表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/26

第2話:猫は被ってるんだけどさ?

 ウグイス嬢アヤ先輩による朝礼のお知らせが流れ、俺、ヨードーちゃん、マリサ、そして俺の側から離れようとしない発情期のクマとグランドに向かった。ケツでも触ってきたら悲鳴あげてマリサに泣きついてやる。

 「すいませんミヤコさん。キョウタロウさんが抜けたので今朝だけ生徒会役員の位置で待機して頂けませんか?」

 ということでキョウタロウの定位置、つまりミユキ先輩の隣で”休め”の姿勢を取っていると集まってくるこそばゆい視線。主に男。思わず首を掻いてしまう。朝礼台に美月ちゃんの美人ママがコツコツとハイヒールの音を立てて上がり、アヤ先輩からマイクを受け取って

「月曜日でもないのにごめんなさいね。今日は皆さんにお知らせがあって集まってもらいました」

砕けた挨拶から朝礼が始まった。クイとメガネをあげて美月ちゃんママは俺に”あがって来なさい”と手招き。……まじですか? 隣のミユキ先輩に”大丈夫だ。緊張しなくていい”と優しく背中を押されて金属の階段を一段、二段、三段と上ってメガネ美人の隣に立った。ざわめき。全学園生が一望できて壮観、だからこそ目のやり場に困ってついついマリサに視線を送ってしまう。よっぽど情けない顔してたのか”安心して”とウィンクされた。チキンになったな俺。

「今日は皆さんに”学生交換プログラム”で武装高校から当学園に通うことになった、後宮ミヤコさんを紹介したいと思います」

とだけ言うと美月ちゃんママは俺の耳に口を寄せて

「うまくやるのよキョウタロウ君」

呟いてからマイクを差し出された。本当に信じてくれたんだな、ニッコリしてるママの目を見ながらマイクを受け取って……でも何言おうかな。スピーチネタ何も準備してないし、名前と出身校も、もうママに言われちゃったしな。趣味とか? いやまぁまず挨拶っとくか。顔の前で風と遊んでる柔らかな髪を後ろに流し、愛想良く微笑んで

「おはようございます」

「「「「おはようございます!!」」」」

う! すごい熱気……。まぁ重複になるがテンプレ通り行くか? いや少しヨーモアがあるほうが良いよな。

「武装高校から来ました後宮ミヤコと申します。ウシロミヤミヤコってミヤが二回も続くのでミヤミヤって呼んでも良いですよ」

クスクスとほのかな笑いが起きた。どこの高校にも一人二人はいるお調子者からの”ミヤミヤー”ってコールももらった。笑いはこんなもんで充分だろう。後はマジメにいっとこう。

「それで、入れ替わりに武装高校に通うことになった生徒会役員の後宮京太郎とは従兄妹(イトコ)の関係にあたります」

ドっと笑いが起き……そこ笑うとこじゃないよねぇ!? 俺はそれを飲み込んで笑顔を崩さず

「まだまだ分からないことがたくさんありますが、一日でも早く馴染めるよう、精一杯頑張りますので、どうか宜しくお願いします」

両手を体の前で組んでペコリ。湧き上がる拍手の中、ママにマイクを返して朝礼が終わった。

 昼休み。いつものキョウタロウのノリで弁当を忘れる。マリサと美月ちゃんが机をドッキングさせてる中、所在の無い俺。あれはやっぱりキョウタロウだけの特権だったんだよな。そう思わされたのは美月ちゃんが机に乗せたお弁当箱のサイズ。女の子一人に適量って感じだ。お袋が今朝に美月ちゃんママに電話入れたから”俺”が来ないのを知っていたんだろうな。しかし当然マリサには伝わってなかったので、相変わらず大きく真っ白なお弁当箱をシュンとした様子でオープン。あ〜それすごい食べたいんだけど、っていう意思が伝わったのか、マリリンは机でグデっと断食苦行してる俺の方に体ごと向けて

「あの、もし良かったら手伝ってもらえませんか? 分量間違えちゃって」

と寂しそうな笑顔。美月ちゃんはそれに何を思ったのか布巾を広げる手を止め、チラっとマリサを見て次に俺を見てからニッコリと微笑んで

「迷惑じゃなかったら、私のもどうぞミヤコさん」

やっぱりあなた達は女神様だ!

