私が気になるお嬢さん3
「よお、アルム」
「兄上。こんな時間にお仕事ですか……お疲れ様です」
ハルムは首に手を当てて、ポキポキと鳴らした。アルムは嫌そうな顔をするとハルムは笑いながら、謝った。
「そうだ。アルム一杯付き合ってくれないか?」
珍しい誘いにアルムはキョトンとしていたが、アルムは笑顔で頷いた。
「アルム、何がいい?」
「兄上にお任せします」
ハルムはアルムの肩に手をかけて、大笑いで歩いた。アルムは困ったように笑った。
「兄上、仕事中に呑みましたか?」
「なーに、ちょっとだけさ」
ハルムの部屋は少し散らかっており、アルムはそれを見つめてはため息をつく。
アルムは椅子に座ると、一口呑んだ。すると、アルムは少し首を傾げた。
「これって、お酒ですか?」
「違うよ。ただのジュースさ」
「私を騙したんですか?」
「誰もお酒を呑むなんて言ってないぜ? それに真面目な話だからな」
「たまに兄上はズルいところがありますよね。
で、なんですか?」
アルムは不機嫌になり、ハルムは少し笑うと一口飲んで、コップを置いた。
「進路相談ですか……」
「そんな機嫌損ねるなって。来月に俺はここを継ぐ。アルムはどうする?」
「……」
目線を反らすアルムを見つめ、ハルムは肘をついて話し出した。
「決まってないなら俺の補佐として働くか? アルムなら反対する者はいないし、むしろ大歓迎だと思うぞ」
「私は……」
「ゆっくり考えたらいいさ。決まったら、いつでも話してくれ」
み終えたハルムはベットにダイブして、ゴロゴロと転がり始めた。呆れて見ていると「アルムも転がるか?」と聞いてきた。アルムは無視して、ハルムのコートを脱がせて、畳んで椅子の上に置いた。
「まったく……シワがつきますよ」
「まるで主婦だな。将来は家政婦として働くのか?」
冗談らしく話すとアルムは眉間にシワを寄せて、コートの上に座った。
「そんな険しい顔をするなよ。キレイな顔が台無しになるだろ」
「兄上は女の人まででなく、ついには男にまでも手を出し始めましたか」
アルムは眼鏡を上げて、ベットに座った。ハルムは始めはキョトンとしていたが、じわじわと笑いだして、腹を抱えて大きく笑った。ヒーヒー言って泣いているハルムを見て、アルムは腹を殴った。
「一週間で一番笑ったよ」
「兄上、もう遅いので私は自室に帰ります」
「ああ」
ドアに手をかけるとハルムは体を起こして、涙目を拭いて「考えすぎるなよ」と言った。アルムは振り返りハルムを見ると笑顔で親指を立てた。無言で頷き、廊下に出た。