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エピローグ(投稿開始です。あとがきで誘導)

 さて、休校解除初日から校門で”とんでもないこと”をした俺とマリサ。あれから3週間程が立っており、美月ちゃんやヨードーちゃん、ミユキ先輩など周りをとりまく人達には既に二人の関係は公認となっている。で、あれからどんな風に俺とマリサの関係が変化したかと言えば、特にこれと言ったものはない。俺の右隣で熱心に黒板の板書を取っているツインテールは、相変わらず人前ではバッサリと猫を被り、”地雷”を踏めば”彼氏”と既に公言している俺を何のためらいもなく三途の川へ追いやり、そして今でも相変わらず”八雲様ファンクラブ”のアイドルとして君臨しているのだ。ただし昼前の授業中である今現在、俺の左後ろで机に突っ伏して冬眠している委員長のヒロシなどはどうしてもその事実を受け止められず、現実逃避して夢の中にいる今でさえも

「むにゃむにゃ……ズルいぞキョウだけ一人」

とうめいているのだ。

「……フフ。俺はミヤコちゃんを」

お前に妹はやれんな。しかしまぁ、変化が全くなかったかと言えば……

 「おい後宮、お前の彼女が手を振ってるぞ。返してやらないのか?」

こうして部活の最中にミユキ先輩にニコリとされたら

「そうですね」

と反論せずに答え、グランドで推定1500kgの整地ローラーを腰に取り付けて負荷をかけつつもグランドを整えるという一石二鳥な構図で走っているマリサに”頑張れよ”と手を挙げてやるくらいはするようになった。他に副作用としては、以前にも増して

「お前も八雲の彼氏を公言する以上は、あいつが変な男に言い寄られた時に守ってやれるような力をつけないとダメだぞ?」

と腕組みしながらお姉様に”人間をやめろ”と言われるようになった。続けて

「また逆にだ」

ミユキ先輩は髪を腕でサラサラサラと流しながら

「お前が誰かにとられたりしないようしっかりと監視するのは、これからの八雲の仕事だな」

とコクコク。あまりにアホらしくなってアクビが出そうになる。

「そんな心配いりませんよ。だいたい俺が誰かに狙われる程イケメンなら、今の今まで何が嬉しくて一人でいたんですかね。人生には誰でもモテ期があるとか世間で言われてますけど、あんなものは”オーラの泉”くらいウサンクサイと思いませんか」

”都市伝説にも程がありますって”と本当に”フワー”っとアクビが

「それなら私が襲ってやろうか?」

思わず”ゴグン”とアクビをダイレクトに飲み込んだ。”ほぇ!?”と奇声をあげて隣のミユキ先輩を見ると腰に手を当ててニッコリとして……おお可愛い。

「うんそうしようか。八雲がどのくらいお前を守れるか、一度くらいチェックして見ても良いかもしれないな」

悪戯(イタズラ)っぽく笑うお姉様についキュンと来て

「何を仰いますやら」

と目をそらしたら急にユキたんが俺を”ぎゅ”っと抱き締め……

「そ、園田先輩!?!?」

体が密着した瞬間ものすごいフローラルな香りに包まれた。”甘い”では到底表現が追いつかないそれはもはやフェロモンの域。世界中のバラを集めてもこうはならない。そしてお姉様のスーパーロングの黒髪がフワリと後から覆って極上の香気と共にサラサラサラと首筋を柔らかく撫でていく。”天女の羽衣とはこのことか”と言わんばかりの感触に悩殺。加えて体の前面に感じる温かく、決して壊れないプリンとも言うべきこのヘブンな感触は……こ、これ無理、お姉様いろんな意味で最強すぎ。クラクラしてる俺の背中をさらに”グイ”と強く抱き締められて感度が当社比2倍。無理。瞬く間にヘブンの扉がフルオープンして意識が天へと召されていく。

「お〜い八雲〜。お前の彼氏が私に襲われてるぞ〜?」

天真爛漫な声をあげながら既にお亡くなりになっている俺を”ぎゅー”っと抱いているユキたん。急速に霞んでいく視界、窓の外に向けられたそれが捉えたのはグランドから砲弾のような勢いで飛んできた整地ローラー……って!!!!