「ありがとうございます本当に」

俺はペコペコしながら自分の机をくっつけていつものフォーメーションを完成させることが出来た。その時に聞こえてきた”あ〜”という落胆の混じった数々の声に振り返ると”ミヤコちゃんを食堂に誘おうとしてました”って感じの男子生徒諸君が肩を落としながらゾロゾロと教室を出て行くのが見えた。その背中へ呆れたように溜息を吐いてるお二人様。ま、今からカツサンド争奪戦に参加しても望み薄だろな。残念賞(アンパン)で我慢しなされ。ヒラヒラと手を振っておく。

「あ、そうだ」

美月ちゃんはいきなり席を立つと

「お手拭、お母さんからもらって来ますね」

そう残してオレンジのリボンを揺らしながら教室を出て行った。そうだ俺の分だ、悪いことしたなぁ、と見送っていたら

「はい、お箸どうぞ」

いつもの水色を俺に差し出しているマリリン。普段の俺の居場所をそんな所に見つけて、身に起きてる非常事態に束の間の安堵。感謝しつつ”どうも”と受け取ろうと手を伸ばせば

「あ」

突然引っ込めた。そして慌てて

「ごめんなさいこちらでしたわ」

それからいつもマリサが使っている白いお箸を俺に手渡した。今の動作絶対何かある。マジマジとマリサの顔を見ると何故か頬を染めて目線を反らしているツインテール。小鼻を指で掻いてるのもワザとらしい。”フラグあり”と感受性の鋭くなったミヤコセンサーが告げている。ミヤコちゃんの直視攻撃に耐えかねたのかホウっと息を吐いてマリサ、ちょっと苦笑いして

「キョウタロウさんと違って鋭いですね。ミヤコさん、白状しますわ。実はこのお箸、(ワタクシ)の特別な人がいつも使ってるものなんです」

ほ〜らやっぱりフラグだったろ? な? ……って、え?

「まぁ、私の一方的な片想いなんですけどね」

まさかの爆弾発言に凍てついて氷の女王シヴァと化してるミヤコちゃんに気付かず、マリサは窓の外に目を向けながら

「毎日毎日、その人のために朝4時に起きてお弁当作って、朝はお出迎えして、帰りはお送り。本当に自分でも滑稽なくらい態度で示してるつもりなのに。あの人は幼いころから相変わらず」

一瞬、空よりも青い目線をニコっと向けて来たので慌てて黒板を無意味に注視。聞こえてきたマリサ嬢の溜息。

「昔の自分を恥じて磨きをかけて、一途な思いで女性としての嗜みをせっかく身に着けましたのに。あの人はそれよりもどうやら幼い頃のじゃじゃ馬娘がお気に入りのようで〜」

”俺”専用の水色の箸をつまらなさそうに、鉛筆回しの要領でクルクルっと回すマリサ。

「ほんと、(ワタクシ)はいつまであんな男性染みた道化師(ピエロ)を演じなくてはならないのでしょうか」

最後にちょっとスネるように呟いて、恐らく世界一間抜けな顔してるであろうミヤコちゃんに”どうぞ”と水筒のお茶を入れてくれたマリサ。万が一なんだけどさ、コイツ猫を被ってるのは間違いないんだけどね、その相手ってクラスメイトの皆じゃなくて、俺にだけ被ってることはないかな? ”じゃじゃ馬娘”っていう風変わりな猫をさ。

「お待たせしました」

美月ちゃんが戻ってきた。

「ミヤコさん」

「は、はい!?」

慌てて振り向けばマリサがウィンク。その青い瞳が”今のは内密に”と告げていた。言えるわけないだろ、誰にも。”俺”にもさ……。

 「ごちそうさまでした!」

ミヤコちゃんはいつものようにピタっと手を合わせて感謝。それに

「何だかキョウ君そっくりですね」

口元に手を当ててお上品に笑ってる美月ちゃん。まぁ本人ですからね、そして来ましたよ。ええ、来ましたとも。ラメの入ったリボンに包まれたパンドラの箱。ゴクっと生唾を飲み込む。チラっとマリリンを見ればそのコバルトブルーの美しい瞳が

”ミヤコさん。あのクッキーを口にしてはいけません”

知ってるさ。しかし今回はシロクマ遅いな。数少ないお前の出番だというのにどこで(シャケ)狩りしてるんだアイツは。さっさと残念賞(アナパン)片手に戻ってきてベトナムの戦線に復帰すれば良いものを。俺は同じくアイコンタクトで

”平気です。こう見えてお腹はかなり丈夫なんですよ、むしろ私に任せて下さい”

