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かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない  作者: 不破ふわる
九章 九重ちゃん、参上!!

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第269話 おおマイロード。死んでしまうとは

 バイト終わり!

 おつかれっしたー!


 と言っても、それは俺と六波羅さんだけである。

 実は、コスプレ部の一部がまだ到着していないらしく俺たちだけが先に入れ替わったのだ。


 なので、今せっせと働いているロクナちゃんとミナウラちゃんは俺たちではない。

 俺たちは、既に着替えを済ませてカフェの中で待っている状態である。


「やっぱり高ェな、どのメニューも」


 六波羅さんはメニューを見ながらそう言った。

 変わらずギザ歯美少女の六波羅ちゃんなので、この席には美少女が二人存在することになる。


『どっちの美少女も成型肉使ってないかい?』

『は? マイロードはずっと本物だが?ピュアピュア天使だが? 言いがかりはよしてくれないか』

『天使はお前』


 美少女二人に俺の脳内の変態評論家も大喜びだ。


「なんでも頼んで良いって言ってたよなァ。お前は何を頼むか決めたか? 《《ケイちゃん》》」


 わざとらしく、六波羅さんは俺を少女のように呼んだ。


 確かに今の俺は清楚美少女。しかし、その中身はソルシエラである。

 周囲に誰もいないことを確認して俺はソルシエラとして笑みを浮かべる。


「今どれだけ虚勢を張ってもかわいいだけよ。いつもの威圧感もまるでない。子猫ちゃんね」

「誰が子猫だァ!」


 六波羅さんはカッとなって立ち上がる。

 が、周囲の目がこちらに向いていることに気が付くと、頭をぺこりと下げて座った。


 幸い、まだロリ御一行は気が付いていない。

 頼み込んで席を離して貰ったかいがあったぜ。


 今、俺たちはナナちゃん達の音声だけを聞いている状態だ。

 会話からでも楽しいのが伝わってきて、思わず頬が緩んでしまう。


「ふふっ」

「ンだよ、急に」

「別に。まさか、私がこんな事をするなんて夢にも思わなかったから」

「……別にありえねェ事ではねェだろ。お前もこの学園都市の生徒なんだ。青春を享受する権利はある」

「あら、優しいのね」

「くだらねェ事ほざいていたから、つい言っちまった。ガラじゃなかったな。忘れてくれ」


 六波羅さんはそう言って、メニュー表へと視線を戻す。

 そしてしばらく眺めた後に、丁度近くまで来たサヤカちゃんへと声をかけた。


「おい、注文頼む」

「はいご主人様」

「……なんか、お前は今までと大して変わらねェな」

「ですね。大して演技をしなくて済むので楽です。それに、自然体で姉さんに近づけてお給仕出来たので、万事OKです」


 サヤカちゃんは、クラシカルメイドスタイルである。

 落ち着いた雰囲気と相まって、本当にメイドとして勤めている少女にも見えた。


 名前は確か、『ご奉仕支援型:ヒメカ』だったか。

 委員長タイプのキャラだが、プレイヤーラブ勢でもあり卑しい側面も持つキャラのようだ。


「俺はこのコーヒーを頼む」

「ヒメカのLOVEマックスコーヒーですね。畏まりました」

「いざメニュー名で確認されると嫌だなこれ」


 六波羅さんは複雑そうにそう言った。

 さっきまでいろんな人にオムライスを届けていた人間とは思えない発言である。

 というか、どうやら見た目がロクナちゃんと本当にそっくりらしく他のお客さんから遠巻きに見られている。


 はわわ~><

 美少女カップルだと思われていたらどうしよう~!


『杞憂』


 なんてこと言うんだ。


「それで、ケイさんはどうしますか」

「えーと、じゃあ……」


 俺はメニューを見る。

 こういう時は、クールにお紅茶でもいただこうかしら。

 どこかのデモンズギアみたいにオムライスにがっつくようなマネはしませんわよ!


