表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/49

 幕開け

AM

07:14、この時間、一般人なら通勤や通学、あるいは学校や職場にいてもおかしくないだろう。まぁ、そんなこと、このクズの前ではもうすでにどうでもいい話だが。

「おい、いい加減起きたらどうだ。小学生だって、この時間は起きているものだぞ。」

「うるさいなぁ。睡眠は絶対不可欠な要素で、気持ちよさのランキング一桁には二度寝が入ると聞く。そんな誘惑に抗う理由としてさしずめ、あんな奴らみたいな社会の傀儡は、どうせ怒られたりするのが怖くて起き出すのであって、決して自主的に起きようとはしない。仮に自主的に起きるのが、好きな奇特なやつらがいたとしても、行きたくもない学校に行くようなやつはやはり奴隷と言ってよいだろう。また、さらに起きるのが好きで、学校が好きな大変人がいたとしても、学校でやれることはすべて別のことでできるし、むしろ学校以外でやった方が効率がいい。例えば、勉強なら、教科書や参考書を買って学べば学校の進度よりずっと早いし、脳の定着率が低い授業や参考書に載っているようなことしかカバーしない小テストを行うだけの学校よりずっといい。また、わからないところがあれば、ネットで聞けば済む話だ。交友に関しては、ネットで友達を見つけたり、学校に通えないような障害者や学校に通えない貧しいところなどの心理的に脆くなっているところから友好を深めていけば、将来的にも友達を超える傀儡にすることだってできる。というわけで、お前が言った奴らは全員社会の奴隷だ。さらに、抽象化すると社会の一般の奴らは全員奴隷だ。だから、あいつらの一見真面目に見える行動全てがそこまで偉いわけでもない。よって、比較する対象が間違っているぞ。」

「はぁ...。よし、お前の思考パターンでいくなら、今ので、意識は十分覚醒しているはずだ。だから、体を動かすのも億劫でもないだろ。そのまま、寝ていても結構だが体は早めに動かしとかないと、ホルモンバランスの関係で、夜眠りづらくなって、起きるのよりずっと苦しい未来が待ってるぞ。...って、聞いてるのか!?」

「... .... ....」

「...。説教途中に二度寝か...。はぁ...、言いたくなかったが、しょうがない『おい、未來にあわせる客だぞ。』」

まぁ、これを言えば本人の意思とは関係なく起きるだろう。全く世話がやけるクズだ。と思っていながら、先ほどからずっと廊下で待たせていたとある人物をこの部屋に通した。

「お待たせしてすみません。お茶と菓子の用意をすぐに済ませますので、少々ご退出させていただきます。その間、この愚人を好きにして構いません。どうかご寛ぎください。」

と社交辞令を言い、その人物は、部屋から出て行った。今更の敬語に慇懃無礼としか思えなかったが、それもどうでも良い。

「おい、****。ここからの会話はすべてーーーーーーーーーーーーーーーーーさせてもらう。」

「はぁ、そこまで知ってるのか。まぁ、いいよ。おもしろそうだし。で、何が知りたいの?」

「ーーーーーーーーーーーーのことだ。なぜ、そうした?」

「自分の夢を叶えるため」

「まったくなにもかよ予定調和だったのか?いやどうでもいいか。さて...」

と言った途端、話していた客は、存在そのものがなかったかのように霧散した。そして、

「まぁ、せっかく来てくれたんだ。歓迎させてくれや、客人。ん、何隠れているんだい?君にはとっくに気づいていたよ。まぁ、そう身構えず、近寄りなされ。これから、君にはとある一人の男の話をしよう。これは、僕以外誰にも知られていない話だから、きっと驚くはずだよ。昔々.....。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

* 語り継がれもしなかった話*


昔々、それは人類が現在と比べると、科学のスタート点にも立っていなかった頃の話、つまりはニュートンよりもずっと昔の話だな。この時代、科学なんていう言葉はなくて、あったとしても博物学っていう総合学問というようなものでさ。後々にソクラテスの弟子である理想主義のプラトンが唱えたイデア論を思いつくんだけど、案外それが的を射ているんだと思うんだよね。ああ、ごめんごめん。イデア論といってもさすがにわからないよね。私も詳しくは知らないけど、イデア論っていうのは、世界には現実世界とイデア世界の二種類に分けられていて、もともと人間は”理性”という力が源の魂だけのイデア世界の生き物だけど、赤ちゃんになって生を授かってからそのイデア世界の記憶を忘れてしまうんだって。だけど、魂があるということは、”理性”はまだ残っているわけ。その”理性”の力を使うことができれば、人を幸福に導く真の知識、つまり真理が手に入るんじゃないかって説なんだ。今からしたら眉唾物なんて言われるかもしれないけど、それってカント、あ!ごめんごめん。ようは、カントっていうおじさんが、精神世界とかの話は、いくらしても無駄だからもっと現実的な話しようとか言い出して、今はそういうのは、信じるに値しないものとされたんだ。しかし、現実問題、今の技術でさえ人が健康に過ごすには、どんな栄養素を取ればいいかさえ分かっていないんだ。だからプラトンの説の真偽はもっと実際どうなのか証明されていないんだ。だから、わたしは、今からの話す話の”能力”の源って、”理性”の力だと思うんだよ。もっとも、私が考えている”理性”とプラトンが考えている”理性”は全くの別物だけど。うん?長ったらしい?あー、ごめんごめん。じゃあそろそろ始めるね。誰にも語り継がれなかった物語を。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