マリリン100万ドルの笑顔のまま

”いいえキョウタロウさんの親族を危険な目に遭わせる訳にはいきません”

俺はウィンクでもって

”そんな大げさです。ただのクッキーじゃないですか”

フルフルと小さく首を振るマリサ

”ミヤコさん、園田さんは私の無二の親友なんです。彼女を傷つけないように食べられるのは私だけなんです”

続けて

”キョウタロウさんならこういうとき、いつもうまく切り抜けてるんですけど、私不器用だから”

聖母のような微笑。なんだこの涙ぐましいアイコンタクトは自己犠牲と友情の極みじゃないかマリリンあなたはマリア様ですか。俺は込み上げる熱いものを堪えて

”ば、バカ言ってんじゃねーよ。俺が引き受けてやるからお前はトイレにでも行くがいいわ”

”そんなこと出来る訳ありませ……って今の発言!?!?”

「「あ」」


核地雷踏んじゃったねミヤコちゃんあっはっはっはっは。


「ミヤコさんちょっといいかしら?」

立ち上がったマリリン、口からエクトプラズム吐いてる俺の腕をガッチリキープ。その握力が”ちょっと来いや”と告げている。俺は下腕骨を砕かれる前に

「な、何でしょう八雲さん」

震えて上ずった声をあげつつ任意同行に従った。

 二人きりの屋上。ミヤコちゃんの前で手を後ろに組んでニコニコしてるマリサ。生きた心地が致しません。空は快晴、心は暗雲。

「さて、まずは最後のセリフについてご説明願えるかしらミヤコかっこハテナさん?」

長いテールの右片方を指でいじりながら流し目のマリサ。もはや名前に疑問符ついてるのね。俺は純粋無垢を装って首を傾げて

「え〜っと……何のことでしょうか八雲さん?」

「あのクッキーを巡っての会話のことですわ」

シラを切り通したほうが良さそうだ。

「会話? クッキー? ん〜」

俺はやはり純粋無垢を装って唇に人差し指を当て、パッチリ目を快晴の空に向ける。

「では、私がそのまま復唱しましょう」

コホンと咳払いしてからマリサ嬢。

「ば、バカ言ってんじゃねーよ。俺が引き受けてやるからお前はトイレにでも行くがいいわ俺の愛しい婚約者(フィアンセ)

「いや最後捏造しないでくれ」

瞬間極悪な笑みを浮かべたツインテール。やばいやばい突っ込み厳禁! 

「おやおやおやおや〜?」

ズイと鼻の先と先が付くほどの距離まで詰め寄って来たマリリン。壁際いっぱいいっぱいで俺は手をサカサカさせて

「あ、あんまり突拍子もないこと言うからビックリしたんですよ私!」

迫力確かに凄いんだけどさ、やばいくらい可愛いんだわ。あとすごく良い匂い。心拍急上昇。何とも複雑な感情を味わってるとマリサ一歩後退。

「すみません失礼致しましたわ」

100万ドルの笑顔に戻った。でもその目は

”あくまでシラ切り通す気か。それならこれは?”

挑戦状を叩きつけている。ゴクンと喉を鳴らす。すると左手をスっと腰の位置まであげて親指をリズム良く鳴らし始めた。いや何を始めるつもりだこのツインテール? とか思ってたら星が瞬きそうな程可愛くウィンクしてから笑顔で

「愛し合う〜二人〜桜色の木の〜下~」

自分の十八番(オハコ)を歌い始めた。うん、俺もマリサの”チェリーブロッサム”大好き。何させても器用なマリサだけど歌が特にやばいんだよな〜。これカラオケで歌ったら扉の小窓から一目見ようとした男達が毎回圧死してるし。気付けば足でリズムとってるミヤコちゃん。ちなみに洋物歌わせてもネイティブスピーカーだから発音の良さが桁違い。日本芸能人が格好つけて洋楽をそれっぽくカバーしてるのはよく見るけど、もうまるでレベルが違う。もちマリリンが格段に上ってこと。リズムにのってるマリサから紡がれていく愛らしい歌声。ほんとアイドル性抜群なんだけど、これが何だと言うんだいマリリン? 普通に聞き惚れるけどさ。ミヤコちゃんいつの間にか一緒に歌いつつノリノリでエアギター。

「「刹那か~ぎりのフルブラン、フラワ甘く儚い花、で〜すぅ」」

イエィ ”パシ”