「マリリン自重!」

柔道場のある桜花ホールごと潰さんと迫り来る巨大な砲弾。黒い影を柔道場に落としながら迫ってくるそれに血の毛がササーと引いていると、突然、それは大地を突き破って現れた八つの赤い刃にギロチンのように斬られて九つに分かれた。その凄まじい水圧による斬撃で勢いは殺されたが、まだその破片は散弾のようにここへ向かってきている。すると今度は突如ブラウンの影がその前に立ちはだかった。そしてその一つに飛びかかったかと思えば打ち鳴らされた鞭のように破裂音を立てながら次々と変則の蹴りを落とし、それらを大地へ叩きつけていった。地響きが9回。もうもうと砂煙が立ち上る窓の外を見つつ石化している俺、いまだ俺を拘束したまま長いマツゲの目をパチクリとしているユキたん。

「全く、とんでもないことをしますねマリサは」

窓の隅から視界に入って来たのは、グランドで黒帯を締めなおしている空手胴着のミキさん。そして

「姉さんは兄さんのこととなると見境がつかなくなりますからね、パワーオブラブです」

と、ミキさんの背中に飛びついてるのはまだパリっとしている柔道着を着てるミィちゃん。そして砂煙をあげながら時速300kgで走って来て、でもキチンと靴を抜いでから柔道場に突っ込んできたのは破壊神マリサ。俺をオモチャの人形のようにユキタンから引っぺがして

「せ、先輩何するんですか! 私のキョウに今度手出したら先輩でも許しませんから!」

俺を絞め殺さんばかりに抱き締めつつちょっと涙目。グランドでは砂煙を収めようとミキさんとミィちゃんがホースから水を放水しつつ

「姉々(ネェネェ)、さっきの”ビュワー”って出た赤い噴水どうやるんですか?」

聞かれて”ああ、オロチのことですね”とニコっとして

「あれを修得するには毎日のゴハンに水飴をタップリかける必要があるんですよ」

真剣な眼差しで語るミキさんに”ほ〜”と感心してるミィちゃん。絶対ウソだ。ともかくユキたんは”ピーピー”言ってるマリリンに悪びれる様子もなく

「まぁ落ち着け八雲」

とクールに髪をサラサラサラと流しながら腕組みして

「いや、正確には後宮が私を襲ってだな……」



どの口でいう?


すごいねマリリン。柔道場が瞬く間に殺意の波動で満たされていくよ。たぶん今の魔力なら八岐大蛇(ヤマタノオロチ)どころかウルトラマンに出てくるようなとんでも怪獣でも召喚出来るんじゃないかな。それから御願いミキさんとミィちゃん。そこで

「キャ! ミヤコちゃんやりましたね!?」

「油断大敵です。で〜い」

とか仲良く水のかけ合いしてないでさ、次の瞬間俺を絞め殺そうとしてるツインテールの魔獣から兄さんを助けると良いよ。

「あ〜それならうちも見てたな〜」

と柔道場に入って来たのは白の弓道衣に黒の弓道袴と胸当てをつけたスーパーロングポニーの関西娘、桃っち。弓道部の新入りです。掴んだペットボトルの清涼飲料をゴクゴクと飲みながら歩み寄り、今も硬度を増しながら石化してる俺の肩を”ポンポン”と叩きながら

「しかし絵呂宮(エロノミヤ)も手ぇ出すん早いな〜? マリィと夫婦(メオト)やっとる思ったら今度はミユキ従姉(ネェ)に”ミユキ先輩! 付き合って下さい!”やもんなぁ?」


こいつだけは例外的にシバイても良いと思う。


さらにこの桃太郎さんは

”う、後宮! お前にはツインテールの嫁がいるじゃないか!”

とか

”でも今のドエロな俺にはパッツンのミユキ先輩しか見えないんです!”

