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私は高校二年生のある日、気がつくと輝く魔法陣の上に立っていた。周りを見渡すと髭の長い杖を持った神官ぽいおじいさん、彼と似たような装束をまとった彼の部下のような人が数人、数段高い所に王冠をかぶった中年男性、その隣に煌びやかなドレスの女性。そして隣に似たような魔法陣の上に立っている目を丸くした少年。私はここで察した。
異世界召還というやつをされちゃったのだ。それも電車登校の最中で右手で吊皮を握ったままのなんとなく間抜けなポーズで。
「勇者、聖女よ、よくぞ参られた!我がタガニーカ国へ!我が名はラッツェン・ダルフューラ・タガニーカ三世、この国の国王である。お二方を召還したのは他でもない、我が国を長年苦しめている魔王を討伐してほしいのだ」
王様の言葉にやっぱりかよ、とここでやっとあげっぱなしの右手を下した。