私のことが嫌いなお嬢さん
アルムは暖かい自室でゆったりと本を読んでいると突然ノックの音が聞こえ、慌てて眼鏡を外し本を閉じて、ベットに投げ、ドアを開けたアルムは驚いて、目を見開いた。
「父上?」
「昨日はアルムの誕生日だっただろう? プレゼントを持ってきたんだ」
「私はもう20の男子です。そんなプレゼントなんて……申し訳ないです」
アルムの父はハハハと笑い「気にするな」と言い、使用人にプレゼントを持ってこさせた。台車に乗った大きく赤いリボンでラッピングされた箱を見て、目をパチパチを何度も瞬きをした。
「すごいですね」
「アルムが好きそうなのを選んだんだ。受け取ってくれ」
父は貿易商人だから、きっと海外のお土産なのかと心の中で楽しみ半分、申し訳なさ半分の気持ちで受け取った。
「ありがとうございます」
使用人は数人がかりで部屋の中にプレゼントを置いて、さっさと部屋を出た。アルムの父はそれを確認すると笑顔で部屋を出てった。
アルムは見えなくなるまで見送ると、部屋に入り、糸が緩んだようにため息をついてベットに腰かけた。
「それにしても……大きな箱」
眼鏡をかけ、箱をまじまじと見て、箱を叩いてみると可愛いらしい見た目と違って、結構頑丈であった。傷をつけてはいけない物なのか。となると家具になる……。
引き出しからナイフを取り、中身の家具を傷つけないように少しずつ切っていくと箱の中から少し暖かい空気が肌に触れた。
アルムは箱の中に生き物が入ってると気付いた。吠える声がしないから猫か鳥であろう。生き物であるとあると気付いた途端、先程より丁寧に、そして最低限音をたてずに開けた。
最後のところを破り、ゆっくりと開け「こんにちわ」と、まるで寝起きどっきりでもするような声のトーンで話しかけた。
そして、箱を開ける長い髪に夜空のような瞳をした少女がアルムを睨み付けていた。無意識にきれいな髪に触れようとすると、塞がった手でアルムの手を払った。叩かれた手を見て我に返った。そして、ナイフで少女の手足を締め付けている紐を切り、口を塞いでいた猿ぐつわを外した。
「ああ、失礼しました。お怪我はありませんか?」
一連の流れに驚いた少女は箱の中で呆然に立っていた。アルムは少女の縛られた跡の痛々しい手首を見て、引き出しの中から包帯を探した。
「少し待ってて下さい。今包帯探しますね」