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異世界転生・転移ではない話

VRゲームのシナリオ制作者

作者: よぎそーと

「こんなもんか」

 出来上がったシナリオを見返していく。

 入力できる事はしきった。

 テストプレイで実際にやってみた。

 とりあえず問題なく動く事は動く。

 あとはやってみるだけ。



「それじゃ」

 最後の仕上げとして、シナリオの公開を選ぶ。

 これでゲーム世界に自分が作ったシナリオが発表される。

 その後どうなるかは遊んでくれた人次第だ。



 面白ければ好評を得る。

 つまらなければ低評価に終わる。



 当たり前だが、こういう結果が出る。

 とはいっても、それは何をやっても同じ事。

 批判などを聞き入れる気はないが

 一人でも楽しんでくれる人がいる事を願うしかない。



 もっとも、高評価も低評価も得られない可能性の方がもっと大きい。

 なにせ数多くの人間が遊び、数多くのシナリオ作成者のいるゲームだ。

 誰に知られる事もなく埋もれるシナリオの方が多い。

 なので、遊んでくれる人がいるだけでもありがたい。

 そんな中で一人でも高評価をつけてくれる人がいれば奇跡と言える。

 それが多人数参加型VRゲームの特徴だ。



『悠久夢幻譚』というVRゲームは、基本的にはよくあるゲームだった。

 システムもシナリオもこれといって特徴的なものはない。

 演出などもよくあるVRゲームと大差は無い。

 悪いというわけではないが、優れてると評価するのも難しい。



 とはいえ、これは悪い事ではない。

 ゲームを支えるコンピュータの性能がほぼ頭打ち。

 開発期間や資金、技術もほぼ限界。

 こんな状況では出て来るゲームに差がつく事はほとんどない。

『悠久夢幻譚』もそんなよくあるゲームの一つでしかなかった。



 それどころか、数あるゲームの中では不利なスタートだったといえる。

 なにせ、開発したのは数人程度の同人サークル。

 更にいえば、原型となる部分を作ったのはたった一人。

 そんなゲームの出来映えが他を圧倒する事などあるわけがない。



 ただ、『悠久夢幻譚』は他と違う部分が一つだけあった。

 たった一つの独自性。

 この一点が他のゲームとの大きな違いとなっていった。

 それが『シナリオ作製』という機能の組み込みだった。



 シナリオ作製。

 文字どおりの機能である。

 ゲームの中に自分の考えたシナリオを組み込める。

 専用のツールが用意されている。

 これを使えば、NPCの配置に台詞の設定、戦うべき相手や入手できるアイテムなどが決められる。

 それもかなり簡単に。



 この機能によって『悠久夢幻譚』には様々なシナリオが登場した。

 プレイヤー達が様々な物語を組み込んでいったのだ。



 もちろん、制作陣も専用のシナリオは用意している。

 世界を破滅させようとしてる魔王がいて、これを倒しに行くという。

 王道も王道、定番中の定番なシナリオを。

 これを主軸として、様々な付属シナリオがある。

 プレイヤーがシナリオを作らなくても遊ぶ事は出来る。



 だが、これだけではプレイヤーは飽きる。

 魔王を倒したらそれで終わりになってしまう。



 一応、主軸となる魔王を倒す話を終えてもゲームは続けられる。

 ゲームフィールドの上を巡って、モンスターを倒していく事は出来る。

 だが、それ以外にする事がなくなる。



 こういう場合に備えて、ゲーム制作陣は追加シナリオを作ったりするものだ。

 様々な要素を組み込んで、プレイヤーが遊べる話を用意する。

 しかし、作り続けるのも大変だ。

 そもそも、作ったシナリオが面白いかどうかも分からない。



「だったら」

 そこで発想の転換がなされた。

「プレイヤーが作ればいい」

 これが開発者の考えだった。



 制作陣だけで考えても限界がある。

 質もそうだが数にだって限りがある。



 ならば、プレイヤーにシナリオを作ってもらえばいい。

 それを自由に公開してもらえばいい。

 それらを他のプレイヤーも遊べるようにすればいい。



 もともと制作者はそう考えていた。

 ゲーム開発陣が提供するのは、ゲームの舞台だけ。

 そこで展開される様々な物語はプレイヤーが作ればいい。



 創作意欲に富んだ者達はこれに飛びついた。

 ゲーム製作にとって面倒なのは舞台となる世界を作ること。

 キャラクターの能力や装備、魔法にアイテムの効果を設定すること。

 これらを一から作るのも製作の面白さだろう。

 だが、全てを準備するとなると時間も手間もかかり過ぎる。



 だが、これが既に用意されていればどうなるか。