「ふふふバカね?」

いつものノリでマリリンとハイタッチしてるミヤミヤの右手はそのままギュっと掴まれました。やってもた。

「タッチの位置タイミング角度腰のヒネリは愚か間奏時のピッキングまで完璧じゃないキョウ?」

そのまま俺の右手をコンクリート壁に押さえつけながら詰め寄って

「そろそろ正直になった方が良いんじゃないかしら?」

怪しい笑みを浮かべたマリサ。…………で


一番ストレートな方法でパーツの有無をチェックされました。ヨードーちゃんじゃないけど僕もうお婿にいけないかも知れない。


 とにかくミヤコちゃんがキョウタロウであるとは、あの一連のアイコンタクトで確信持ったらしいのだが、それはあくまで女装してるだけでまさかガチで美少女化してるとは思わなかったようだ。つまり”あれ”がないとは思ってなかったのね。てか触る気満々だったのかよ! とか心の中で突っ込みいれながら未だ放心して座り込んでるマリリンを引っ張り起こした。

「あ、ありがとう」

ともかく礼を言ってくれるマリサ嬢。俺は腰に手を当てて溜息を吐き、仕方なく事情説明。

 「まぁそういうわけだ。騙すつもりはなかったんだけど、ついつい言うタイミングを逃してさ」

流石にまだショック状態なのか焦点が微妙だが、一応コクコクと頷いて話を聞いてくれたマリサ、そして自分に言い聞かせるように”そっか、うん”と俯いたまま独りで何度も頷いてる。それから”フフ”と笑ってから俺の方を向いて

「それじゃさ、やっぱり最初の勘はドンピシャだったわけね」

壁にもたれてるミヤコちゃんの隣に来て、同じように背中をコンクリート壁に預けるマリリン。今は背が一緒くらいだ。

「最初って、いつだよ?」

俺は顔を向けず流し目。

「玄関出たときよ。キョウ気付いてないと思うけどさ、今の顔だって相当面影残ってるのよ?」

笑かすな。

「後宮京太郎がこんなに可愛いわけがない」

「なんかの小説タイトルと被りそうね。まぁ、”灯台下暗し”というか”マツゲは見えない”っていうかさ」

プニっと俺の耳たぶを引っ張りながら

「ミヤコちゃんってまるで女装したキョウよ」

「得体の知れないこと言うなよ」

クシャクシャと柔らかな髪を掻く。あぁ良い匂いだ俺の髪。

「得体の知れないことされたせいで俺は朝から石像になったんじゃない。”覚醒したのねキョウ?”ってさ」

すんげー嫌な仮説だけどさ、俺の親父がいきなりミヤコちゃんをキョウタロウだって見抜いたのもそれである程度納得できないだろうか。いやそんなわけないか。

「にしてもほんと脇が甘いわね。最後の切り札使う前に面割れちゃうなんてさ?」

流し目しながら生意気そうな笑みを浮かべているマリサ。その余裕的な発言は少しムっと来るがそれより

「切り札?」

の方が気になったので聞いて見た。するとマリサ、俺の前に来て右手を口元に当て

「そうね〜?」

悪戯っぽく笑いながら

「ベッド下の2冊とか〜?」

「こんにちわ後宮京太郎です彼女いませんごめんなさい」

ママン後で大事なお話があるからね。 マイマザーに時空を超えた念話を試みていると

「ま〜年頃が年頃だから無理もないと思うけど〜」

ツインテールは理解を示すようなことを仰いながらも腕組みしつつ

「二つとも獣姦ものってどうなの?」

「なわけあるか俺はドノーマルだ一冊は赤毛ツインでもう一つはリボンポニーだ! 見くびらないで欲しい」

「ほ〜らまた引っかかった中身までお母様は教えてくれなかったわよ。ホントキョウは単純……って、赤毛、ツイン?」


柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 芭蕉。


メイデー!メイデー! WHOがついに警戒レベルを6に引き上げました! キョウタロウの脳内がパンデミックです! バイオハザード! バイオハザード! ラクーシティはTウィルスと豚インフルエンザに汚染されています! ただちにヘリで脱出して下さい!お、お願いですマリサ様! 赤面して俯かずにいつもみたいに蹴り飛ばしてください! こ、これは流石に耐えれません! い、いや諦めるなキョウ! これまでに幾多の窮地を乗り越えて来たお前なら起死回生の一言を吐けるはずだ! る、涙腺ゆるいぞミヤコちゃん! 泣くな! グスっとセーラーの袖で涙を拭って

(っていうのは冗談で制服ものです、実は)

