つ『俺と姉さんのバレンタイン』
気付けば10万PV越えていまして、個人的には記録更新となりました。
皆様、本当にありがとうございます。感謝、感謝です。
『恒例のアレ』です。せっかく番外編なので、ふつーのラブコメ、やります!
物語が始まる前のバレンタインデー。まだ杏月も帰って来ていない、委員長もそこまで親密でない時期のお話です。
二月十四日と言えば、バレンタインデーだ。
最も、姉さんに四六時中纏わり付かれている俺にとっては、本当に何の意味もないイベントな訳だが。
いや、そもそもバレンタインデーなどというイベント自体、元来日本には定着してこなかった習慣であってだな。
愛する人にチョコレートを、などという謳い文句でチョコレートを送ったのが日本式バレンタインデーの始まりではあるが、きっとその時から――俺のような人間にとっては、心底残念なイベントの一つとなってしまったのだと思う。
ベッドから起き上がり、目覚まし時計を止めて起き上がった。青い掛け布団を剥いで、その寒さに身体を震わせる。
やれやれ。今年もこの日が来てしまったか。
「うげー、雪降ってんじゃん」
まずカーテンを開けた第一声はそれだ。子供の頃はその街並みが純白になっていく様子に惚れ惚れもしたが、時が経ってしまえば雪など通学の進路を妨げる障害物でしかない。
その昔は雪を食べたりなんかしていたよな、なんて古き良き日の事を考え、俺は部屋を出た。
居間に向かうと、お袋が既にテレビを見ながら、焙じ茶を飲んでいる。俺はエアコンのがっつり効いている部屋に座った。お袋は寒いのが苦手なのだ。
ちなみに、親父はニューヨークかなんかに行っているらしい。理由は相変わらず分からない。
「母さん、飯」
「……あ、ああ、はいはい。今日はお姉ちゃんが起きてないから、すっかり忘れてたわ」
また、チョコレート作りに励んでいるのだろうか。昨年は大変だったな。帰って来て俺の部屋の扉を開いたら、姉さんが全裸にチョコレートを垂らして俺の帰りを待っ……
この件についてはもう、考えるのはよそう。
「なんだか、お姉ちゃん具合悪いみたいで。純、今日は一人で学園行ってね」
……なんだって?
俺は立ち上がった。
「ちょっと、姉さんの様子見てくる」
飯の支度を始めるお袋を横目に、再び階段を上がって二階へ。俺の隣の姉さんの部屋をノックすると、何やらガタガタという音の後に頼りなさげな声が聞こえてきた。
「きゃっ……だ、誰?」
「姉さん? 大丈夫?」
俺は扉を開いた。
「純くん」
女性らしい、桃色基調の部屋。姉さんはベッドに潜っていた。俺は姉さんのベッドの隣まで歩くと、姉さんの顔を見るために屈み込む。
……うーむ。確かに、頬は赤い。風邪を引いてしまったのだろうか。俺が心配している事に気付いたのか、姉さんは微笑んだ。
俺は姉さんの額の温度を確認。熱はないようだが……
「大丈夫? 今日、会社休む?」
姉さんは何も言わず、静かに頷いた。
――やれやれ。
今年のバレンタインデー、俺が貰えるチョコレートはめでたくゼロと決まりました。なんてこったい。学園の人に貰えるとも思えないし、寂しい一日になりそうだ。
★
姉さんが俺にべったりなせいでクラスの女子どころか男子にまで避けられている俺にとって、バレンタインデーの一日を学園で乗り切るのは修羅の道。誰が誰にチョコをあげた、などという会話を横で後ろで聞きながら、ぼんやりと一日を過ごす事になる訳だ。
雪道をザクザクと踏み締めながら、俺は猫背で歩いた。……うー、寒いな。今日の最高気温何度だよ。