とかあることないことを一人二役、きちんとポジションチェンジしつつ身振り手振りを交えて演じながら事実を改竄(カイザン)し始めました。お願いピン芸人桃ちゃん、今のマリリンにはシャレが通じないからマッハで中止しようよそのお笑いライブ。取り返しのつかないことになってるこの凍てついた空気を微塵(ミジン)も読めないのはどうかと思うんだ。そして最後は

「こうなったら二人とも俺の嫁になってください!」

と謎のエンディングを迎えて

「って何でやねん」

俺の頭を”ビシ”と乗り突っ込みチョップしてから一人で”あっはっはっはっは”と笑って

「ほなねバイバイブー」

手をヒラヒラと振って柔道場からリタイアし……

「テメェこら桃介(モモスケ)! ひとしきり事実捏造してただで帰れると思ってるのかそのユラユラポニーを団子結びに」

と飛びかかろうとする俺の奥襟(オクエリ)をマリリンが”ガシ”

「キョウタロウさんちょっと”正拳”で語るお話がありましてよ?」

「マリリン前からグレードアップしてるねそれきっと取り返しがつかないよお兄ちゃん大喜び!」

ソクラステスのように穏やかな弁明を試みる俺をそのまま”ズリズリズリ”と運搬して更衣室に入って扉を”バタム”。


ベキ! ドガ! ガス! ゴス! バキ! ドグシャ! ボゴ!


「キャー! キョウタロウさんが先ほど(ワタクシ)がうっかり飛ばした大和コンダラ製鉄株式会社の整地ローラーに必要以上にはねられた上に自分から下敷きになってしまいましたわ!」

とプレスされた空き缶のようになってる俺をズリズリと引き摺って出てきたマリリごふ。

「おかしいですね〜。それ私がもう落としたと思ってましたパーハップス」

ビショビショになってる頭を”風引きますよ”とミキさんにバスタオルで拭かれながらミィちゃん。大正解だよそれで。

 さて現在、俺は夕暮れの食堂でミィちゃんと一緒にマリサとミキさん待ち。向かいに座っている妹はさっきから空になった紙コップをゆっくりと回しながらその縁をカミカミして潰している。することがないのでマジマジと眺めていると

「あと2周以内に姉さん達が来たら明日も晴れですねメイビー」

根拠を教えて欲しかった。”しかしまだかな〜?”と(アカネ)色に染まっている校舎に目をやれば

「兄さんは姉さんのどんなとこが好きなんですか?」

”ん?”と振り返るとニパっとしている妹。以前なら

”いやどうしてとかじゃなくて好きとかそういうのは”

とたどたどしくもマッハで否定文を並べているんだけど、

「そうだなぁ……」

しばらく腕組みして回答を模索する。”あれもそうかな〜””これもそうかな〜”と首を左右に傾げながら考えて、結果、見つかったのは全く答えになっていないものだ。でもまぁ黙っててもあれだし。ミィちゃんの漆黒の目を見て

「マリサだからじゃないかな?」

「姉さんだから?」

キョトン、だ。当然だよな。自分で言っててどうかと思うけど、ウソじゃない。俺は手元のコーヒーに一度口をつけてから

「可愛いとか、頭いいとか、ツインテールとか、”そういうとこは好きか?”って聞かれたら”好きだ”って答えるけど、”そういうところが好きなのか?”って聞かれたら”そこだけじゃない”って答えると思う」

”フンフンついんてーる”と頷く妹。

「で、好きな部分はどれだろう? って考えて、あの部分も好き、この部分も好き、っていう風にどんどこ集めていくとね、結局そこに出来上がるのがマリサそのままなんだよね。だからどこが好きかと言えば”マリサ”なところになるというか」

”ん〜”と一人首を捻っていると

「どうしたんじゃ八雲嬢? そんなとこで立たずとも中に入れば良いじゃろうに」

「あっ……そ、そうね」

入り口からヨードーちゃんとマリサの声。そしてその声の通りに二人が”ガラリ”と扉を開けて入ってきた。相変わらずセーラーのヨードーちゃんが俺とミィちゃんをそのセクシーな切れ長の目で交互に見て

「キョウとミヤコ嬢は本当に血が繋がってないのかのう?」

細い腕を組んでいる。で、マリリンの方は何か良いことがあったのか、ニコニコとしながら歩いてきて俺の背中を”バシン”

「お待たせキョウ」

「息詰まるよマリリンそれ」

 5分ほど4人で談笑しているとミキさんが美月ちゃんと桃ちゃんを連れてやって来たので、揃って帰ることにした。ヨードーちゃんはまだアヤ先輩を待つのでここでお別れ。

”一緒に待つよ”

と言って見たのだが

”予算の打ちわせで遅くまでかかるんじゃ。だから先に行っててくれ”

ニコリとされた。何かのフラグかなとも思った。

 駅前で美月ちゃんと桃ちゃんのダブルポニーと別れ、4人で帰る俺達。自宅の最寄り駅を出てから何か引っかかることを思い出しかけ、

”何だったかな〜?”

