[エッセイ]用途不明のプラグ
引き出しからひっそり
出てくると怖いですよね。
何か重要な秘密を
そのプラグが
握っているみたいだね。
だって、どの電化製品も
コンセントにプラグをさして
充電できなきゃ動かない。
その事実をプラグ自身が
よく知っているのだ。
「さて、俺はどの電化製品を動かすためのものでしょう。分かるまい。俺のこと捨てられまい」
決して口を割らない。用途を忘れたことに対する無言の訴えが怖い。
加えて、無機質の風貌が恐ろしい。
はじめプラグを作成した時に、
忘れられてはまずいから、忘れられたときに恐怖を感じられるように
わざと味気なく、黒色で作られ始めたのだろうか。
だとしたら、人間心理に詳しい人がプラグ作りのアドバイザーとして介入していたのかなあ。
一見関係なさそうな人やモノに
意外な関連性があるとしたらよいね。
世間は狭いねえ、とハッとする瞬間ですね。
おしまい