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Donect  作者: 天霖千
8/14

百の考え

 最初に思ったのは——よかった、だった。

 あの日、解散を発表されたDonect。二人して姿を消した。

 神無が竹下事務所に所属したことを知って、俺も所属を決めた。

 会議室に入ってきた二人を見た瞬間、百は直感した。

 ああ、関係は途切れてなかった。

 睦月はマネージャーとして前に立つ。

 神無は、半歩後ろ。

 守る側と、守られている側。

 でも、それだけじゃない。

 神無は、睦月の服の裾を掴んでいた。

 無意識。

 それが、いちばん厄介で、いちばん信用できる。

「……人見知り期」

 睦月がそう言ったとき、百は思わず笑ってしまった。

 冗談じゃない。

 本気で、そう扱っている。

 それを、神無も受け入れている。

 普通なら、拒む。

 年齢的にも、立場的にも。

 でも、神無は動かなかった。

 ——この人、壊れたんじゃない。

 壊れるのを、必死で止めてる。

 百は、神無を見る。

 目線は低い。

 けれど、逃げてはいない。

 ちゃんと、ここにいる。

 和龕が「後ろ隠れてるけど」と言ったとき、百は内心で思った。

 隠れてるんじゃない。

 選んで、そこにいる。

 睦月は、盾でもあるけど。

 同時に、錨だ。

 神無が流されないための。

「そのうち、同じ列に立つんだよね」

 そう言ったのは、確認だった。

 期待じゃない。

 覚悟があるかどうか。

 神無は答えなかった。

 でも、小さく頷いた。

 それで、十分だった。

 百は思う。

 この人は、戻ってきたんじゃない。

 ——立ち直ろうとしている。

 それも、一人じゃなく。

 ふと、睦月を見る。

 この子は、自分がどれだけ重い役を背負ってるか、わかってない。

 いや。

 わかってて、引き受けてる。昔から。

 それが、いちばん怖い。

 でも。

 百は、椅子に深く腰掛けた。

 和龕と目が合う。

 互いに、同じことを考えているのがわかる。

 ——この現場、簡単じゃない。

 けれど。

 だからこそ。

 少しだけ、楽しみになっている自分がいた。

 この距離が、どう変わるのか。

 守る側と隠れる側が、同じ列に並ぶ、その瞬間を。


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