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かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない  作者: 不破ふわる
二章 蒼星の少女

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第47話 帰還と借金


 まさか遊園地のバイトから一週間もフェクトム総合学園に帰れないとは思わなかった。

 何故かトウラク君とか六波羅さんにも絡まれたけど、無事に切り抜けられたし俺、成長している気がする。

 この一週間で、俺はまた美少女に一歩近づいたぞ……!


『無事……? え、アレで無事に切り抜けられた判定……?』


 なんだ人様のミステリアス美少女に文句でもあるのか。


 まあいいだろう。

 俺は一週間ぶりにミズヒ先輩とトアちゃんに会えるという事で機嫌がいい。

 その程度の狼藉は許してやるさ。


 俺は今ようやく、フェクトム総合学園に戻ってきた所だった。

 俺とミロク先輩がいなかったから、その間は二人で学園を運営していたことになる。


 改めて終わってんな、フェクトム総合学園。

 これ、やっぱり俺がソルシエラとして身売りした方が良いのか……?


『君は美少女の為なら躊躇がないねぇ』


 でもミステリアス美少女ってそう簡単には捕まらないからなぁ。

 その辺の塩梅が難しい。

 ミステリアス美少女は強キャラである事を義務づけられているからね。


『難儀な生き方……』


 それでもいつかは負けたいね♥

 こういう強キャラがボロボロになった時って凄い興奮するよね♥

 普段の余裕そうな表情が崩れる瞬間が最高♥

 あー、美少女に負けてぇ♥


『ヒエッ』


 何故か怯えた星詠みの杖が、奥に引っ込んで脳内が静かになる。

 なんだ、理解できなかったのか?


 ミステリアス美少女だって負けるときは負けるぞ。

 勿論、美少女が相手の時限定だけどな。


 それ以外は全員ぶっ倒す。

 特に美少女の敵は全てぶっ倒す。


「さてさて、二人は生徒会室かな」


 学園に戻ってすぐに、俺は校舎へと足を運ぶ。

 恐らくは生徒会室にいるだろう。


 なぜなら、あそこが一番まともな部屋だから。

 ガラスも割れてねえし、床も抜けてねえし、コンセントも四つある。


 むしろ、校舎の他の場所がヤバすぎるんだよ。

 あー、早くまともな校舎にしてあげてえなぁ。

 オイラ、美少女には最高の環境ですくすく育って欲しいんだ。


 そんな事を考えながら、生徒会室の前に到着した俺は優雅にノックをする。

 間もなく、トアちゃんの「どうぞ」という声が聞こえてきた。

 ヒャッハー、一週間ぶりのトアちゃんの声だァ!

 ところで、見舞いとか来なかったのはどうしてですか?????

 

『来てほしかったのかい?』


 いや、美少女が俺のためにわざわざ時間を割くのは申し訳ない。

 見舞いは丁重にお断りさせていただく。


『なんなんだ君は』


「――失礼します。久しぶり、トアちゃん」


 扉を開けて生徒会室に入れば、見知った顔が此方を見ていた。

 相変わらず小動物的可愛さの溢れる彼女は、俺を見てぱあっと明るい表情になる。


 かわええ。

 こんな笑顔、美少女以外の人にしちゃ駄目だよ?

 つまり、今の俺にもしちゃ駄目だからね?


『素晴らしく面倒臭いな君は』


「お、おかえり。ケイ君!」


 パタパタと駆け寄ってきたトアちゃんは俺を見て安堵した様子だった。

 心配をかけてしまった。


 でも大丈夫だよ。

 俺は新たな美少女力をつけて戻ってきたからね。


「ごめんね。お見舞い行けなくて。病院から、断られちゃって」

「え、そうなの?」

「うん。フェクトム総合学園の生徒への接触は出来ないって、言われちゃった。だから、ミロクちゃんとケイ君に会えなかったんだ」


 じゃあ来てはいたのか。

 くそぉ、美少女からのお見舞い受けたかったなぁ。


『美少女からのお見舞いを美少女以外が受けたら罪じゃないかい?』


 それもそうだった!

 セーフ!


