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かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない  作者: 不破ふわる
十二章 終わりの月と始まりの星

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第431話 最強形態と始まりの星

 ふっかーつ!


 テレビの前の皆が生み出したコンテンツのおかげで、俺はもう一度戦うことが出来る!

 ありがとう! 良い子の諸君!


『ソルシエラがんばえー!』

『主殿ー! カメ先生がもう駄目そうなのじゃ!』


 任せるんだ、赫夜牟君。


 ……カメさん、じぶんをきらいになっちゃだめー!

 わたし、カメさんのことすっごくすっごく大好きだよ!


『お ぉ(完全復活)』


 ざっとこんなもんよ。

 カメ君は俺と同じくコンテンツの海に棲む者。

 だからこうして蘇生させることも簡単なのである。


『マイロード……おかげで私は正気を取り戻せたぞ』

『ああっ、復活してしまいました(絶望) また四人が揃ってしまう……!』

『? テム子、今もしかして我もその四人の中にいれたのじゃ? 何故……?』


 遠慮するなよテム子!

 お前も俺達の仲間だぜ★


『(絶句)』


 嬉しくて声も出せないようだ。

 

『おぉ、今の私は道を間違えることなく、幼き命達を守れている。その素晴らしい事実に感謝をしなければ』

『まったく君達は打たれ弱いねぇ。あの程度の曇らせコンテンツで死にかけるなんて。私からすれば、合法的に美少女達の曇らせを見ることが出来て非常に良い機会だったよ』


 星詠みの杖君はこういう時は頼もしいね。

 俺は駄目だったよ。


 あの映像で、彼女達のもつ美少女の輝きが変化していくのを俺は目の当たりにした。

 弱弱しく今にも消えそうな輝きを前にして、俺は何もできずに無力。


 そしてあろうことか、あんな悲惨な結末を迎えてしまうなんて。

 自分が情けない……!

 俺は無力だ……!


『いくつもの偶然が重なった結果、あのような惨劇が起きたのだろうねぇ。ルート選びを間違えたか。あの世界では私しか同行者はいないようだ。バッドエンドでも私は君と一緒にいるんだねぇ♥』

『私や赫夜牟もいない。そうなれば、戦力(コンテンツ)の大幅な低下は免れないだろう』


 ネームレスの知っている那滝ケイは俺で間違いない。

 あのアドリブ力といい、台詞回しと言い中身は変わらずだ。

 故に、あの場にいた俺の感情が痛いほどにわかったよ。


 自分のせいであんな事になったのだと考えたのだろう。

 後悔や自責の念ですぐにでも死にたかったはずだ。


『それでも最後にトリムと相打ち出来る辺り、君ではあるけどねぇ』


 ミステリアス美少女が相打ちなんて選択肢を選ぶわけがない。

 きっとあの世界の俺はもうそんな事を言っている余裕が無かったのだろう。

 だから最後にソルシエラダイナマイトを使ったんだ……。


『確かに、理想の銘の力を貴女が十分に引き出すためにはそのイカれた思想に身を投じる必要がありますからね。理想は進む者に力を与える銘。ひとたび足を止めてしまえば、力はみるみるうちに失われていく筈です』


 やはりコンテンツは全てを解決する。

 俺の今までの道のりは間違いではなかったんだ。


 かつて厄災は人類を滅ぼし、美少女達の命を奪った。

 だが今は違う!


 ここには今、一騎当千の古強者たちが揃っているんだ!

 俺のやる事は変わらない。美少女にBIGな幸せと笑顔を……!


『なんだか今の主殿はカッコイイのじゃ! いつもの世迷い事じゃないのじゃ!』

『だいぶ毒されてきたねぇ^^』


 美少女の最期があんなもので良いわけがない。

 確かにあの世界はもう救えないのかもしれないが、ネームレスの心だったら救ってあげられるかもしれない。

 ネームレスを救うんだ。

 フェクトムの皆と一緒に!


『具体的な方法は考えているのかい?』


 方法はコンテンツの中で見つけるよ。

 俺は心のどこかで驕っていたのかもしれない。

 少し人よりも力があるからと言って、まるで神様にでもなったつもりだったのだろう。


 だから、初心に返ろう。

 まずは泣いている美少女を救う所から始めるんだ。


『なんて気高く美しい志なんだろうねぇ』


 曇らせはこっちで自給自足するからね。


『なんて酷く美しい言葉なんだろうねぇ』


 そのためにもまず、俺達はネームレスへと覚悟を示すためのものを用意しなければならない。


『嫌な予感しかしませんね』

『ほう、聞かせてみたまえ』


 ネームレスに決意を見せ、心を動かす。

 そんな新形態が!