と道中、腕を組んでいたせいか、家の近くまで来た時に

「どうしたんですか京太郎? 悩みごとですか?」

ミキさんに心配されてしまった。その赤い瞳に少しドキっとしながら

「あ、いや、そういうのじゃ無いんだけど……何か忘れているような」

とまだ”ん〜”と呻っている俺に

「生徒会役員なら、来週からよ?」

ツインテールをミィちゃんに遊ばれながらマリリン。

「ありがとう。でも、それじゃなくて……まぁいいか」

気にしないことにした。これだけ粘って思い出せないなら些細な事に違いない。そんなことに気をとられているより、今はようやく戻ってきた日常を楽しもうじゃないか。過ごした時間は帰って来ない。だから今この瞬間だって大事にしないとね? と家の扉に手を掛けて中に入った。で、


一ヶ月ぶりに帰ってきたお袋と親父がナチュラルに家にあがってくる美少女三人にキッチン入り口で石化していた。そして美少女三人も同様にまたビューティーな彫像と化している。はいはいもう分かってるって。分かってますとも。どうせこのしわ寄せみんな俺に来るんだろ? お約束お約束っていうヤツだ。ていうか筆者、お前いい加減、俺をもう少しマシな扱いにすると良いよ。笑いを取るにしてもね、もう少しほのぼのとしたシーンでいくらでも作れるだろ。なのになんでお前は修羅場ばかりを好き(コノ)んで作って俺をシームレスに死地へ

「アイムホームですお母さん」

「ただいま戻りましたわお母様」 

「ただいま母上様」

「ま〜ま〜お帰りなさい愛娘達」

「その流れは俺がキレるよ!?!?」

 キッチン。既に長年の親子のように一緒に料理を作ってる妹とお袋。テレビの前。アメを二人でバリバリ食いながら野球観戦してるミキさんと親父。居間。事情説明するはずの俺に事情説明しているマリサ。アホらしいので略しますね。これまでの経緯は毎日、マリリンがお袋に携帯で連絡してました。

「言ってなかったかしら?」

「初耳も良いトコだよマリリン」

 その後、スーパー賑やかな夕食を皆で頂いた。ミィちゃんはお袋にベッタリで、ミキさんは親父とスポーツ談話で意気投合。俺はと言えば隣のマリサに

「はいあなた、アーンして」

とか憤死するようなことをされつつ、それを拒否るわけでもなく過ごした。ちょっと嬉しかったのは秘密だ。ちょっとだぞ? そして食後に事件は起きた。発端(ホッタン)は夕食の片付けが済み、居間で皆がくつろいでいる中、お袋の発したこの一言だ。

「それじゃぁ、そろそろ行きましょうかあなた?」

”よいしょ”と立ち上がるお袋と親父に

「おいおいこんな時間帯にどこに行くんだよ?」

ゴロゴロしたまま問う俺に親父が

「フロリダや」

フロリダやって。聞いたみんな? なぁ、フロリダやって? どこそれ? 海外ちゃうん?

「ギャグとかいいよマジで。ベタなツッコミしか浮かばなくて気付けば脳内が大阪になってたよ、で、どこ?」

「成田よ。ディスカウントチケットだから今夜の便じゃないとダメなのよ」

「ボケにそんな詳細設定いらないから。で、親父マジでどこ?」

さっきから大きなキャリーバッグにチケットめいたものとかパスポートめいたものを出し入れして確認してる親父を死ぬほど気にしながら問う俺。それに振り返って人相最悪な顔を向け、親指を立てて

