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十一.それは光眩しい役だろう

 ざるそばの到着を待つ間、彼とあおいの二人は、テーブルの上に座布団を敷いて、生意気にも花札なんぞをプレイすることになった。

 その勝負の前に、一枚一枚花の図柄を合わせながら、得点や役について解説していく彼。


「この華やかさのない図柄を10枚集めると、カスという役になる。10枚で1点と覚えておけ」


 彼の解説にまるで関心を示さないあおい。華やかさのないカスなど興味なしといった顔だ。彼がそれを諭すように、カスに笑う者はカスに泣くと言い放つと、彼女は余裕にへへんと鼻で笑う。


「そんなのいらないもん。まぁ、人間のカスみたいなあんたには、お似合いの役だよね、はっはっは」

「うわー、笑いながら言われると、かなりへこむなー」


 へこんでいても仕方がないので、彼は気を取り直して、次なる役の説明をしていくことにした。


「この文字のある赤い短冊と青い短冊を3枚ずつ集めると、それぞれ赤タン、青タンだ」


 あおいはふ~んと声を漏らし、赤色と青色の短冊札をじっくりと眺めている。


「これは置いておいて、確か、仙台の名産って牛タンだったよね?」

「こらこら勝手にどこかに置くな。タンはタンでも、花札に関係ない質問はしないように!」


 まるで教師のような注意を喚起しながらも、彼は進行を早めようと、次なる役の図柄をテーブルに並べていく。


「このイノシシとシカ、そしてチョウチョの3枚を揃えると、得点の高い猪鹿蝶の完成というわけ」


 イノシカチョーなら聞いたことあるー!と、両手を叩いて感嘆の声を上げるあおい。少しでも花札を知っていたことに、彼女は満足げな顔をしている。


「へー、イノシカチョーって花札の役だったんだぁ。あたし、シシカバブ―って料理の仲間かと思ってたよ」

「・・・それ、全然違うぞ。仲間っぽいのって、動物っぽい語呂だけじゃん」


 彼は呆れた顔をしつつも、とにかく進行を早めようと、いよいよ華やかな図柄をテーブルの上にお披露目した。


「この札を集めると得点が高いんだ。ツルにサクラ、雨の菅原に鳳凰に坊主。これをすべて手に入れたら五光って役だ」


 五枚じゃなくとも、三枚で三光や、四枚で四光や雨四光という役もあると、彼は鼻を鳴らしながら力説していった。

 図柄が気に入ったのか、あおいは華やかな札を一枚一枚手にしながら、これだけは忘れないようにと図柄を目にくっきりと焼き付けていた。

 最後に彼はおまけと言わんばかりに、サクラと坊主の札を取り、菊と杯の札をそこに重ねるように並べる。


「あと、サクラと杯で、花見で一杯とか、坊主と杯で、月見で一杯という役もあるんだ。なかなかユーモアのある役だろ?」

「へー、おもしろいねー。あ、じゃあ、じゃあ、それじゃあさー」


 あおいはニコニコしながら、何かを思いついたように、ツルの札と坊主の札を隣同士に並べた。


「じゃあ、ツルと坊主で”つるっぱげ”っていう役はないの?」

「ねーよ!」


 一通りの役とルールがわかった(!?)ところで、この二人はいよいよ花札の勝負を始める。果たして、実力はあるが女にもてない彼が勝つか?それとも、運だけは人一倍強い天然おバカのあおいが勝つのか?

 読者にしてみたらどーでもいいこの勝負の行方は、次話更新にて明らかになる・・・?


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