明日の空
気がついたら僕は思い出を追っていた
あの日の空
あの日の夜
あの日の夢
秘密を隠した僕にまとわりついたのは、ただ生ぬるいだけの風だった
いつまで僕は戻れるのだろう
いつまで僕は歩けるのだろう
空が泣き出した頃、僕はなにをしていただろう
小さな過去が連なって今ができ、小さな今が重なって大きな朝ができあがった
涙が僕を貫いて、昨日の僕が泣き出した
過去は変えられないのに
そう言う僕に君が肩を叩いた
「過去は今には換えられないんだよ」
今を生きる僕に君は問う
「楽しいかい?」
笑いながら聞く君を僕は否定した
「じゃあ変わってよ」
鋭い口調で突きつけた言葉に僕は喉を抉られた
僕を作り出した君は今なにを思うの?
君は僕を空白に閉じ込めて入れ替わろうとした
君じゃだめなんだよ
声にならない言葉が空を切って飛び散った
必死にもがく僕を憐れむ君の僕みたいな顔は全然似てなくて、思わず吹き出した
笑わせんな、お前にゃ無理だよ
僕は空白を満たして空に出る
「代われ」
自分の口から出た言葉を僕は他人事のように聞いた
秘密を持つのは僕だけでいい
秘密めいた君に僕は云う
「虚しく泣くのは今だけでいい」
空が泣いた夜に僕は、君はなにを思う?
次に泣くときは楽しく泣いてやるよ
そう僕は君と空に誓って静かに目を閉じた
いままでの僕の作品の中で一番終わり方が前に進んでるかな、と思ってます
ご意見ご感想等あればよろしくおねがいします喜びます。
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