『お上品ですわね!』


「じゃあ、この『リンドウとあの日の約束ダージリンティー』で」


 リンドウは、ミロク先輩の担当するキャラである。

 どうやら女性人気も高いキャラであるようで、このお紅茶を頼んでいるメイン客は女性が多い。


「ははっ、いいねェ。あいつの仕事ぶりでも見てやるか」

「貴女、ずっと忙しそうだったものね。誰も見る余裕なさそうだったし」

「うるせェよ」


 ふくれっ面の六波羅ちゃんもかわいいねぇ^^







 注文をしてしばらくすると、サヤカちゃんとミロク先輩がそれぞれ持ってきてくれた。

 ミロク先輩、こうしてみると男装も似合うな。


「お待たせしました。ヒメカのLOVEマックスコーヒーです」

「ああ。……いや、俺は別にコーヒー貰えればそれでいい。……いやだから、サービスはいらねェよ」

「む、そうですか。姉さんは喜んだのですが」


 頭をナデナデしようとするサヤカちゃんを、六波羅さんが抑える。

 サヤカちゃんはまだあきらめずに手を伸ばすが、全然届いていなかった。


「撫でながら、『えらいえらい』って言ってあげるのがこのメニューの売りなんです」

「これに一定の需要があるのかよ。どうなってんだこの都市」


 六波羅さんにはわからないだろう。

 美少女にえらいと言われることの素晴らしさが。


「私も言ってあげましょうか、お嬢様」


 アッ。


『死んだ!?』

『おおマイロード。死んでしまうとは』


 蘇生^^


 俺の前にお紅茶を置きながら、ミロク先輩が囁くように言った台詞は確かに俺の心の臓を貫いて見せたのだ。アッパレ。


「ふふ、似合ってますかね?」

「ええ良く似合っていますよ。とてもカッコいいです」

「お嬢様も、とっても可愛らしいですよ」


 ミロク先輩はそう言って俺の頭を撫でた。

 男装をした今のミロク先輩は、いつもとは雰囲気が違う。

 

 その笑顔で一体どれだけの女子を堕とせるのだろう。

 そんな魔性の笑みを浮かべていた。


「いつも頑張ってくれてありがとうございます、お嬢様。皆のために戦ってくれて。でも、たまには私たちを頼ってくださいね」

「……え?」

「ふふ、これがこのメニューを頼んだお客様限定のサービス。ねぎらいボイスだそうです。」


 今度は悪戯が成功した子供のような笑みで、ミロク先輩は俺を見つめる。

 まずいぞ、心臓がいくつあっても足りない。


「私たちも、これを運び終えたらあがりです。また会いましょうね、ケイちゃん」

「えっ、あ、はい」


 ミロク先輩は俺の言葉を待たずして、去ってしまった。

 それを見て、サヤカちゃんもようやく六波羅さんを撫でるのを諦めて銀のお盆をもってミロク先輩の後ろをついていく。


「ねぎらって貰ってよかったな。ケイちゃん」

「……うるさい。揶揄わないで頂戴」

「はははっ、珍しい。お前が面食らった表情なんざ、一生拝めねェと思ってたぜ」


 そう言って六波羅さんはコーヒーへと口をつける。

 俺は観察眼に優れた人間しかわからないほど僅かに頬を赤らめながら、しかしなんでもない風を装って紅茶へと手を伸ばした。


 ここまでが、コンテンツです^^


『ソルシエラの余裕が崩れるその瞬間にのみ発生する貴重な栄養こそが、私たちの生活に潤いをもたらしてくれるんだねぇ』

『……? マイロード、なぜマイロードには幼き命のなでなでがないのだ? 不公平ではないか! 私がなでなでしてあげよう。もしくは、私をなでなでしてくれ』


 コンテンツがあふれ出して止まらねえや。


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― 新着の感想 ―
カメ君が天使(笑)なの便利スギィ
六波羅さんのヒロイン力がとどまることを知らない。 もうこのままでいいんじゃないかな。
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