図書室の本に貼られていたおふだを剥がしたら、魔物が出てきたので取りあえず真っ二つにする。
ある日の放課後。
図書委員の俺は、図書室で本の整理をしてると。
「ん?」
図書室の奥の本棚の、踏み台がないと取れない高い位置の端の端。英語のタイトルが書かれた分厚い本が並ぶその下に、タイトルのない本が横倒しにされて入れられていた。
「誰だよ、こんな入れ方したやつ。ちゃんと本棚に立てて入れろよな」
チッと舌打ちしながら、その分厚い本の下敷きにされていた本を取った。
「何でこの本タイトル無いんだ?…てか、変なテープがされてるせいで、本が開かないんだ…けど」
その本の開くところに何故か『封印』と書かれたおふだが貼り付けられていた。
「ふーん…」
ニヤッと笑い、俺はそのおふだを…
ばりっ!
思いきり剥がした。すると、ガラガラに枯れたような男の笑い声が聞こえてきて、どす黒いオーラをバックに纏った、全身真っ黒の大きな山羊の角のようなものを生やした、悪魔のような男が本の中からズアアと現れた。
「愚かなるニンゲンよ。オレの封印を解いてくれてありがとうな。封印を解いてくれた礼に、俺様直々に貴様を始末してやる!」
その男は両腕を広げ、ゲハハハハと笑い声を上げた。
「さあ!貴様をどう始末しようか。八つ裂きか?細かく刻むか?それとも─」
俺は、男が話している途中で。
「五月蝿い」
ザンッ!と、手刀でその男を真っ二つに裂いた。でも、殺したわけじゃない。
「闇に蠢く此の魔物を、再び封じ、閉じ込めよ。【呪縛蔦重】」
俺はそう唱えながら、その魔物が封じられていた本の前で四字の術名を、指で文字を書くようにすると。シュルシュルと、本に蔦のようなものが絡み付き、俺特製のおふだをその本に貼る…のではなく、染み込ませた。
魔物を再び、本に封じた。今度はさらに強力なおふだを貼っ付けてやった。
「こんな魔物が封じられてる本が、何でこんな普通の学校の図書室にあるんだよ。…誰か、わざとここに紛れ込ませたな?誰かにこの魔物が封じられた本を開けさせて、この学校を魔物の巣窟にする計画だった…ってところか」
魔物が封じられた本を見つめながら。
「…まあ、なんでもいいや。この本に残ってる僅かな魔力を辿って、本をここに置いたヤツを縛り上げて聴けばいいだけだからな。ふん、平和でつまんねぇ学校と思ってたけど…そいつは少しでも、俺を愉しませてくれるかな?」
ニヤッと、俺は笑みを溢した。