日本の関東ってやつはホワイトクリスマスには滅多にならない癖に、ホワイトバレンタインデーになる確率はそこそこ高いときている。個人的にはホワイトチョコレートはあまり好きではないが、きっと今日みたいな日はそういうものを渡す人間も多いのだろうな。
姉さんが居ないと会話をする相手も居なくて、かなり暇だな。周りでは、一人の俺を見てコソコソと話をしている女生徒が見えた。……なんとでも言うがいいさ。別に俺、姉さんに振られた訳ではないから。
いや、そもそも付き合っていないんだけどね。
「おはよー、りっちゃん!」
「おはよ、瑠璃」
道路の反対側に、見覚えのある顔があった。あれは委員長じゃないか。何やら友達と話しながら、楽しそうに歩いていた。
……まあ、今日はバレンタインデーだからな。委員長も、誰か気になる人にチョコレートをあげるのだろう。
恋せよ乙女。今日だけは、ただでさえ面倒な女子の恋愛話に火が点く日なのだ。
隣の女の子は何やら顔を真っ赤にして、もじもじと委員長に話し掛けていた。
見える、見えるぞ。あの女の子は、大方クラスのサッカー部の誰かとか、野球部の誰かとか、エース的なイケメンに恋しているのだ。話し掛けられもしないが、今日という一日を使ってどうにか、一生懸命に作ったチョコレートを気になるカレに贈ろうとしているのさ。
委員長が拳を握りしめて……あれは応援だな。間違いない。チョコレートを渡す計画について相談しているようだ。
下駄箱に入れるのは? ……ううん、それはできないよ。誰だか分からないと嫌だし……でも、渡せないより良いよ。だって……
何故か委員長と隣の女の子の会話を勝手に想像して、無駄な一人妄想をしている俺だった。
「……ねえ、シスコンがなんか他の女子見てるんだけど」
「うわあ! キモい」
いけね、ちょっと見過ぎたか。俺はすぐに視線を雪道に戻した。
……良いじゃん、見るくらい。まあ、あんまりジロジロ見ていたら確かにそれは変だけどさ。
並木道を歩いて、学園の敷地内に入った。……はあ。ここからが大変だ。
いや、大変な事など何も無いのだが、精神的に大変だ、という。
「おう!! おはようー!!」
何故か、後ろから肩に腕を回された。……誰? こいつ。茶髪に豪華な青メッシュを入れて、無駄に派手な髪の毛をしていた。バンドか何かだろうか。
背は低い。俺と同じか、もしかしたら少し低いくらいだ。俺はつい、下から上までをずい、と見てしまった。
「なんだよ、オメー誰だよ」
お前が誰だよ。俺が訝しげな顔をして見ている事に気付いたからか、派手な男は俺にウインクをして――キモいわ。親指を真上に立てた。
……あ、話し掛けられたせいで委員長を見失ったな。もう、学園に入っただろうか。
「なあ、お前今日いくつ貰えると思う!?」
「……何が」
「何がじゃねーよ。チョコだよチョコ。ショコラティーヌだよ」
「ショコラティーヌってのはパン・オ・ショコラの南西フランスでの呼び方だから、菓子パンであって所謂チョコレートではねえよ」
「え!! 何、そうなの!? お前頭良くね!?」
『頭良くね!?』という台詞が妙に馬鹿っぽい。いや、言動が全体的に馬鹿っぽい男だった。
ショコラティーヌというのも、おそらく適当に言ったのだろう。
「俺とチョコ貰える数競わねえ? 史上最強のゲスバトルしねえ?」
「しないよ。貰える可能性、ないし」
「そうかそうか!! ないか!! あっはっは!!」
俺がそう言うと、男は楽しそうに笑った。……なんか、腹が立ってきたぞ。何なんだコイツは。いや、誰なんだ。