 あとはシナリオを作るだけになる。



 これもこれで面倒ではある。

 どうやって始まって、何が起こって、最後はどうなるのか。

 一つの話をまとめるのは手間のかかる作業だ。



 しかし、これだけ考えれば良いというなら労力はかなり省く事が出来る。

 あとは話・シナリオを考えるだけで良い。



 もちろん、手の込んだものを作ろうと思えば時間や労力は増大する。

 イベントシーンの動画などを作ろうと思ったら、手間は一気に増大する。

 さすがにそこまでやる者は小数派だ。



 だが、NPCを設置して、台詞を設定して。

 イベント用のモンスターを配置するという程度ならそれほどではない。



 たとえば、モンスター退治の依頼というシナリオを作るとしよう。

 この場合、モンスターを退治する依頼人を設定して。

 あとは特定の場所に倒すべきモンスターを配置する。

 モンスターを倒したら依頼人に話しかけ、謝礼をもらって終了とする。

 これだけでシナリオ作製完了だ。



 この程度なら数十分で作製完了になる。

 慣れたものなら十分程度で終わらせる事も出来る。



 この簡単さが受けて、『悠久夢幻譚』には数多くのシナリオが投入されるようになった。

 それを見て更に様々なシナリオを作る者も出てきた。

 そして数が多くなれば、手の込んだものを作ろうという者もあらわれる。



 王道的な怪物退治にはじまり。

 戦闘がない、物語の登場人物になるようなものも。

 シナリオを作るプレイヤーの数だけ様々な形のものが発表された。



 こうして『悠久夢幻譚』は多くのシナリオが存在するゲームになっていった。

 もちろん、制作陣によるシナリオも追加されていったが。

 当然だがプレイヤーの作るシナリオの方がはるかに多かった。

 中には制作陣の作るものよりもこってるものもある。



 そんな者達を見逃す制作陣ではない。

 優れたシナリオ制作者は開発陣に招かれる事もあった。

 そうしてゲーム制作陣は大きくなり、同人サークルからゲーム製作会社へと成長した。



 そんな『悠久夢幻譚』は今も新たなシナリオが作られている。

 参加するプレイヤーによって。

 中にはゲームで遊ばず、シナリオ作製だけしてる者もいるくらいだ。



 そんな者の一人が、新たなシナリオを公開する。

 それは公式サイトにて発表される。

 新規シナリオ公開という専用の情報欄に。

 こうしてプレイヤーは新たなシナリオを発見して挑んでいく。



「楽しんでくれるといいけど」

 シナリオ制作者は不安と期待の入り交じった声をもらす。

 今回作ったものは、王道的なものだ。

 怪物を退治して、報酬を得る。

 いってしまえばただこれだけのシナリオである。



 だが、そんなシナリオでも喜んでくれる人がいる。

 下手にこみいったものより、こういうのが良い、こういうので良いという人はいる。

 そんな人達が楽しんでくれればと制作者は思っていた。



「才能があればなあ」

 手の込んだシナリオを作れるなら良いが。

 残念ながらそんな能力はない。

 だから制作者はある程度諦めていた。

 自分に無理な事はやらないでおこうと。

 自分に出来る事だけでやっていこうと。



 そんな想いが功を奏したのか。

 割と評判は良かった。

 莫大な人気を集める事はないが、一定の支持者・ファンがついてくれた。

 アマチュアのシナリオ制作者としては十分なほどだ。



 ただ、これで終わりたいとも思わない。

 趣味でやってるだけのシナリオ制作ではあるが。

 それでも、それなりに手間のかかった話を作りたいとも思う。

 そんな気持ちから、時間のかかりそうな話にとりかかろうとしていた。



 今回公開したシナリオは、その区切りを付けるためのものだった。

 思い付く限りの全てをとりあえず形にして。

 すっきりした所で次に進むためだ。

 とりあえず、思い付いた王道でワンパターンな話は作り上げた。



 あとは頭の中に残ってるお話にとりかかるだけ。

 最後の最後にとっておいた、時間も手間も労力もかかりそうなおおきな話を。

「さてと」

 あらためてシナリオ作製ツールにとりかかる。

 長い長い制作作業の第一歩を踏んでいく。



 その最初の一歩を踏みこんで、シナリオ制作者はゲーム世界に突入していった。

 プレイヤーとは別の形で、別の方法で。



RPGツクールで一番面倒なのは、地形作り

そんな思い出からこんな話を思い付いた



あと、大戦略というゲームのマップ編集という機能

これが人気の要因の一つだったという話も聞いて


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