女国盗語
フィクションです。そして初小説です。
ほんとに慣れてないことも知らないこともありますので
何か気になる点や間違ってる点などありましたらやさしく教えていただけると作者は安心します。
え?前書きはそういうことを書くところじゃない?
聞こえませんね・・・。(汗)
走る。走る。
裸足の足に石がくい込んで血が出ても、もう走る力が限界に達していても、追いつかれてはいけない。
捕らえられてはいけない。
生きなければ・・・いけない。
「・・・っ!」
思わず転んでしまった。背後から忍び寄る殺気に思わず身体が震えた。
後ろを振り向き下からそいつを見上げる。そいつの背後に登る満月のせいで顔ははっきりと見えないが、私にはわかる。
私は・・・こいつに殺されるのか。
そいつは刀を振り上げいっきに私に振り下ろした。
「・・・は!」
驚いて布団から上半身をいきおいおく起こした。
私は夢を見ていたらしい。妙に現実味を帯びた夢を。
「変な汗が止まらない・・・。」
行水でもするかと思って部屋を出ようと襖に手をかける。
すると遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。そしてその声はだんだんと大きくなる。近ずいているのだろう。
「起きましたか!姫様!どちらに行かれるのです!?しかもそのような着物一枚のお姿で!もうご飯は出来ております。着替えを手伝いますのでお部屋にお戻りに・・・。」
村上法隆
私の世話役で、いつもいつも口うるさいやつだ。そもそも男だと言うのに何故着物を着替えるのを手伝う・・・あれか?変態なのか!?
「いや、変な夢を見てな。汗をかいたから行水を・・・。」
「な!なら!私めが汗をお拭きに。」
「お願いだから、その口を閉じてくれ。」
その後はなんとかそいつをおさえて、行水に行き。身体を清めたところで着物を着た。薄紅色の花柄の着物だ。
「姫様?一体どんな夢を見たのですか?」
「うるさいやつだ。食事時くらい静かにできないのか。」
「すみません・・・。でもあの姫様が冷や汗をかくなんてよっぽど恐ろしい夢なんだと・・・。」
こいつは私が話さないと口を閉じそうにないな。
「はぁ・・・殺されたんだ。」
「誰にですか!?」
「いや、夢だからか顔はぼんやりとしてて覚えていない。そもそも殺されそうになったのは私じゃないんだ。」
そう、あの時見た夢は確かに私ではあったが外見が私ではないのだ。
「不思議な夢ですね。赤の他人の夢ですか・・・。」
「まぁそんな夢もあるだろ。」
所詮夢だ。気にする事はない。
「そういえば今日はお見合いですね♡」
「ブフォ!」
思わず飲んでいたお茶を吹いてしまった。そうだった。好きでもないやつと今日お見合いをして、父上のために私はその者に嫁ぐのだ。
たしかなんといったかな。えっと・・・
「おい、法隆。相手の名前は。」
「龍田香織様ですね。龍の血を引くとか引かないとかの、あの龍田様です。」
龍田・・・。あの家は昔から龍の一族と言われている。私が住むこの国は島国だが、とても広く。4つに分割されていて、それぞれの地を統治する長がいる。そのひとつの龍清都を治めているのが龍田家の者達だ。
私はこの龍清都に住んでいる。
それにしても
「きっと相手方は、ご立腹なさるでしょうね〜。」
こんな男勝りな女子が相手で。
「たしかに姫様は男勝りで、頭もよく、なぜ男に生まれなかったのだと思うほどの器量の持ち主ですが、顔立ちは美しく品位もあり、なによりとてもお優しいココロをお持ちです。もっと自信を持ってください!」
褒めても何も出ないし、私はこいつに対して優しい行動をとったことはない気がするが・・・。
とりあえず家の将来のために相手に気に入られるよう身だしなみは整えていこう。その他は知らん。
そうして私は準備にとりかかった。