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相原彼方の異世界物語  作者: klow
第一章 偽りの姫
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第一章  三話  馬鹿達との喧嘩


「うおっ!!っとっと‥‥あぶねぇ~。」


急に光っていた部分の一部が崩れていき地面が現れた。今度飛ばされたところは人が周りに大勢いて普通の所のようだった。やっと普通に冒険が出来るのだと歓喜すらした。


『──ぞくっ──』


(なんだ今の悪寒は、俺のブザーがまた反応している?)


確かに人はいて景色も店が建ち並び活気が溢れているが、一つだけものすごーく気になる点をカナタは見つけた。なんてたって・・・


(俺に注目しすぎじゃないか‥‥何がどうなってんだ!!)


ここにいる人たちは嬉々とした、いや、あれは面白がっている笑みを浮かべてこちらを見ている。しかしその疑問は直ぐに解消されることとなった。


「俺はお前みたいな奴好きだぜ!!その勇気と空間魔法を使えるとなってわただもんじゃねーな。心強いぜ。」


横からの突然の声。


その声に反応すると青い髪をした短髪のテンション高めの奴が親指を突きたててさわやかな笑顔を向けてくる。ああ。そうか・・・神様は俺に安息を与えない気だな。


(ま、まて!お前らはすべてを勘違いしている。空間魔法なんて使えるわけないし、なんだよ勇気って!)


「あちらさんも限界のようだぜ。」


親指でカナタらの正面を指す。そこにはモヒカンやリーゼントなどの昔ながらの髪形をしたいかにも悪さしています集団がいた。ここは日本では?と一瞬疑ってしまった。


「いつまで待たせる気だコノヤローーーー。もう待ってらんねーんだよ!!!」

「俺らに喧嘩売ったこと後悔させてやる!」

「バカは困るぜ!まったく。」

「俺の怒りは今頂点に達しているぜぇぇぇえええ。」


「いや待て弟よ。よく考えたらここまで待つ必要は俺らにはなくないか?」


兄らしき奴の発言にそのほかの4人は目を見開いて固まっている。一体こいつらはなんなんだ。見てる分には飽きないが俺を除いてやってほしかった。


「確かにそうだ。やっぱり兄貴は考え方が違うな一本取られたぜ!!」


「兄貴の頭の回転の早さは大国一だな。」


『ハハハハハハハハハハ』


「馬鹿だ・・・。」


「奇遇だな。俺も今そう思ったところだ。辺りの奴らを見てみろ顔がみんな引きつってやがる。だが油断は禁物だ何をしてくるかわからねーからな。」


青髪は俺に注意を言ってまた視線を前の奴らに移す。


「俺らの力を見せてやろうぜ兄貴。」


「おう!てめぇら腰抜かすんじゃねーぞ。」


五人全員が兄貴を中心に横一列に並び、手を前に出した。奴らからはなんか赤いオーラみたいなのが見えたが俺には何だかわからない。


『いくぜ!!ブラザーズ魔法 火炎玉』


そう高らかに言ったはいいもののただの火の球が飛んできた。しかし火の玉は周りがメラメラになっているので危なさを感じる。俺は一目散に横に大きく転がり込んだ。危なかったぜ・・・。


しかし火の玉は軌道がなぜか変わっていてこちらに突進してくる。


(大ピ――ンチ!!誰か俺を助けてくれ)


「おい!!後ろだ後ろ。」


青髪の男が必死に後ろを指す。もしかして後ろに何か武器が!!カナタはすぐさま後ろを向いた。武器。武器はない。そこにいるのは。


「こどもかよぉぉぉおおおおお。」


カナタの後ろには避難しそびれた女の子がいた。こうなったら奥の手だ。


「悪かった降参し『ドォォォォンンンンンンン!!!!!!!』」


もう打つ手がないと分かり手を広げ降参の意を示そうとした時に火の玉が直撃した。


辺りを爆風が強烈に襲う。簡単なことだ火の玉はスピードを落とさず来てるのに俺はいらんことばっかしていた。普通に当たるなあれは・・・。


土煙がおさまってきてようやく辺りが見えるようになると、男達から小さな悲鳴らしき声が聞こえる。なにしろ必殺技を直に当たったのに立っているなんて、ここにいる全員が思わないだろう。


(俺の体最強じゃねーか。これはなんていうか後ろめたい気持ちになるな。まぁ今はそんなことはどうでもいいか。詰めるなら今だな。)


「フハハハ!!!なんだ今の攻撃はこれが必殺技だと、笑わせてくれる。」


気分は魔王だな。いつもの俺はこんなひどいことは言わないがな。もういっそ魔王にジョブチェンジしちまおうかな。


「おい。じゃーなんで最初は避けたんだ・・・もしかして!!!」


「そう。ただのフェイクだ!」


フェイクって?みたいのがみんなの頭から出てくる。日本語は通じても英語はダメだったか、かなり恥ずかしいな俺。


辺りの静粛に耐えられなくなり咳払いをする。


「まぁいい。今さら何をしたって遅すぎる。お前らの脳みそぶちまけてやる!!」


(恥ずかしい思いさせやがって!)


