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絶対的意志

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…本気で死を覚悟した。これがハッタリだったら、どれほど良いだろうか。しかし、本当に相手の手のあたりに肌で感じられるくらいの熱さがあった。それは現時点で10cmくらいしか離れていないが、肌が火傷しそうなほどの熱量を発していた。目に見えるほどのエネルギーの塊があった。それは、目の前に存在しているだけあって呆れるほど見た太陽よりも眩しいように感じた。これが幻想ではなく紛れもない本物の兵器…冗談ではなく本気でそう思った。だから、こいつが本物の”気功”の能力者だと思った。だから、俺は本当に死ぬと思った。だから、これから僕は、テイミリィを置いていったどうしょうもないろくでなしになるはずだ。だから、僕は結局、『大罪人』として人生を終えるんだと思った。だから、結局僕には何もできない。???だから?因果関係??さっきからやたら、使っているような??僕の思考って、そこまで単純だったっけ??いや、関係ない??どう考えても終わりだろ??サナエ、お前はそのまま大罪人として生涯を終えろ!...??いや、おそらく違う…いや、多分違う…多分?その根拠は??...、....ない。ないけど違う。根拠がない時点で、違わないことが立証されたのと一緒じゃない??...、...いや、やっぱりそうだ。この思考自体が俺のものじゃない。その根拠もないと今言ったじゃないか?あるのかい?そう確かにそんなものなど微塵もない。この矮小で罪深い僕が、そんな証拠なんて出せるわけない。…いや、本当にそうだな。逆接の余地もないな。ああ、そうさ。僕は、結局小さき人だったのか。…うん、結局そう結論づけて、意識を暗い闇の中に埋めてしまおう。そうすれば、もう何も傷付かなくて済むし、愛に飢えることもない。そして、もう2度と誰も傷つけずに済む。うむ!万々歳じゃないか!...誰も傷つけずに済む?本当にそうなのか??誰か。大切な人を忘れているような…いや、そんな人間はいない。…じゃあ、『その根拠は?』...ほら、ないだろ?...時間なら余るほどあるんだ。いや、あるのか??うつつでは、僕はいま死の間際だ。今の状態が、走馬灯というものかどうかはわからないが、この長さの思考ができている時点で、時間の概念すらないだろうな。…ま、これも推測に過ぎないが、今やれることは思考だけだ。なら、やってみるのも一つの手かもしれない。…まず、僕はたくさん周辺の町、村の人を虐殺した、自国の経済状況を大きく狂わせた、それによって多くの人が今でも苦しんでいる、今でも憎しみを向けてくる人はたくさんいる。じゃあ、貧民街のみんなは?...おかしいな。確かに、みんな、僕に対してある程度の距離は置かれているが、、別に嫌われているわけじゃない。じゃなかったら、この僕の捜査など協力すらしないだろう。…どうしてそうなった。どうして憎むべき相手が目の前にいるのに、、考えられる部分は…仕事の件か?...いや、違うな。あれは生きていく上で必要だからやっているだけだ。…じゃあ、これまでの仕事で一人の犠牲者も出さなかったことか?いや、それもありえない。そうしてきたのは、全部テイミリィのためだ。…僕達は生まれた頃から両親がいなかった。僕は幼い頃から憎まれ続けたが、なぜ行動し続けられたのか?...全部テイミリィのためだ。僕達が幼い頃、この貧民街は、シャーリドさんによって立て直されている最中であった。そんな段階であったため、シャーリドさんから送られる衣食住はなぜだが保証されていたが、ここでせめてテイミリィが快適に暮らしていくためには、最大の問題要素である僕がしっかりとしなくてはいけなかった。つまり、周りと調和していく必要があった。だから、まずはいろいろなことを手伝った。…それからもずっと同じだ。…必要な技術を教えなかったのも、暴走した僕にそれらの知識を悪用されるのを防ぐためであろう。だから、ぼくは能力以外なんの技術も持ってない。しかし、そんなことはどうでもよかった。テイミリィ、愛しい彼女さえ幸せでいてくれるなら…、…全ての行動がテイミリィのためであった。このように、僕は何一つこの貧民街のために行動していない。だから、僕を嫌わない理由がない。…!...唯一の可能性に思い至った。一番最近の心に響いたこの言の葉…似たようなことを彼女は何度、街の人に放っただろう。いや、それだけじゃない。...僕に気付かれないように何度もそれ関連の言葉でも放ったのだろう。それと同時に、酒場のバイトをして…人気になるにつれて、それらの言葉が重みを持ってきて、人々に伝わったということか…なんだよ…、…結局、立場が逆じゃないか。…テイミリィの成果に対して、僕の成果といえば、、、皆無だな。テイミリィは、自分で自己と僕の評判を上げたというわけだ…ははは…なるほど…確かに、僕は僕の想定以上のクズだったわけだ。自分のやったことをなかったことにしようとして勝手に自分で記憶喪失になって、そのため目の前の現実がどうなっているかわからないから、とにかくテイミリィだけはと思って、必死にもがいた結果、結局自己満足で終わったってことか。…最低だ!!結局、、頑張っているふりだけしたヒモ野郎と変わらないということか。…もはや笑う気力すら無くなってきた。全身が強く脱力した。どれくらいの痛みを受けても平然としてられた自分がたった一つの真実で心が崩壊しそうだった。…僕にできることなんて、あるのか??こんな逃げて、逃げて、逃げた結果…何も残らなかった自分になにが…、いや、…その思考の時点でもう逃げ始めている。。ならば、、、逃げ続けた結果が今の僕、、、それじゃあ、逃げなかったら?もっと苦しんで、誰よりも苦しみながら、今までやってきたことを帳消しにするくらいの大事を成したら?...今の僕が生きている時点で、彼女に更なる災いをもたらすかもしれないのに…いや、もうこの際そんなことは考えるな。できないことを考えてもしょうがない。お前の言った通り、僕は大罪人として生涯を終える。…ならば、またもう一回罪を犯そう。クズは最後までクズのままでいるわけだ。結局、最初から答えは決まっていたんだ。どちらのせよ、僕のわががまを最後まで貫き通さないと、大事な彼女の死亡率が上がる。自分のわがままで世界を壊すことになっても、それは避けないといけない。自分はどうしようもない人間であるけど、それくらいやらないと僕を信じてくれた彼女をどんな要因であれ、殺したも同然だ。