「ちなみにハーフで青目。3日に1回です」

「えっ……」


静けさや 岩に染み入る 蝉の声 芭蕉。


マグダラのマリアのように硬化してるマリリンの足元で穏やかに涅槃に入ったミヤコちゃん。世は並べて事もなし。


「あ〜ん!!」

「何でキョウが泣いてるのよ俺の立場取らないでよね!」

これ泣かずにいられないだろどんな羞恥プレイもこれの比じゃないって! ”おかずは幼馴染です”を本人にカミングアウトとかどんな罰ゲームだよ! しかも何ローテーション報告してんだお前はプロ野球の先発か! だとしたら防御率100超えてるだろ大炎上だ! ピッチャー交代! 脳内でペナント実況しながら座り込んで泣きじゃくってるミヤコちゃん。マリサはそれに顔を真っ赤にしながら何を声かけたら良いのか分からず”えっと””あの”とか言っては手を伸ばしたり伸ばさなかったり。

「まぁ、その、男の子事情とか良く分からないけどさ」

何か仰ろうとしてますが今は何も言わないで慰めの言葉が痛すぎる!どうでも良いけど泣いてるミヤコちゃんのポーズがちょっとセクシーだぞ。

「その、えっと……何ていうか」

頬を染めてまたワザとらしく小鼻を掻いてるマリリン。何ともならないよこんな事態! 情けないことこの上なく嗚咽を始めたミヤコちゃん。どんだけ弱体化してんだ。それに

「本なんかじゃなくてさ、キョウがどうしてもって言うなら」

スーっとマリサは息を大きく吸い込んでから

「……してあげてもいいわよ?」

ミヤコちゃん涙の次に何故か鼻血が止まらないよどうしてかなこの異常現象やっぱり新型インフルエンザの末期症状なのかな……って

「何言ってるんだお前脳みそ大丈夫かそんなもんカテゴリーがラブコメからノクターンになるだろか無一文が連載できなくなっても良いのかよせっかく親バレしつつもシナリオラストまで決まったのにそれとも勢いで執筆してお蔵入りしたあれをここで投下しろってか!?」

「落ち着いてミヤミヤ。発言が6次元くらいまでぶっ飛んでるから。冗談冗談」

立ち上がってガミガミしてる赤面ミヤコちゃんの背中をドードーと叩いてなだめてるマリサ。

「それにしても」

本日二桁目になる溜息を吐きながらマリリン

「さっきのお弁当の時にとんでもないこと話しちゃったから、屋上来るまでの間、”どうやって口止めしようか?”って思ってたんだけど、”簀巻(スマ)きで沈める”しかないなって結論つけてたらさ」

死人に口なしですね、分かります。口止めちゃうやん。

「キョウってそれ以上のこと自爆してるんだもん」

呆れ笑いのツインテール。言わないでそれ! やめて! マリリンまた頬を染めて

「そ、それにしても赤毛にツインか〜、ま、ますますこの髪型崩せなくって……あれ? もう一冊何だったかしら?」

「ああリボンポニーだよ」

「そうそう確かリボンポニーだったわね。うん」


脳内サプリ方程式:


赤毛ツイン = マリリン 


リボンポニー = 美月ちゃん


スッキリ!


「「ですよね〜!!」」

突如飛んできた破壊神の平手打ちが炸裂する瞬間

「女の子の顔叩くのマリリン!?」

ミヤコちゃんの萌えボイスにピタっと手が止まった!

「くっ……そう来たかキョウ」

俺の左頬まで後数ミリというとこで震えてる右手! さすがマリサ良い心がけじゃないか。なるほど女の子と化すことによってこうした緊急防御手段が追加された訳だ。あながちミヤコちゃんになったのも悪い選択とは言いきれな 

”バシン!!”

パンパンと両手を払ってるマリリンの眼下にはお尻を両手で抑えて”へ”の字ポーズとってるミヤコちゃん。目には大粒の涙。マリサは体の前に来てるテールを後ろに流し、それから100万ドルの笑顔で

「そのダイナマイトなお尻のハレが引いたら教室に戻って来なさいよ、ミ〜ヤコちゃん」

”痛ひ〜”とうずくまってるミヤコちゃんに手を振ってから屋内へ戻っていった。やっぱりバラすんじゃなかった。最悪。

第一部との味付けの違いなどを感じて頂ければ幸いです。

あ、オープニングは第一部テイストなんですけどね^^

それでは引き続き、本拙作をお楽しみ下さいませ<(_ _)>


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