「ソルシエラの魔法による異常がないか調べる為、とか言われたんだけど。ケイ君は、大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。確かに言われてみれば検査がかなり多かったな」


 アレ、そういう事だったんだ。

 ソルシエラの事、皆怖がり過ぎじゃない?

 

 普通のミステリアス美少女なのにね。


『ねー』


「あ、そう言えばミズヒ先輩は? 一週間も空けちゃったし、救援依頼も一人でこなしてるんだよね?」

「うん。今日も張り切って出て行っちゃった。……あ、そうだ! ケイ君、嬉しい事があったんだよ!」

「え?」


 なんだろう。

 トアちゃんが嬉しそうだと、こっちまで嬉しくなるねぇ。


「なんと、フェクトム総合学園の借金が返せるかもしれないの!」

「え、本当に?」


 あのイカレタ額を?

 全部が下ブレた人生ゲームみたいな額の借金を?


「ミロクちゃんが、交渉してくれたみたいで。借金がかなり減ったの」

「本当だ……流石ミロク先輩だなぁ」


 トアちゃんの差し出した紙に記された額は、以前とは比べ物にならない程に安い。


 騎双学園相手に交渉して借金減らすとか、ミロク先輩凄すぎない? 

 俺がミステリアス美少女とかしてる間に、あの人学園を立て直したのか。


 これはミロク先輩の銅像立てて後世に残さなきゃ……!


「俺も、書類の整理手伝うよ」

「え、いいの? 退院したばかりでしょ?」

「大丈夫だよ。ミロク先輩が頑張ったんだから、俺も頑張らないと」

「そっか。うん! 一緒に頑張ろうね!」

 

 どうやら俺がマッチポンプで捕まる必要はなさそうだ。

 そうなると、まだまだミステリアス美少女で楽しめるね。


 そろそろ衣装チェンジとかしたいなぁ。

 ゴスロリはトレードマークにしたいから、カラーバリエーションを持たせたいね。


 次は、黒に赤を合わせようかな。


『それと下着も買ってくれたまえ。当然、上下がセットになったやつだ』


 へへっ、言われなくてもわかってるぜ!

 

 確か、今の衣装は騎双学園の自治区にお店があった筈だ。

 前はネットで買ったけど今度は、実際に見て買いたいね。


『楽しみだねぇ』


 うんうん、じゃあ近いうちに騎双学園に行こう。

 

「……ケイ君、どうしたの?」

「え?」


 書類を整理していたトアちゃんが俺を不思議そうに見つめている。


「騎双学園がどうとかって言ってたけど」

「ああ、別に何でもないよ」

「……そっか、わかった」


 あぶねー。

 また思考が外に漏れていたわ。

 

『君は脳と口が直結してるからねぇ』


 は?

 思慮深い人間であるように心がけているが?


 それにしても騎双学園かぁ。

 なんだかんだ、行くのは楽しみだなぁ。


 騎双学園は治安は一部終わっているが、いかんせん規模が大きいため何でもある。

 多くの企業が騎双学園を支援しているため、観光客向けの区域には沢山の店が建ち並ぶ。

 中には騎双学園でしか買えない限定品なんかもあるくらいだ。


 騎双学園限定のゴスロリ衣装とかないのかな。


『ご当地ミステリアス美少女?』


 そんな地元住民に寄り添うタイプじゃないだろミステリアス美少女って。

 

 騎双学園のダークサイドなイメージは、ミステリアス美少女と相性がいいんだよね。

 闇を抱えている属性っていうか。

 絶対にあそこの生徒にはなりたくないけどね。


『そんなに怖ろしい所なのかい?』


 やばいよ。

 巨悪って感じ。

 

 トウラク君達が追う事件の中にも騎双学園からみの物は多い。

 例えば直近で起こりそうなイベントは、他校の生徒を誘拐しての人体実験だろうか。


 原作でトウラク君が事件を解決するのは夏頃なので、まだ早いだろう。

 イベントが起きる前に買いに行かなきゃ……!

 

 ちなみに、これには俺は関わらない所存である。

 胸糞悪い敵が出てくるが正直アイツを見つけられる自信もないし、トウラク君の成長する機会を奪いたくない。


 頑張れ主人公……!

 次会うときまでに下着も女物にしておくからね。


 

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