどり着いた所で俺の気力は尽きて机に突っ伏した。


あーもう、普通に告るつもりだったのに鈴子のせいで全部台無しだ。

逃げる為とはいえ、言い逃げとか年上男子としてあるまじき行為じゃねぇか。


汗だくで悶えている俺を級友達は遠巻きに見ているが、そんなもんに反応する余裕は今はない。


とりあえず絶対帰り待ち伏せされてるだろうから、そん時に仕切り直しだな。それまでに鈴子がどんなふざけたことをしてきても良いように心の準備をしとかねぇと今朝の二の舞になりかねない。


ふうっ……と息を吐いた所で一限目の始まりを告げるチャイムが鳴った。


俺の可愛い変態年下女も、今頃教室で悶えているのだろうか……


そう考えると、ニヤニヤが止まらない。


なぁ、鈴子。今まで押されっぱなしだった俺だけど、こうなった以上、遠慮はしねぇから覚悟しとけよ?


そう呟いて、俺は窓から見える空に向かって微笑んだ。






FIN

こんなんなったけど、よかったですかね?

ノリと勢いだけで書き上げました!楽しかったです!!

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