〈プロローグ〉朝の日常
「私がずっとあき君のお世話をしてあげる」
なんだか懐かしい夢を見た。10年前ぐらいの前の夢だ。
俺のとなりの家に住む幼馴染みの女の子蒼羽優奈だった。
その子は小学校、中学校、そして今高校でもモテまくりだ。
今は何をしているのだろ。そんなことを考えながベッドから起き上がろうと手をついたら、なんだか柔らかいものがあった。
なんだこの柔らかいものはと考えていたら。
「あん、ん~」
俺はすぐ布団をめくった。そこには制服を着た女の子が寝ていた。
この子が誰かはすぐに分かった、さっきまで今は何をしているのだろと考えていた子だ。
何をしているのだろの答えは俺のベッドで寝ているだった。答え合わせができてよかったよ。
「おい、起きろ」
「う~ん、おはようあき君」
「なんで優奈が俺のベッドで寝ている」
「あき君を起こそうと来たけれど寝顔が可愛くてそのまま、また添い寝しちゃった」
「起こすならちゃんと起こしてほしいものだ」
俺はベッドから出て着替えた。登校するまでにまだ時間があるからもうちょっとベッドで寝転んだ。
俺は毎朝時間ギリギリまでベッドの上で寝転んでいる。前に遅刻しかけたこともあったがそれでもやめられない。
土日などは昼過ぎまで寝るのが当たり前だ。一日の半分をベッドの上で過ごすこともよくある。
「あき君ご飯食べないの」
「うん、もうちょっと寝たい」
「昨日も朝と夜食べてなかったよね」
「なんで知っているの」
「あき君のことなら何でも知っているよ」
「そうなんだ」
なんで朝も夜もご飯を食べないかと言うと、買いに行くのも作るのも面倒だからだ。
前はちゃんと食べていた、コンビニの弁当やインスタントのものだけど。
最近ちょっと痩せた気がするが、それでもご飯を買うことも、作ることもしない。
「ご飯作ってあげるから食べよ」
「作ってくれるなら食べる」
決してご飯を食べたくないわけではない、自分で用意するのが面倒なだけで誰かが用意してくれなら食べる。
親は共働きなので朝と夜のご飯代は机の上にあるが、買うのも作るのも面倒でそのお金は俺のお小遣いに変わる。
お昼はいつも優奈が弁当を作ってくれている。優奈は家事が得意で、ご飯も美味しい。
優奈は毎日俺を起こしにくる。でも結局いつも添い寝をしている。
「はーいご飯できたよ」
「いただきます」
「どう美味しい?」
「美味しいよ」
ご飯も食べ、時間もいいぐらいなので家を出た。もちろん優奈も一緒だ。
毎日、思うよ……時間が止まれば学校になんか行かなくいいのにって……。