派手な男はキメ顔……と言うには、少し三枚目過ぎるが。格好付けて、左手で下顎を撫でた。
「それじゃあ、俺様がハイパーチョコレート王子になるのを応援していてくれたまへ。庶民よ」
そう言い放つと、さっと身を翻して、高笑いをしながら男は去って行った。……本当、誰なんだよ。一体何なんだ。
……あ、名前聞くの忘れた。まあいいか、覚えても仕方ないし。
俺も学園に入り、下駄箱を開けた――……
――なん、だと。
「……チョコだよな、これ」
その下駄箱には、チョコレートが入っていると思わしき銀色の箱が。……随分高そうな箱だな。誰が贈ってきたんだろう。
裏側を見ると、そこには二階堂レイラと言うらしい女性のメッセージカードが入っている。
……何、このアレな名前。どこぞのアニメで見掛けるお嬢様のような。
メッセージカードにも、「わたくし」だの「ですわ」だの、それらしい言葉が目立つし……。もしかして、もしかするとこれは天然記念物級のアレなのだろうか。
B組の二階堂レイラか。……ちょっと後で、聞いてみるか。
銀箱を鞄に突っ込むと、俺は靴を履き替え――
「……あ」
――委員長と鉢合わせた。
委員長は俺の鞄を見詰めたまま、石化していた。……どうしたんだ? その両手に抱えているプリントは、多分うちのクラスの物ではないだろうか。
「おはよ、委員長?」
まるで今まで魔法に掛けられていたかのように、委員長は飛び跳ねるように俺の言葉に反応して、引き攣り笑いを浮かべた。
「おは!! おはおはおはようほか穂苅君!! すごいね!! 私びっくりだあ!!」
……チョコレートの事だろうか。俺もびっくりだよ。
それ以上に、何故か挙動不審になっている貴女にもびっくりだよ。
「どうしたの?」
「いや!? 何でもないよ!! ねえ、すごいチョコレートだったね。誰から?」
「B組の、二階堂って人からだったよ」
「へー。穂苅君って散々噂されてる割に、意外とモテるんだあ。……へー」
……どうして、何度も頷くのだろうか。委員長は笑っているが、目が笑っていない。
冗談混じりに、俺は聞いた。
「何、もしかして委員長も俺にチョコくれる予定だったり?」
言うと、委員長は飛び跳ねるように……飛び跳ねた。俺から離れる方向に。
「え!? ううん、私は別に……あ、いや、一応義理だけど渡しとこうかなって。いつもクラスの皆にはお世話になってるし、義理でね。義理だけど良ければ、私の義理を受け取ってください」
「……そんなに義理義理言わなくても良くない?」
「あ、いや!! 義理じゃないよ!? お世話になってるのは本当だけど、でも本命ではなくてね!?」
何を一人で慌てているのやら。その様子が面白くて少し笑ってしまったが、委員長は小さな袋を俺に差し出した。
……おお。まさか、本当にくれるとは。俺は袋を受け取って、委員長に笑った。
「ありがと、委員長。後で姉さんに見付からないように食べるよ」
「私のは義理だけどー……今日は本命が貰えるかもね!? ……なーんて。先、教室行ってるねっ」
委員長はそれだけ言って、走って去って行った。……元気だなあ、委員長。本当に良い人だ。
巡り巡って、まさかこれが本命だったり……ないない。何度も義理って言われた事だし、俺が勘違いするのは迷惑行為に等しい。
何だか、今日は幸先良いな。姉さんは風邪でダウンしてしまったが、代わりに女子からチョコレートを二つも貰えたぞ。
俺にしては素晴らしい成果ではないか。
……浮かれてないで、授業に戻ろう。しかし、二階堂さんってどんな人なのかな。
