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転送術士候補生  作者: よのもり せいう
18/23

その18 脇役(Part. D)



街道に出るまでに、数十体のスケルトンを解呪した。

術者の位置は既に探知済みであるものの、その

意図が未だ分からなかった。


警戒しつつ進んでいけば、そこで魔物に囲まれた教え子達の姿を見つけた。


「危ないから下がってください―!!」「…?」


アンデッドと戦う青年と、それらに威嚇する使い魔と、張り詰めた表情の教え子。

彼女も転送術で懸命に援護はしていたようだ。


青年の方はどうやら私を心配していたようだったが、周囲のアンデッドを数体解呪してみせると、今度はこちらに剣を向けた。

正義感に溢れる鋭い表情が、実に良い。


「貴方はこの事件の張本人ですか…?」


「ああ…確かに誤解を受ける状況ですが、違います。もし私なら、こんな不完全な蘇生はしませんからね。」


「あっ!本当ですっ、その人は私の先生ですっ!!」


「そうなんですかっ!?;」


ハーミアの一言で、慌てて剣を収めて非礼を詫びる青年。

私が彼女の師だからといって、なぜ敵でないと言えるのか。

彼彼女に若さを感じる。


「僕はルーシェといいます。冒険者として果樹園の警備の依頼をこなしていたら、アンデッドが森から出てきたので、その出元を追ってきたんです。」


「そうでしたか…教え子を助けて頂き、ありがとうございました。私はディアス、魔術学校スコラ・リンデの教師です。そしてこの子は、転送術科の学生のハーミアです。」


ちらりと彼女を見ると、慌てて恩人に頭を下げている。

そんな様子に微笑み、よかったと気さくに微笑む青年。

さて、こういうときは…。


「…お礼となるかはわかりませんが、これを。私は死霊に嗜みがありまして。」


彼の剣に解呪の効果が追加される魔術をかける。

これに触れられれば、並のアンデッドなら即座に元の遺骸に戻されるだろう。


同時に周囲に悟られないよう、さらりと術者の位置を耳打ちする。

教え子にはこれで問題解決と思わせるために。


ルーシェは状況を理解して、お礼と共に颯爽と敵へと向かって去って行った。

後には我々だけが残った。



その18 終

【ひとこと事項】


・ディアスが見た戦況

 青年は既に複数体のアンデッドを倒していた。ライトは爪や牙でハーミアを守り、近づくアンデッドに威嚇していた。ハーミアも意外に奮戦し、アンデッドを遠くに転送するなど、青年が1対1で戦いやすいよう環境を作っていた。


・アンデッドによく効く魔術

アンデッドを生成する魔術と逆の手順が行われる術式を剣に与えた。


・ルーシェ

偶然今回の危機に居合わせた、冒険者の青年。


挿絵(By みてみん)


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