表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルム  作者: 鈴木将太
5/9

私のことが嫌いなお嬢さん5


「今日は買い物したかったんですが、この怪我じゃ難しそうですね」

「何か買う予定でも?」

「本を買いたかったんですけど」


ハルムはお茶目に笑い、少女は「別の日にすれば大丈夫」と話した。「そうですね」と微笑み、ハルムは考え込んだ。


「今日の予定が狂ってしまいました。今日はどうしましょうか……」

「ゆっくりしていた方がいい」

「あ、では食べ終わったらお互いの事話しませんか?」


「お互いの事まだ何も知りませんし」と微笑み、少女は少し驚いたが暫くして頷いた。



二人で食器を片付けながら、アルムは口を開き「そう言えば、私の自己紹介をするのを忘れてました」と恥ずかしそうに笑い、片付け終えた少女の前に立った。驚いた少女は手で口を隠し数歩下がって、アルムを見た。


「私はアルム・クロースです。以後お見知りおきを」

とアルムは頭を下げると少女はワンピースの裾を摘まんで、お姫様のように頭を下げた。

「ルナです」


「素敵な名前ですね」とアルムは顔を上げて、ルナの顔を見るとルナは恥ずかしそうに目をそらし、もじもじとワンピースの裾を握りしめた。


それから、お互い恥ずかしくなって、 ルナは本を読み、 アルムは布団に潜った。そして、そこから一歩も進展することはなく、一日が終わった。


ーーー


「ルナさん、朝ですよ。起きて下さい」

「あと少し」

「全く……」


アルムの怪我が治った頃には『朝が苦手』『子ども扱いすると怒る』『すぐに寝る』というルナの性格を理解したアルムはその性格に悩んでいた。


昨日は無理矢理起こして、午前中はとても機嫌が悪かったことを思い出してため息をつく。


するとルナは布団から手を出して、起こして欲しいアピールをする。アルムは仕方ないなと笑いながら手をとり、布団から出した。何気ないやり取りがアルムにとってはとても嬉しかった。


「今日は早く食べて、隣の町へ一緒に買い物に行きましょう」

「ん……」


ルナは椅子に座り、食事をとった。うとうとしながらも手を動かして、アルムはハラハラとしていた。

髪がスープに入らないか、パンと間違えて指を食べてしまわないかと。

だが、そんな心配は無用でルナは目を閉じながらも器用に食事をした。そして、当たり前のように片付けて、鏡の前に座った。髪を解かして欲しい合図だ。


少し前なら戸惑っていたが今ならルナの考えてる事が分かり、とても 嬉しかった。


「ちょっと待ってて下さい。今行きます」


食べ終えて、食器を片付けるとルナの後ろに立ち、二番目の引き出しから、クシを取りだし髪を解かした。細くてすぐに絡まってしまう髪を優しく。そして、丁寧に解かすと光で更に美しくなる。


するとだいぶ目が覚めてきたルナは前髪を整えて、立ち上がる。そうすると、そこからはルナ一人で出来るからアルムは離れて、ただ見守るだけである。


「終わりましたか?」

「うん」


アルムはベットから立ち上がり、ルナは羽織を羽織って部屋の外へ出た。使用人は二人をまじましと見て、「お出かけですか?」と聞いた。アルムは「夜までには帰るよ」と話し、早歩きで玄関に向かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