『おっ、もう新形態かい? 欲張りさんめ^^』


 ネームレスが俺の事を心配しなくても大丈夫なように。

 素直になれるように俺はもっと強くならなくてはならない。


 それが俺に出来る彼女への救いなのだ。

 だから星詠みの杖君、カメ君、君達に力を貸して欲しい。


『いつもの事だ。新形態の老舗として腕を振るう事を誓おう』

『おぉ……任せるのだ。愛娘の願いならどんな事でも叶えて見せよう』


 ありがとう。

 なら、今こそ俺達は至るべきだ。


 人間、デモンズギア、天使の三つの力が合わさった最強の形態。

 星天形態(グロリアスフォーム)に……!


『デモンズギアと天使の力を融合させる……!? 無理です、流石にそれはいくら理想の銘と言えど……』

『わかった。いいだろう^^』

『星詠みの杖!? 貴女はわかっている筈です。天使を殺す為に作られたデモンズギアは、天使とは本来相容れない存在。こうして一緒の空間に存在しているだけでも奇跡だという事を!』

『これだから素人は困るねぇ。そろそろ最強形態をお披露目する頃合いだろうとは思っていたんだ。あのルシエラとかいう奴をぶっ潰すための試運転といこう。カメ、お前はどうだ?』

『おぉ……異論はない。私と星詠みの杖だけでは不可能だが、そこにマイロードがいるのだ。ならば、どうとでもなるだろう』


 ありがとう二人共。

 では始めよう。

 最強形態を作成し、クリスマス商戦に間に合わせるんだ……!


『今からなら余裕で間に合うねぇ』

『おぉ、幼き体躯は絶対に譲らないぞ』

『すまない。間に合わないかもしれないねぇ。ちょっと共同制作者の思想が強い』


 間に合わせるんだよ!

 俺の美少女シックスセンスが告げている。


 ネームレスとの決戦は、明日になると!


『理想の銘に予言の力はありませんよ』


 皆、急げー!




■




 ネームレスを救う為にフェクトムの少女たちはそれぞれ動き出す。

 ある者は少しでも強くなるために。

 またある者は切り札になるかもしれない秘策を得るために。


 そしてミユメはというと――。


「駄目っす! あれ以降、全然記憶がサルベージできないっすー!」


 ネームレスの計画の全容を掴むために、トアの脳から記憶をサルベージしていたミユメだったが完全に行き詰まっていた。


 天才としてデザインされた脳みそと、デモンズギアの中でも随一の演算能力を持つシエル。

 二人がいれば容易であろうという当初の予想とは裏腹に、彼女達の作業は難航していた。


「トリムの不干渉の権能が大きく作用している可能性が在ります故。これを打ち破るには、尊帝を使用しトアとケイを一週間程イチャイチャさせないといけません故」

「そんな時間ないっすよ!」


 生徒会室に展開された大量のモニターを凝視する。

 しかし、どこにも彼女達の助けとなる情報は存在していない。


「脳と魂のスキャンは完璧っす。けど、これ以上は干渉の力が無いと肝心の情報を取り出せないっすよ」

「私達が1時間かけてようやく取り出せたのは『月詠みシステム』というキーワードのみ。あまりにも手掛かりに乏しいです故。ネームレスは、自身の経験した事よりもこれからの計画の情報を守る事を優先した様子。打ち破るのは並大抵の力では不可能です故」

「あーもう、こんな所で立ち止まっている場合じゃないっす。こっちは作戦を立てないといけないのに……!」


 ネームレスが自身の命を犠牲にするであろうことは想像に難くない。

 だからこそ、彼女は自分の記憶ではなく作戦概要をより強固に守ったのだろうとミユメは予測していた。


 ならば急がなくてはならない。

 彼女が何かを成し遂げてしまう前に。


「何か、何か手掛かりは……!」


 その時だった。


「――話は聞かせて貰いました」


 生徒会室の扉が勢いよく開かれる。

 ミユメとシエルが顔を上げたとき、そこにはメイド服を身に纏った銀髪の少女が立っていた。


「ソルフィ? どうしてここに」

「シエル、お久しぶりです」


 ソルフィはぺこりと頭を下げると、表情を変えないまま淡々とした調子でこう告げた。


「理事長のおつかいで来ました」


 

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