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事の始まり

その一言によってクラス中の目線が俺に集まった。

不意打ちをくらったので、一瞬動揺してしまったがすぐさま冷静になる。

誰が言ったかを突き詰めるため、俺はいつもより目を鋭くして、睨み付けるように周りを見回した。

普段から目を合わせないようにされているので、目を合わせようと思っても合わない。

ひどいやつらだ。もう俺の華々しい学校生活の道は断たれたかもしれない。

ほとんどのやつらが目を逸らすのに対して、唯一、一人だけ俺の方を見ていた。

森だった。

そう、紅葉に嫌がらせをした張本人。

俺はこの時点で怒り狂っていた。考えるよりも先に体が動いて、俺は森の席までゆっくり歩いていった。

「森。さっきの発言はお前が言ったのか?」

静かに問いかけているのに、とても威圧的に言っていたのもあり、森は足が震えていたが、

「そ、そうだよ!僕が言ったんだ!文句あるのか!!」と、威勢よく叫んだ。

「おい、お前さっき何て言ったっけ?俺が犯人?とか言ってたな。証拠があんのか?」

「し、証拠はないけど。お前よく五十嵐さんといただろ!だから、お前が何か五十嵐さんに嫌な事をしたんだろう!なあ、そうだろ!」

その発言を聞いてから、クラス中が小声で話し出した。確かにあいつらよく一緒にいたよなとか、あいつだったらやりかねないとか、無茶苦茶な事を言い出し始めた。人間てつくづく怖い生き物なんだと思って、少しばかり悲しくなった。だがそんな事はどうでもいい。

俺の怒りはそこへはもう向いてなかった。

森は自分のしてきた行動で紅葉が学校に来ていない事に薄々気付き始めているのか、自分が被害を被る前に俺を悪者にしようとしたのだ。普通だったらそんな事してもばれてしまうのだが、生憎紅葉はそういう事は言う事はないと思う。俺は知っているが、あいつの家族にさえ話してなかったぐらいだ。先生になんて絶対に真実は話さないだろう。変に波風を立てたくないやつなんだ。

それを知ってか知らずか、森は俺を悪者にしようとしている。

もう俺はこの時点で理性が飛びそうになっていた。

なんとか平静を装うと努力していた。

だけど。

「最低なやつだな、お前!!」

森がそう言った。

その言葉を聞いた瞬間、俺の右腕が森の顔面をぶん殴っていた。

「痛っ・・何すんだお前」

その醜い容姿から発せられた言葉を聞かずに遮ってもう一発殴る。

もう止まらないぜ。怒りが収まらない。

女子は騒いでうるさかったが、思いのほか男子は静かだった。

こういう時、一人ぐらいは俺を止めにくるやつがいると思ったんだが。

全く、情けない男共だ。まあ止めに来たとこで無駄なんだけどな。

俺は森の頭を掴んで、教卓の前まで引きずりだした。

今からこいつを地獄に叩き落す準備ができた。

「お前ら、こいつがさっき言った言葉は覚えてるよな?」

誰もうなずいてないが話を勝手に進める。

「今こいつをボコボコにしてる俺が悪い奴に見えるのは仕方ない。だけどな、お前らは騙されているんだ。」

そして俺は、深呼吸して、思いっきりかっこつけて発言した。

「今からお前らに真実を教えてやる。俺を責めた事を後悔しろ」



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