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Donect  作者: 天霖千
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Donect

 地下アイドルとして一躍有名となった高校生ユニットDonect。

 相川万里と夜鳥神無の二人が歌って踊るよくある地下アイドル。

 そんなユニットをとあるテレビ局の管理者が見つけ、音楽番組にスカウトされた。

 その番組放送前日のライブハウスでのライブ。

 小さな会場に大勢の人が集まり、熱気であふれた中で行われたライブは誰もが二人を祝福し、笑顔で地上での活躍を期待しているそんなライブ。

 みんなが楽しんで祝福している中、悲劇が起こった。


「カン!」


 夜の薄暗いライブ会場には似合わない幼い声での悲痛な叫びが会場に響く。

 ライブの煙幕が下がり始める中、サイドから走り出て見える赤髪の子供の姿。このユニットのライブに今まで来たことがある人間は一度は見たことがある人間。

 Donect のマネージメントを務め、楽曲の提供をしているJ.Nという名で活動をしている若き天才音楽クリエイター。

 少女がおぼつかない足取りで走っていった方向では吊るしてあった機材が突如、神無の頭上に落下して来ていた。

 J.Nの悲痛な叫びの原因にいち早く気づいた万里が歌うことをやめ、神無を押しのけて機材の下敷きになってしまった。

 歓声が悲鳴に変わった。

 何が起きたかわからなかった。下がりゆく煙幕からみえたのは万里がステージ上に倒れ込んでいる場面。

「バン!」

 神無が万里に駆け寄り、膝をつく姿を最後に閉まり始めていた煙幕が床に到達し、観客側からは状況が把握できなくなってしまった。

 パニックを起こした会場は混乱している人で溢れかえってた。

 みんな突然のことに泣いていたし、祈っていた。ひどい怪我じゃありませんようにと。

 今もなお、マイクから聞こえる泣き喚く神無の声。

 ヘッドマイクを奪い取ったJ.Nは、そのままマイクに向かって声を通す。


『緊急事態のため、本日の公演はここで終焉とさせていただきます。詳しい状況は分かり次第追って連絡をさせていただきます。係員の指示に従い、お足元にお気をつけてお帰りください』


 思いもよらないハプニングに観客の誰もが慌てふためいている中、会場内に響くアナウンス。

 子供の声でのライブ終了のお知らせ。

 彼の言葉にDonectのファンは大人しく従う。

 どんな状況下でも、どんな些細な情報でも彼らに関わることの連絡を欠かさず知らせてくれた彼のことを皆が信じているから。ここで騒ぎ立てるよりも今自分にできることは無いと判断したから。

 誰一人として文句を口に出すことなく、Donectのファンは職員の指示に従い次々と会場を後にした。


 バン、バンと叫びガラスを素手でどけ始めた神無を制し、誰よりも冷静に判断をしているのは二海道睦月。J.Nと呼ばれる12才。

「カン、素手はダメ」

 救急車の手配を済ませてから、ガラスで少し切れた神無の手を握りどけ、ハンカチでガラスを大まかにどけ始める。

「師匠」

 煙幕を超えて裏に入ってきた学生三人を睦月は視界の端にとらえるも、万里から視線をはずすことなく指示を出す。

 観客の非難を任せていた三人がこの場にきたのなら、観客は全員無事帰ったのだろう。

 睦月のことを師匠と勝手に崇めている継見三兄弟。三人とも睦月よりは年上だが、それでもまだ高校生。まだ社会経験のない人たち。

 睦月よりかは情況把握ができ、いますべきことを探し出すことができる人たち。

「天海、布探してきて。清潔なやつ。陸、万里をどかすの手伝って」

 流石に小六の子供一人で高校3年生を運ぶことなんてできず、まともに動ける状況にない神無と同い年で今動ける陸に運ぶ手伝いを要請する。

 彼らもDonectの手伝いをしてきた人間。睦月の雑用として使われることにはなれている。

 せーので揺らさないようにそっと持ち上げた万里を被害のない場所に移してから止血に移る。

 ただガラスが割れただけで、感電などしていなかったから応急処置ができる。感電をしていたら睦月はその対処法を知らないのでどうもできずに救急車が来るのを待つだけになってしまう。

 そうならなくて心底良かったと安心している睦月は大量の布を持って帰ってきた天と海に圧迫を任せ、遠くから聞こえ始めた救急車のサイレンに備えて外にかけでた。

 担架に乗せられた万里はそのまま救急車で運ばれた。

「陸、カンのこと任せた」

 この場で一番幼い人間から、一番年を重ねた人間を任された陸は、あまり話したことのない感情の荒れている人間をどう対処すればいいのか迷いながらもなんとか対応し続けた。


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