「準備万端じゃ」

「何の準備じゃおっさん!!」

「あなた〜。オーランド国際空港よね?」

「そうや。経由はヒューストンや」

「ちょっと待てやー!!!!」

”ゴロゴロゴロ”とキャリーバッグを転がして玄関に向かう親父とお袋を追尾しながら

「いやマジで説明してくれ展開速すぎてついていけない」

「もちろんキョウタロウは付いて来なくていいのよお留守番。夫婦水入らずでリゾート満喫……」

「そっちの意味じゃないって!」

「半年の辛抱や。根性見せろ」

「答えが2歩先を進んでるよ親父……っていうか半年!?」

「あの子達がいたらお母さんも安心ねフフフ」

「死ぬほど不安になるところだからね普通そこ!」

「土産はまぁ期待すんな」

「そんなこと気にしてねー!!!!」

玄関先で切れてる俺を残して二人は

「「それじゃあ、半年後ね」」

意味の分からないセリフと共にオウチを出て行かれました。いや、ちょ、えー!?!? 無情にも閉められた扉を前に、玄関の前でペタンと座り込む俺。あかん意味分からな過ぎ。半年間、半年間、この状態!? 放心状態になってる俺の肩に”ポン”と手が置かれたので、振り返って見上げるとマリリンが100万ドルの笑顔で

「心配しないで。あの別荘地は使用人20人が毎日手入れしてるからとっても清潔で」

「お前が黒幕かツインテール!!」

ニョキっと脱衣所からミィちゃんが顔を出して

「兄さん、姉さん、お風呂沸きましたよ〜?」

「一緒に入るキョウ?」

「ねーよ!」

「それじゃぁ私がミヤコと入りますけど、良いですか?」

「はいもう好きにして下さい」

”フンフンフー”とご機嫌に脱衣所へ入っていくミキさんとは対象的に、俯いて溜息を吐きつつトボトボとキッチンへ向かう俺。その隣ではシャーシャーと

「親孝行したと思ってさ、あまり落ち込まな〜いの」

”ペシペシ”と肩を叩きながらすごく適当な事を並べているマリリン。

「まぁ、魂胆があったかって聞かれたら、ないって言えばうそになるかしらね〜」

もうね、いい加減

「でもさ、俺がその分ちゃんと面倒見てあげるから心配し……ん!?」

その小さな唇を塞いでおいた。両腕を背中に回してぎゅっと抱き寄せる、揺れている青い瞳からは緊張が伝わってくる。でもそれはお互い様。そっとその髪と頭を撫で下ろすと肩の力が抜け、撫で下ろすたびに少しずつ緊張がほぐれていくのが分かった。ショックで大きく開いていた目もトロンと緩み、頬には少し赤みが差して来た。スルスルと細い腕が首に回され、いつものように背伸びしたマリサがより深く唇を重ねてくる。焼けるように乾いた何かを求めるように深く、深く。乾けば乾くほどに求め、求めれば求めるほどに乾いていく。狂おしい矛盾でさらに強く、深く求めていく。酸欠と注ぎ込まれた甘美な蜜のせいで頭が真っ白になり、お互いが限界を感じて一度そこで結合が解かれた。二つの花びらが繋がっていたことを示す半透明の糸が名残惜しげに裂かれていく。上気しているマリサの吐息があまりに悩ましげで、もう一度その唇を

「忘れたサイフよりすごいもの見つけちゃったわお母さん」


オカン・イン・ザ・ハウス。


「最近の若いのはアグレッシブやのう」


オトン・イン・ザ・ハウス。


はい、それでは作品の説明に入らせて頂きます。えっとですね。まずキョウタロウがマリサのくびれた腰に両手を回しておりまして、少し持ち上げるようにして抱き寄せております。そしてマリサ嬢はキョウタロウの首に両手を絡めて背伸びをして、鼻と鼻がつく距離にて顔を寄せております。これが彫像作品No2:”親が出て行ったそのあとで”になります。いかがでしょうか? 両親を前にして動けないまま顔から火を上げる二人。新たな日常はどうもこういう感じで始まるようですよ?


-FIN-


「ここで引いたらただのラブコメよね?」

「へ?」

幕が引かれたと思って油断していたらマリサが唇を塞いできた。やっぱり幼馴染は破壊神。


-おしまい-


It really was so good of you to enjoy romantic comedy light novels named "Sweetheart, Marisa is Mighty God".

And I will be very appreciative of the chance to meet with you through a new chapter "M I Y U K I".


THANK YOU !

-Tsunehigoromuichimon-

”桜咲くここは桜花学園”第2部

”幼馴染は破壊神”

これで完結です。長い間お付き合い下さいまして本当に有難うございました!


2010年2月11日追記:-------

キャラ絵をコッソリ描き始めました。。。

http://746.mitemin.net/

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----------6/26----------------

ミユキルート、始めました。

「史上最強の生徒会長」

http://ncode.syosetu.com/n2598h/

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