付き合ったら姉さんに殺されそうだけど。……いや、そんな事言ってても始まらないか。
★
あっという間に放課後になってしまい、俺はすぐに荷物をまとめて席を立った。
さっさとB組の二階堂さんを探さないと、帰ってしまう可能性もあるからな。今日は姉さんも休みだし、誰に追われる事もない。
俺はB組の教室を目指した。
もしかして杏月が帰って来ていれば、チョコレートをくれたかもしれないが。
ああ。目に浮かぶなあ。『お兄ちゃん、いつもありがとう!! 大好き!!』とか言って、両手でチョコレートを渡してくる杏月の姿。あの小動物っぽさは、姉さんにはない愛らしさだよな。
きっと、さぞ学園でもモテる事だろう。今は海外に行っているが。
そういえば、海外ではチョコレートを贈る習慣なんていうのは無いわけだから、杏月が一生懸命チョコレートを作る事も無いんだよな。
それはそれで、少し寂しい。
「……ですから、今朝のわたくしのチョコレートについて、感想を頂きたいと言っているのですわ」
……おや? この喋り方って、もしかしなくても一人しか居ないのではないだろうか。
曲がり角を曲がると、俺はその人物を見た。
背が高い! 姉さんと同じくらいはあるだろうか。腰まである、ゆったりとしているが癖の強いウエーブの金髪。鼻が高くて、少し外国人っぽい見た目だった。……いや、外国人なのか? 瞳は青いし、肌は白い。
話し掛けられているのは、これまた背の高い短髪の男子生徒だった。見るからに、運動部系の奴だ。
「いや、感想も何も……。俺、受け取ってねえし……。ご、ごめん。練習があるから、それじゃ」
「ああ!! お待ちになって!!」
――その一瞬で、俺は全てを理解した。
「貴方が好きです!!」
ああ。これは、良くない所を見てしまったな。
短髪の男子生徒は苦笑して、二階堂さんを見ている。
「自己中心的、タカビー、取り巻き多数……ちょっと、悪名高すぎて俺には……ハードル高いんだ。ごめん」
「たかびっ――――!?」
短髪の男子生徒はそう言うと、走って逃げて行った。
……勿論、二階堂さんから。
放心した亡霊のような顔で、二階堂さんはその場に崩れ落ちた。……これ、どーすんだ。俺、この状況で実は自分が持ってる、なんて言えない……。
でも、このまま貰って行く訳にも行かないよなあ……。
……うーむ。
「……なっ!? 何ですの貴方!! 散りなさい!! 趣味が悪いですわよ!! 変態!!」
なんか、可哀想になってきた。
俺は二階堂さんに歩き、鞄の中から銀箱を取り出した。
二階堂さんの表情が固まった。
「えっと……。俺の下駄箱に入ってたよ、これ……。間違えたんじゃない?」
……あーあ。言ってしまった。
見るからにプライド高そう……というか、お約束なキャラクターっぽいし。自分に落ち度があったのは、ショックを受けるんだろうなあ。
ああ、泣くなよ。まるで俺が悪い事をしたみたいじゃないか。
背が高くてスタイルが良いだけに、子供のようにぼろぼろと涙を流す様は結構衝撃的だ。
「……あっ……あなたっ……」
「残念だったけど、まあこれだけでも受け取って貰いなよ」
二階堂さんは俺を睨み付けて、
……え?
「あなたっ……よくも、よくもわたくしのチョコレートを奪いましたわね――――!?」
――――えー……
「いや、だからこれは俺の下駄箱に」
「返しなさい外道!! ぜったい……絶対に許しませんわ!? この屈辱、覚えておきなさい!!」
二階堂さんは鼻を鳴らして、俺から銀箱を奪い取り、両足を踏み鳴らして去って行った……
え、何これ。俺が悪いの……?
