焦燥の果てに評価を求めて
本編「暗殺依頼を受けたらとんでもない事になった」の1話読み切りのパロディ短編集。
街のはずれ、ライルは任務を終えて帰宅する、時刻はもう真夜中だ。
「ライル、おかえり!」
シエラが元気に迎える。
「もう第二章も終わったわね、お仕事ご苦労さま。」
ライルは答える。
「いや、まだまだだ、これからが大変なんだ。」
「ねぇライル、今度から毎話まえがきあとがき書いて貰えないかしら?」
「必要か?毎回書いたら読むテンポ悪くなるんじゃないか?さくさく読み進められた方がいいんじゃないのか?」
シエラは俯くと絞り出すように言う。
「だって…このままじゃ問題でしょ…」
「何がだ?」
「もう第二章も終わろうとしてるのに…、評価が全くつかないのよ!
わたくし、そろそろ評価が欲しいでございますわ。」
シエラは赤裸々に本音を語り泣き始めた。
「もう、もう、私が脱ぐしか…」
「待て待て、脱いだとてお前のその身体じゃ読み応えのあるシーンなんて書けないぞ」
ライルは答える。
「何言ってるの、私はお肌すべすべ色白ボディよ!」
ライルは首を左右に振りながら大きくため息をつくと、シエラの胸を指さして言った。
「女性の胸にはな、男の夢と希望、そして野望と欲望がパンパンにつまって大きく膨れ上がっているんだ、お前、ペタンコじゃないか」
「なんですって!」
シエラは頬に手をあて口を大きく開けて叫ぶ。
小さな拳を握りしめワナワナと震えだすと、″お前だって論法″を展開する。
「ライルだってバトルものの主人公のクセに戦闘の見せ場が全くないじゃない!」
ライルは目を背けていた事実を突きつけられ、驚愕し、頭を抱え座り込んでしまった。
「シエラ、そんな事の言わないでくれ、俺、この先、抗って、抗って、抗いぬいて評価もらえるように頑張るからあ!」
男の悲痛な叫びと少女の泣き声は、夜の闇に吸い込まれていった。