心の中ではまじめではないにしても、彼方の顔は周りから見たらかなり冷徹で冷たい目線を彼らに送っていた。男たちは仲良く悲鳴を上げる。


「あ、ありえねぇーーー。どうかしてるんじゃねーかこの化物が!」


そう言って一気に人垣を分けて逃げだしていく。辺りの人たちも興味が失せたのか行動を再開していった。俺はというと‥‥‥何もすることがなかった。ここがどういう国なのかさえ分からないのだから行動などできまい。


「へぇ~~。やるなお前!あそこで手を広げて魔法に当たりにいくなんてすげぇな!!お前って良い奴だな。」


当たりにいったんじゃない‥‥‥降参しようとしたら当たってしまったんだ。なんて口にだせる訳もなく肩に腕をまわした男に愛想笑いをする。


「俺はフェリス。サリミア・フェリスだ。よろしくな!」


「俺は相原 彼方。カナタでいいぞ。」


握手を交わしてフェリスは不可解なことに気づいた。


「なぁカナタ。お前はどこの国の奴なんだ。指輪をしてないなんて、まさか奴隷じゃないだろ?」


自分の指輪を見せながらカナタに問うがカナタが指輪を持っているわけがない。それに指輪のことなど何も知らないのだから下手に嘘をつくのも危ないな。


(どうするかなぁ~~~~。こいつは信じてもいい奴だと思うけど‥‥)


「フェリス。お前を信じていいかな?」


フェリスは一瞬キョトンとした顔を見せたがすぐさま屈託のない笑顔に変わった。


「おう。俺はお前が気に入ってるからな、なんでも話してくれ。」











**********


場所も変わって店の通りから結構外れた所にあるフェリスの家にいる。日本と変わらないような一戸建ての家は親近感をいだかせる。


「で、何なんだ。」


一階にあるリビングのようなところで俺らはテーブルをはさんで向かい合うように座る。話を切り出したのはフェリスからだ。


「ああ。単刀直入に言うが俺は違う世界からきた。星というかもう時限がちがう所から。まぁ無理に信じろと言わないが本当のことだ。」


フェリスは最初俺の言ってることが理解できないようだったが驚きの顔から段々と真剣な顔に戻っていく。


「ということはだカナタ。お前はこの世界で生まれてないし、戸籍もないっていうことか?」


「そういうことだ。俺はこの世界にさっききたばかりだからな。喧嘩に乱入しちまったのも俺の意思じゃなく偶然だ。あれはもう神様の悪戯としか説明のしようがない。」


「そりゃあ悪いことしちまったな・・・。」


一瞬の沈黙の後にフェリスは一番気になることを聞いてみた?


「・・・・・・カナタはこの世界に何しに来たんだ?」


「んんっとな神様っていう奴から魔王を倒せと頼まれて来たんだが、なんの情報もないからまずは情報収集だな。」


魔王という単語に反応したのか、フェリスは手を顎に持っていきなにかを思案していた。


「つい先日な。一番大きな国のガターナル王国でな、大規模な召喚魔法が行われたんだよ。何のためかはもちろん魔王を倒す勇者を呼ぶためだ。だがそれは何も反応はせずに失敗した。」


そこまで言って俺を見つめてくるフェリス。


「もしかしたらカナタはこの国の予言にある『時を渡る勇者〈イージィスタ〉』なのかもな。」


「その時を渡る勇者〈イージィスタ〉ってのは、何なんだ。」


「確か九十年前ぐらいに魔王は封印されたんだけどな、その封印は百年しかもたねーらしいんだ。だから魔王を完璧に倒す奴がくるって言い伝えがなあるんだよ。」


「なんでまた俺なんかに‥‥‥封印した奴にまた封印してもらえばいいじゃないか!」


「バカヤロー。死んだに決まってんだろう!!誰だって寿命には勝てない。だから必要なんじゃねーかこの世界の救世主が。」


そりゃあそうだな。じゃあ俺がここに来ることはかなり前から決まってたことなんだな‥‥‥。なんか操られているようであまり愉快ではないな。


「んでさ!!」


俺が険しい顔をしていることに気づいて、フェリスが先ほどとは違い元気よく机から身を乗り出して聞いてくる。


「これからどうすんだカナタは?」


そうか‥‥確かにこれから俺はどうすればいいんだ‥‥魔王を倒すしかないし。だけどこの様子を見るにまだ封印されてるんだろうなぁ。


「あのさぁ~魔王ってまだ封印されてたりする?」


「あと一・二年ぐらいは大丈夫じゃね。」


一・二年も待つのかよ。なげーなチクショウ!!これまたいいかげんなあの神に腹が立ってきた。計画性ってものがあいつからはまったくもって見えない。


「なぁカナタ!!お前さぁこの国の騎士にならないか?お前なら大丈夫だ。一世一代の俺の感がそう告げている!」


確かに悪くないと思う。今はフェリスを頼って力をつけたいしな。まさか魔王があんな威力の炎を出してくるとは思えない。今度は確実に燃えカスになってしまう。


カナタはフェリスの目を見つめて笑顔で言う。


「おう。これからよろしく頼むぜ。」





これからもぉよろしくお願いします。

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