オープンエミーロ
これから事件の真相に迫っていきます^^
登場キャラの意外な側面も明らかにしていく予定です。
あと今回から追加される新キャラ。
凄くお気に入りです! それではどうぞ☆
「押しても押しても沈まない〜青〜いお顔の無口なこの子」
午前5時。何となく自首したくなるような歌に目を開ける。目の前には”にらめっこしましょ”とばかりにセーラー服の我が妹が俺の寝起きフェイスを覗き込んでいた。良い匂い。可愛いミィちゃんだから良いけどさ、これ白い着物の老婆とかだったら軽くホラー映画ですよ。
「モーニンモーニンです兄さん! 気分はいかがですか」
キョウタロウ君ストマックを乗り物にしつつもニパっとしてる妹。彼女が引っ越してきて既に10日目。俺の一日はこのようなカオスなお知らせで始まるのだ。
「何となくいたたまれない気持ちで一杯だよ」
さりげない抗議、それを目覚めの合図と取ったのか”よいしょ”と降りて
「枕を変えた方が良いかもしれないですねメイビー?」
人差し指を立てて提案してくれるミィちゃん
「歌を変えた方が良いと思うんだマストビー」
”ノックして入るといいよ”と何度言っても朝の迎え方が変わることはなかったので、既に諦めてはいるものの”まさか妙なことはされてないよなハァハァ”と不安やら期待やらで胸が一杯のお兄ちゃん。可愛い妹が部屋を出ていくのを確認してから”よっこらせ”とベッドから降りてブレザーのハンガーを掴んだ。
キッチン。既に朝食の乗ったテーブルを囲んでいるのは今日の料理当番であるマリサ、ミィちゃん。そして”キュッキュッキュ”とスケッチブックに黒マジックを走らせている謎のメガネっこ。新入りです。カタっとスケッチブックを俺の方に向けてマジマジと視線を送る。そこには
”おはようキョウちゃん本日は晴天なり”
「さりげない天気予報ありがとう。そしておはようミキちゃん」
俺の挨拶に一度だけニコっしたショートヘアーの幼女、失敬、女の子。その懐っこそうな目をチラ見しつつ席に着いた。メガネの奥でゆるやかなカーブを描いた眉、見失うくらい小さな鼻、良く見れば常に微笑んでることが分かる薄い唇が特徴の幼女、失敬、美少女。名前は園田美樹。もう苗字と名前についた”美”からしてどなたと関係があるのか想像出来るだろう。そしてあの日、桜花学園休校初日に俺達を襲ってきた2刀流の麗人と深く深く関係があるのだ。背格好はかなり小柄でマリリンもびっくりの”ぺったんこ”。属性はロリかつ不思議っ子かつ基本はしゃべらない筆談系というハイブリットな珍種だ。そんなミキちゃんは制定カバンに手を入れてゴソゴソとしたかと思えば水玉模様の包みが可愛らしい丸いキャンディを取り出して
「ありがとうね。ミキちゃん」
ニッコリしてるマリサの手にチョコン。続いて
「あー」
と口を開けてる妹の口には包みを解いてからキャンディを”つい”と指でイン。そして俺の方を向いて同様にキャンディを差し出してくるメガネっこ。これクリアしないと朝食始まらないんだよね。マジマジとした視線に促されて包みを開け、パクっと口に含めば始まる
「オレンジね」
「ストロベリーです」
「メロンだ」
味の報告会。テーブルを囲んで無言のままキャンディを味わうというシュールな時間が、いつの間にやら朝食前に習慣として組み込まれたのだ。ミキちゃんが立てているスケッチブックには既に
”朝の糖分、頭に抜群”
格言めいたことが書かれてあった。
「バリバリバリ」
盛大にキャンディをクラッシュしてるミィちゃんを見て”シパ”っとスケッチブックをめくったかと思えば”キュキュキュキュ……カタ”
”ミィちゃん噛んだらメーって昨日も一昨日も言ったつもり”
ロリコンなら秒殺されそうな萌え笑顔でスケッチブックをディスプレイ。
続けて”シパ”っとめくってまた”キュキュキュキュ……カタ”
”キャンディは食べ物ではなく溶かすまでの時間を楽しむツール”
そしてキャンディ2号(罰用のハッカ)をミィちゃんの口へ”つい”と入れるミキちゃん。彼女のカバンの中は”どこの世界に繋がってるんだい?”っていうくらい大小色々なキャンディーと”何か得体の知れないもの”が入っている。
「ねぇね、このキャンディが一番美味しいですよ。マイベスト」
言い遅れたが彼女はミィちゃんによって既に4人目の姉に加えられている。呼称は”ねぇね”だ。小学生と見間違うくらい幼い容姿の彼女、実は俺たちと同級性な上に僅差とは言え一番年上なのだ。さてこれから、ここまでの経緯、あの”桜花狩り”事件の真の結末を麗人の襲撃事件の日から辿って見ようと思う。