ただ 増え続けた世界で。
ある日、『不死身薬』という薬が作られた。
この進化し続ける世界で、人はついに、死が永遠と来ることの無い未来をつくれるようにもなっていたのだ。
さて。
人は、勇敢に死を待つ未来を選んだか。
それとも、死を永遠と待つことの無い未来を選んだか。
この時は、戦争の多い頃。
精一杯戦って死ぬという未来を望んだものも多くはなかったが、死を恐れて不死身薬を手にするものも多くはなかった。
つまり、半分半分だったのだ。
けれど時代は進む。
永遠と死を待たない未来を選んだ家庭は、その薬が代々に伝われるようになった。
死を待つ家庭は、今までと何も変わりなく、生まれては死んでいく。
それから何年が経っただろうか。
この世界の人口は、驚くほどに増えていた。
このままではマズいと考えた、この世界の王さま。
そしてある日、こんな事を言ったのでした。
「不死身薬によって増え続けた人口。だがこれからは、強いものだけが生き残れる世界だ。殺し合いで人口を減らすのだ。遠慮なんてものはない」
その言葉で、やっと戦争のなくなりかけていた世界は、また荒れて行く。
__けれど、この『不死身薬』という薬。
それは、人々が思っていた不死身とは違うものだったのだ。
『不死身』、それは、『不老不死』の間違いだったのだろうか。
人々は、お互いに体を切りあっても、また怪我をした部分を修正していったのだ。
切っても切っても死なない。
ただ、痛みを感じるだけ。
不死身の力は、外的障害を受けても死なないというものだったのだのだから__
さて。
増え続けたままの世界は。
死を待つことのない未来を選んだ人達の終わりは。
__いつ訪れるのだろうか。
連載にしようと思っていたもので、題名だけ考えてあったものでした。
今回は、それを短い話として書いてみたものです。
これを読んだところで、結局は何だ? となるかも知れませんが。。。
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