<2>家の日常
俺は家に入り鍵を閉め、そのままリビングに行きソファーに寝転んだ。ゲームをするわけでもテレビを見るわけでもなくソファーに寝転んだ。
何も考えず、ただただボーとするだけだ。俺にとってはこのときが一番の有意義な時間だ。
ソファーに寝転びながらまた眠りに落ちていった。
どれぐらい寝ていただろ、俺は誰かが料理をする音で目が覚めた。母さんはまだ仕事中のはずだ。
面倒だが起き上がりキッチンの方を見た。そこには料理をしているから優奈の姿があった。
「あ、あき君起きたの。珍しいね一人で起きるなんて」
「料理の音で覚めた」
「そうなんだごめんね起こしちゃって」
「いいよ」
「ありがとう、そろそろできるから机で待てって」
「分かった」
俺は机に向かい椅子に座った。ご飯は何だろうと考えていたら、いい匂いがしてきた。
今日のご飯は俺が好きなハンバーグとグラタンだった。美味しそうだ。
「食べよっか、いただきます」
「いただきます」
「どう、美味しい?」
「美味しいよ」
「よかった、あき君のために作ったからね」
俺はご飯を食べながらふと思った。そういえば閉まっていたはずの玄関の鍵はどうやって開けたんだ。朝は母さんがいるから入れるが今は居ないし、俺は寝ていたから開けてない。
リビングや他の部屋の窓も開いてないから、入れるはずはない。そもそも鍵はちゃんと閉めたのか、もう一度帰ってきたときのことを思い返した。
ダメだ家に帰ったときはもうだらける事しか頭になかった。閉めたのか閉めてなかったのか考えていたら優奈が話しかけてきた。
「どうしたのずっと黙っちゃって。もしかして本当は美味しくなかった?」
「いや美味しいよ、ただ」
「ただ?」
「優奈はどうやって家に入った?」
どんなに考えても答えは出てこないので、俺は悩んでいることをそのまま聞くことにした。
少し心臓がドキドキしている。
「家には……普通に玄関から入ったよ」
「鍵はどうしたの?」
「合鍵だよ」
「そ、そうなんだ」
俺は少し安心した。泥棒みたいに鍵を開けてのかと少し思っていたからだ。
鍵は母さんが渡したんだろ。俺もその方が助かる。寝ているのを起こされ鍵を開けに行くのは面倒だからだ。
ご飯を食べ終わり風呂に入ることにした。
「あ、そうだ今日泊まっていい?」
「うん、別にいいけど珍しいね」
「明日は学校ないし、たまには泊まろうかなって思ってね」
「久しぶりの泊まり会だな」
風呂が沸いたから先に優奈を入れた。三十分ぐらいしたら出てきたから俺も入った。
二人とも風呂を済ませ、寝るまでの時間は話をしたりテレビを見たりして過ごした。
「ふぁー、そろそろ寝るか」
「そうだね、時間もいいぐらいだね」
「優奈の布団を準備するか」
「あき君と一緒に寝るからいいよ」
「それは狭くないか」
「大丈夫だよ」
押しきられる感じで一緒に寝ることになった。
二人でベットに寝たらやっぱり少し狭かった。優奈はくっついて寝れるからこれで大丈夫と言っている。
狭いと思いながらも俺は眠っていた。夜の風は涼しくて寝やすかった。
「あき君の寝顔は可愛いな、そういえば夜ご飯食べているときあき君は不思議なことを聞いてきたね。どうやって家に入ったのかって、そんな鍵は使って入るに決まっているのに。前に作った合鍵で……」
いつか私の家の合鍵もあげよかっな。あき君も好きなときに家に入って私の部屋に入っていいからね。あき君でいっぱいの私の部屋に。
おやすみ私のあき君。