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かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない  作者: 不破ふわる
三章 閃きジーニアス

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第105話 観察ステルス


 ルカちゃんは俺の事を気絶させた後、一人で本校舎の地下へと向かっているようだった。


 今俺はその後を追って、ミステリアスストーキングをしている際中である。

 美少女をストーキングするなど本来ならアウトな行為だが、今の俺はミステリアス美少女。

 影から他の美少女の様子をうかがうくらいは問題ない。


「……やはり、あそこに行くのね」


 時々こうやって適当に呟いておけば、それっぽさも増してGood。

 

 この頭脳明晰なミステリアス美少女である俺だからこそわかるのだが、ルカちゃんはカノンちゃんの元へ向かっているのだろう。

 俺への言葉も併せて考えれば、一人でカノンちゃんを止めに行くつもりのようだ。


 俺の知り合う美少女って覚悟ガンギマリの人が多くない?

 気のせい?

 パッと思いつくだけでも体にアンプルぶち込んだり、炎纏って限界超えたりとか覚悟が凄まじい人しかいないんだけど。

 

 トアちゃん、君だけが癒し枠だ。

 そのまま、のほほん四コマ漫画の世界で生きてくれ。もしくは飯系漫画。


『そもそも美少女にそういう傾向があるのではないかな? 美少女は覚悟を決めやすいのでは?』


 どうなんだろうね。わかんね。

 美少女を完全に理解するのは不可能だよ。


『それはそうだろうとも。だが、君はその手の研究の第一人者だろう?』


 へへっ。いやいや、俺なんてまだまだだよ。

 オイラはただ、美少女が好きなだけの何処にでもいる美少女願望持ちさ。


『どこにでも……? え? 君がどこにでも……?』


 なんだ文句あんのかよ。


『姉上、また那滝ケイと話しているのですか? 私とも意識を同調してください。私だけ仲間外れは悲しいです故。マルチで私だけがボイチャをOFFにしている時の疎外感と同じです故』

『君は君で、後できちんとお話しようねぇ』

『ゲーミングヘッドセットを所望します故。16777216色に光らせたいです』


 かわいいねぇ^^

 後で、『ソルシエラASMR~星詠みに癒されるアナタ~』の売上でマイクを買ってあげようねぇ。

 

『おい、私の妹を甘やかすな。というか、勝手にそのタイトルに決定するな。きちんと話し合いの場を設けたまえ』


 星詠みの杖君を華麗にスルーして、俺は翡翠色の鎌を撫でる。


「シエル、後でお礼に好きなものを買ってあげるから、考えておきなさい」

『流石那滝ケイです。姉上とは違います故……!』

『あ、現実で会話するのは反則だろ君たち!』


 わっちゃわっちゃと楽しくお喋りをする俺達。

 平和な時間が流れているが、この間も俺はルカちゃんを追って、とある部屋の天井に侵入。

 そこから部屋を覗いている状態である。


 美少女忍者! ジャパニーズ、クノイチ!

 イェス!


 俺の視界に映るのはプロフェッサーのいた部屋に似た真っ白な実験施設。

 それは、カノンちゃんが周囲の人間に隠していた秘密のラボである。


 実はここだけは、どうやっても場所が分からなかった。

 本当に信頼している人だけに教えているのか、そもそもデータがなかったのである。


 データ上の不可解な空白をナナちゃんが見つけてくれたおかげで、カノンちゃんのラボがあるエリアまでは絞れていた。が、正確な場所まではわからなかったのだ。


 それでどうしたものかと困っていたのだが、ルカちゃんのおかげで無事辿り着けた。

 流石美少女、俺を導いてくれる。まるで一番星だぜ!


 それにしてもルカちゃんは一人でカノンちゃんを相手にするようだが。


 勝てるのか?

 あのイルカで、勝てるのか?


 というか、あれどういう原理?


 情報収集の時もよく見かけたが、ジルニアス学術院の人たちって平然とああいう感じのメカ使ってるけどなんで?

 原作でもジルニアス学術院だけ平然とあんな感じのやつばっか使ってたけど、アレってここの生徒の標準装備なの?

