欲しい果実。
買い物帰りに目について
二人で重い思いをして
持ち帰った観葉植物
何も無い部屋だけど
これを飾ったら葉が揺れて
自然の風を感じられるかも
二人そんな気がして買って来た
エアコンの風に揺れる葉を見て
シラケる二人に
バカバカしさが笑いを誘う
買ったツマミをそのまま開けて
シラケる風を肴にビールを注ぐ
無駄でバカな大きく重い買い物は
シラケる笑いを思い出にと
寛容な心を注いでくれた
眺める葉のゆらめきに
静かにビールが注ぎ足される
二人がゆらめく酔いどれの刻
私と付き合って良かった事は?
不意に向けた問いかけに
貴方は具体的な話ばかりを返すから
浮かれたいのに現実に引き戻されて
ツマンナイ
だから私はもういいよ
って返しただけなのに
貴方は私を解らせようと
物の形に言葉を付けてしつこく語る
私が求めているのは
甘い甘い恋愛の果実
なのに貴方の応えは
酸っぱい酸っぱい現実の果実ばかり
もうウンザリ
そっぽを向いた私を
宥めたいのか甘え上手か……
貴方は私を後ろから抱きしめて
抑え込んで解らせたいのか
しつこく静かに耳元に囁いてる
聞きたくない
もういいって
言ってるのに……
俺の髪を切ってくれる
自分では見えない頭の後ろに
君が居てくれる
君だから任せてる
下手でも良いんだ
失敗して変な髪形になっても
構わない
だって
それでも君は
俺と一緒に歩いてくれるんだから
俺は君と一緒に歩くのが
好きなんだ
君と付き合って良かった事は
君が隣に居る事だ
どうしてそれを先に言ってくれないの?
スネた分だけ損した気分
酸っぱい酸っぱい果実の中には
甘い甘い種の実が隠れてた
あなたがくれる
欲しい果実