 そう最終結論を下した。


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 気づくと、目の前にいるはずの三人目の加害者はいなくなっていた。しかし、場所は三人目の加害者の部屋である。…今のは一体なんだったんだ?...起きた症状からして、能力の一部であろうが…いや、そんなのは今はどうでもいい。どうせ、今起きた情報からではどんな能力か確定できない。まずはあいつがどこにいるか探すところからだ。…と言っても部屋中を探したところで、奴の姿は見当たらない。ベッドや棚などの隠れ場所も隅々まで探したが、見つからない。もちろん外も同様である。僕の結界で、奴は外から出られないため、残された場所はあそこだけである。


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…なんとか逃げれた。と思った自分が浅ましかった。…この地下通路の存在は流石に数日で知られていないだろう。と思った自分はさらにあさましかった。…目の前には、地上で見た硬すぎる結界が地下深くにも伸びていた。この結界がある限り、理性は当然として電波ですら祖国へと伝えられない。…どうする?今回の能力発動は奇跡的に条件が合っていたから、あそこまで上手くいった。だから、サナエ(ターゲット)は今頃、ただの”もの”へと変わっているだろう。…本当にそうか?あのトラップを1秒で抜けた猛者だぞ!..あのトラップを受けただけで、何体の猛獣が死んだと思っている!サナエ(ターゲット)はそれを平然と受け流すような超人だ!!だから、自分の能力ももう解いてしまったかもしれない。…もしそうなったら、…最悪の方法だが、命乞いしか方法が残っていない。嘘をいくらついても彼の能力を考えると絶対にバレる。かと言って、ここで死ぬなんてまっぴらごめんだ。…いや、一つ取引材料があったな。…『ターゲットの妹の情報』…うまくやれば、我らは助かるかもしれない。…一か八かやってみるか。

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