 生徒会しか原作に出てこないから、あの人達の特別な装備かと思ってたわ。


 ねえねえ、アレ俺も欲しいんだけど。


『ふむ、ソルシエラに使い魔がいても良いかもしれないね。私は狼を推すが、どうだろうか』


 いいねぇ! カッコいい!


 洋風の館の奥で、椅子に腰かけて古めかしい本を読むソルシエラの傍らで丸くなる銀の毛並みの狼。

 いかすねぇ。

 ミステリアス美少女だねぇ!


『孤高さも表現できて良い感じじゃないか? まあ、役に立つとは思えないが。ソルシエラは万能だから、使い魔はいらないしねぇ。それに、私達にはもう双星形態(ジェミニフォーム)があるだろう』


 アレはまた別枠じゃんね。

 はははっ、ミステリアス美少女で上回る事ができると思ったら楽しみになってきたわよ!


『なら、肩慣らしに空無カノンで試してみるのはどうだろうか。彼女なら不足はあるまい。それに、ルカを助ける事にもつながるぞ』


 いや、ネームレス用にとって置かなくちゃ。

 アイツ、マジでどこで見てるかわかんねえからな。サプライズわよ。


 というか、俺はカノンちゃんを倒さないよ。


『は? いやいや、アレは君の定義する美少女ではないだろう。何を言っているんだ君は』


 すまない星詠みの杖君。勘違いをさせてしまったようだ。

 正確には、俺は手を下さない、だ。


 アレも美少女の成れの果てであるならば、俺は最大限の敬意を払おう。

 弔う役目は、美少女であるべきだ。


『もしかしてルカが勝てると思っているのかい?』


 んー、ワンチャン?


『その少ない可能性に賭けるのか』


 そうだよ。

 最初からルカちゃんの覚悟を否定して俺が乱入するのは駄目だって。

 

 それでは、ソルシエラが全てを解決してしまう。

 ソルシエラは都合の良い神様ではないと、君も知っているだろう。

 

 あくまで、夜空に輝く孤高の星。人の都合でその輝きを変えるべきではないのだよ。


 ギリギリまで頑張って、踏ん張って、それでも駄目なときに気まぐれで手を貸す。

 それがソルシエラだ。


『でも、既にスタンバイしていることに変わりはないんだよね?』


 当たり前だろ!

 っしゃオラ!

 ルカちゃん、後ろに控えがいるから安心して戦ってくれ!


『うーん、面倒くさい精神性。だが、それでこそソルシエラだねぇ』


 もし登場することになったらカッコよく登場しようねぇ。

 ナナちゃんに電気パリパリして貰って、雷みたいに地面に堕ちて現れたーい!

 モードチェンジっぽさを全開で演出したーい!


 星詠みの杖君、そうナナちゃんに伝えてくれ。


『ふむ……シエル、これから起きる戦闘において私達が介入する場合、すぐに君の能力を使用してくれ。ソルシエラの周囲に纏わせる形が理想だ』

『等分された死に対する対処でしょうか? であれば、ここから本体を射抜くのが最も早いです故。人間風情では、そもそも反応すらできないでしょう』


 マジレス幼女こわい……。

 星詠みの杖君、どうにか納得させてくれよ。

 このままじゃソルシエラがミステリアス美少女じゃなくて、非情な女殺し屋になっちゃう。


 急な路線変更は俺も困っちゃうわよ。


『今回の私達の任務はあくまでこの騒動の収束だ。必ずしも空無カノンを殺す必要はない。それで悲しむ人がいるならば、避けるべきだ。そうだろう? 人々の救済こそ、我々デモンズギアの本懐の筈だ』

『……確かにそうですね。理解しました。では、準備をします故。突入時には合図を下さい』


 物わかりが良い……。

 すごくいい子だねぇ!^^

 後で、ゲームソフトも買ってあげようねぇ。


『甘やかさないで欲しいねぇ。……おい、聞いているかい?』


 お、そろそろルカちゃんたちの方も始まるみたいですよ。

 ちょっと覗いてみましょうか。


『清々しいまでの無視だねぇ』

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