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3話

 やや長めの話です。

 あと今さらですが、『人生って…①』が①なのは、シリーズもので②と③があるからです。お蔵入りかもしれませんが。

 お久しぶりです。

 良い年になって異世界に来てしまった河田俊貴です。

 異世界で暮らし始めて1ヶ月程が経過しました。

 黒い森なる神聖かつデンジャラスな場所で目を覚ました時はどうなるかと思いましたが、元気でやっています。


 僕を保護してくれていた妖艶な感じの美女、グレースさんとの生活はかなり順調です。

 初対面の時は、あからさまに面倒そうなグレースさんに助けて貰えるのだろうかと不安を感じたのですが、実はとても面倒見の良い人でした。

 保護して貰っているグレースさんの家―これがまた大きいのですが―では、基本的に何をやっても自由です。

 僕は、魔法使いとして忙しいグレースさんの邪魔をするのもあれなので、もっぱらグレースさんの使い魔のリリーちゃんとジャスパーさんにいろいろお世話になっています。

 基本的な家事スキルとか一般常識ですね。

 おもしろいですよ、この二人。

 この世界の成り立ちや、主要な国の歴史、地理的位置、政治など、まるで学校の先生のように教えてくれるのがジャスパーさんです。

 教科書代わりの本や地図をグレースさんの書庫から出して、二人で勉強する時間はまさに授業といった感じです。

 おまけに、とてもわかりやすいんです。

 秀才型とも言えばいいのでしょうか、仕組みや過程を理解して教えてくれる彼は、とても良い先生です。

 それとは打って変わって、リリーちゃんの教え方は何とも体感的です。

 外に水くみや、薬草の採取、家畜の世話とかで連れ出してもらうのですが、教えるとかじゃないんですよね。

 はい、籠持って帽子かぶったねー?それじゃ、行こうか。

 何処にですか、といった感じです。

 説明とか一切なしで、有無を言わせず連行され、あとは実践あるのみです。

 帰った後にいろいろわかるという不思議。

 採りに行った木の実が食用なのか何なのかすら教えてくれません。ジャスパーさんから貰った図鑑で調べて、生で食べたら猛毒だったとわかったりする。

 全く悪気はないのですよ。

 こんな感じで、毎日が勉強という日々ですね。


 最近では、炊事や掃除など日常に必要な道具の使い方はだいたい覚えて、困らなくなっています。

 毎日食べる野菜や果物、穀物の名前も一致してきました。

 始めは本当に何を食べるのも、恐る恐るだったのですが、そんなにぎょっとするような見かけの食品も強烈な味の食べ物もないですからね。

 えっ?結構いろいろえぐいモノがある?ニチリアゴケの粉末を隠し味にしたサラダ?

 ……怖いことを聞いてしまいました。

 異世界って怖い。

 リリーさん、それ以上具体的な説明とかエピソードはいりません。


 それと忘れていましたが、リリーちゃんは14歳ぐらいの少女といった外見をしています。ジャスパーさんは白銀の狼ですね。

 二人とも本来の姿ではなく、低燃費版らしいです。

 いろいろと聞くのは失礼にあたるそうで、あまり詳しくは知りませんが。

 ただ、とても親切で二人と一緒に居るのは楽しいです。


 さて、最後にグレースさんについてですかね。

 僕を拾ってくれた魔法使いです。

 外見的な特徴を言えば、ゆるく波打つ漆黒の髪と深紅の瞳をした美女です。年齢は20代半ばくらいですかね。

 前にも言いましたが、妖艶な雰囲気のある綺麗な人です。

 グレースさんは学院と言う魔法使いを取りまとめる組織でも、結構な力を持つ魔法使いだそうです。

 今は、クレシェランテ国トウィースの黒い森を守護する仕事に就いていて、そのため僕に出会ったわけです。

 魔法使いと呼ばれる人たちは、一般の人たちが持ち得ない力を有する代わりに世界の調和を守る義務があると言われています。

 それゆえ魔法を使う才のある人は、学院に通うか魔法使いに師事しなければいけません。そして、魔法使いとして認められれば一握りの例外を覗き、学院に所属する。

 こちらに来たばかりの時には、魔法と言うファンタジーなものにただ驚き、興奮していたのですが、いろいろ制約や決まりがあるようです。

 ちなみに残念ながら僕に魔法使いの才能はあまりないみたいです。

 全くないというわけではないみたいですが、常人をやや上まわるぐらいだそうです。特に学院に通う必要もないとか。

 物語みたいには上手くいきませんよね、やっぱり。

 けれど、その代わりといっていいのでしょうか精霊とか妖精には、好かれる体質みたいです。

 こちらに来たばかりの時見た、小さい子たちとか、半分透けている女の人とか。

 本当に何処にでもいるのですが、存在を感じられる人って滅多にいないみたいです。

 見て、触れて、話せるとなると本当に珍しいそうです。

 この家に居るとよくわからないのですが。だって、グレースさんを始めとして皆見られるので有り難身とかないですよね。

 怒られますね、こんなこと言っていたら。

 けれど、本当に珍しいぐらいで特に何か出来るとかありません。

 強いて言えば、妖精は可愛いとかですかね。


 何もない所から現れたり、物質を出したりする魔法使いの方が余程すごいです。

 でも、いろいろ大変そうです。

 グレースさんを見ている限りでも、びっしり使いこまれた本が並べられた書斎に、研究室。深夜まで籠って作業をしているらしいのをみていると、羨ましいより大変そうというのが正直な感想です。

 グレースさん自身はとても日々が充実しているとのことだけど。

 隈つくりながら言うことではないですよ、グレースさん。


 こんな感じで割と順調に過ごしています。

 近いうちに、グレースさんの知人で召喚魔術に詳しい魔法使いを訪ねる予定です。

 そうしたら、僕がこちらに来た原因も分かるかもしれません。

 


 自由人なリリーとしっかりものジャスパー。

 主人公は自由人に見えてそれなりに空気は読んでいます。一人の時と脳内のみフリーダムなんですね。

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