「帰ろう……」
なんか、無駄に疲れたなあ。……どうしてこんな事に。
俺は溜め息をついて、下駄箱へと向かった。結局、青木さんが義理チョコをくれただけで終わったか……。まあ、何も無いよりは遥かにマシか。
下駄箱を開けた。
あれ。なんか入ってる。
今度は高そうな箱ではないが、一生懸命手作りした、って感じの箱だ。また誰かが間違えたのかな。
俺は箱の裏を確認した。
……メッセージカードも、名前も入っていない。
まいったな。これじゃ、返しようがないぞ……。
もしかして、本当に俺にくれたとか。
いや、ないない。落ち着けよ。さっき身に沁みて分かったじゃないか。シスコン扱いされてる俺にチョコなんて来ないって。
……まあ返す当てもないし、貰っておくか。いい加減、これは間違える方が悪いよ。
誰も食べてあげないというのも、チョコレートが可哀想だし。本来受け取る予定だった人の分まで、美味しく頂くことにしよう。
俺は箱を鞄に入れると、外に出た。
「あうっ」
え? ……誰か転んでいる。滑ったようだ。雪、それなりに積もってたからな……。俺は走って、その女の子に近付いた。
「大丈夫?」
「……あ、は、は、はい。ちょっ、ちょ――っと、急いでいたので、転んで、しまって」
あれ? どこかで見たような顔だな。同じクラスだったりするんだろうか。このオレンジの長髪とリボンには、どこか見覚えがあるような気がした。
……あ、そうだ。朝、委員長と二人で歩いてた。
「ほあああああ――――!!」
……何?
何で俺の顔見て叫ぶの?
「ご、ご、ご、ごめん、なさい――――!!」
物凄い勢いで立ち上がり、俺に頭を下げると、女の子は猛スピードで逃げて行った。……また転ぶぞ、あんなスピードで雪道走ったら。
……本当に今日は、何なんだ。
「オレは……オレは神になるんだあ……。……そうだ、自己チョコ買おう。山のように買って、オレにプレゼントするんだ……」
……あ、今朝の青メッシュの男。
一個も貰えなかったのか……。なんて不憫な奴……
★
今日の戦績!
義理チョコ(青木さん)。
本命チョコ(無名・ただし勘違い説強し)。
……せつない。
俺は溜め息をついて、家の扉を開けた。
「純くん、おかえり!!」
扉を開けるなり、抱き付かれる俺。そのまま頬擦りをされた。姉さんはいつものピンク色のエプロンで、俺に胸を押し付けてくる。
おお。あまりのせつなさに、姉さんの身体をもって密着されても身体が反応しないぞ。これはもうけだ。
「じゃなくて、扉閉めたいんだけど……」
「え? 何が、じゃなくて?」
「いや、こっちの話」
扉を閉めると、ふわりと甘い香りが漂ってきた。姉さんは改めて俺と目を合わせると、だらしない顔で微笑んだ。
「――へへっ。純くん、来て来て」
「な、何?」
「はやく靴脱いで!! こっち来て!!」
「はいはい、ちょっと待って……」
俺は言われるままに、靴を脱いで居間へ。……姉さん、驚くほど元気じゃないか。
そういえば今朝、熱もなかったし。もしかしてこれは、仮病で会社を休んだクチかな。そんな事を思いながら、廊下をスキップする姉さんの後ろを歩いた。
居間のテーブルを見ると、そこには山のようなケーキが――……
「おおっ!? ……こ、これは?」
「ケーク・オ・ショコラ、ザッハトルテ、ガトーショコラ、フィレナワール、それからエクレア!! トリュフも生チョコもあるよ!!」
居間に広がる、物凄い量のケーキとチョコレート。俺は外套とマフラーを取ってそのテーブルの前に座らされ、姉さんも隣に座った。
姉さんは、まるで猫がじゃれつくような雰囲気で、俺に頭を差し出すとはにかんだ。
「ほめて、ほめて」
「……ああ、はいはい。ありがとう」
「えへへー」
……くそ、可愛いな。
家族チョコがどう、とは言うが。
これはどう見ても、本気チョコだろ……いや、分かってるけどさ。
「ねえねえ、純くん!! あーんしてあげる、あーん」
「い、いいよ自分で食べるよっ。いや、その前に一度手を洗いたい……」
――ちょっとだけ嬉しくなってしまったのも、また事実か。




