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貴族の子息ははかりかねる  作者: 月照建速
第2章 学園編

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第8話-2 弱さ

 王国中に駆け巡ったヴォルクーネ杯のルール改定。真っ先にクライスに確認しに行くとクライスもよくわかっていなかった。というよりも今回のことは現国王の独断だったらしく知らされていなかったとのこと。となると本当に急遽決定したことなんだろうな。にしても、それほどまでにその少女というのは強いのだろうか。記事を見ると全て数秒で倒しているとのことだが……ギフトだろうなあ。チートだよ。……俺以外の転生者? その可能性はある。あの神やその同類がいても可笑しくない。そうなったら転生者にチートを持たせてとかしそうだもん。厄介だなあ……


「よかったじゃないか」

「は?」

「君の野望に一歩近づいたね」

「......勝てなきゃ意味ないでしょ」

「勝つよ、君は。買ってくれないと困る。お小遣いを増やすチャンスなんだ」

「12が賭けなんかすんなよ!」


 こいつ……なんで学内の大会で博打が行われているんですかねえ……。教師は何をやっているんだ……


「で、自信は?」

「ある」

「期待しているよ」


 そして、大会当日になり、盛大な開会式が行われた。1,2日目は応援に徹する


「しゃあ! 見たか!」


 幸先よくボローネは1年生戦で勝った。流石、強い。後は彼女の影響もあるんだろうなあ。行く前にお守りとキスしているところを偶々見たし。正統派って感じ。好き……最高……


「まあ、ここはね」


 クライスも勝った。流石、王子。英才教育受けてんなあ。立ち振る舞いがプロのそれだったし。後眼がいい。鑑定系って言ってたから相手の些細な動きも感じ取れるのか? けどそれって鑑定なのか……? 


「いえーい! 主~見ててくれた?」

「ええ、計算通りです。ミリバーブ様に恥ずかしいところは見せられませんので、ええ」


 棒倒しは……うん。リシュリーノって意外に機敏なんだな……。まさか1戦目は速攻で棒に飛び乗って棒の印を取って終わらせ、2戦目はスクラムを組んで、相手がその対処に気を取られている間に棒に飛び乗ってその勢いのまま倒し、3戦目は警戒した敵を揺さぶって相手の意識がリシュリーノに多く向いた瞬間別動隊が一気に押し倒した。リシュリーノの活躍もすごかったけどスヴォーフも良くやっていた。相手の動きを見て、その都度戦法を変え、臨機応変に対応させ主導権を決して渡さなかった


「いや、すごいな......」

「ミリバーブ様が見ているので100%以上の力が出せました」

「頑張ったよ! ほめてほめて~!」

「よく頑張ったわ! なんか欲しいものがあったら言ってね。頑張って用意するから」


 そういうと雰囲気が変わった。なんか不穏な気がする。やばい、なんかミスったか? こういう場合は俺が欲しいものを汲み取ってサプライズで渡すべきだったか?


「......なら、この大会が終わった後ミリバーブ様のお部屋にお邪魔して言います」

「......うん、そうだね。それまで考えておくから......安心してね?」

「あ、ああ......わかった」


 若干不穏な状態になったが……まあ何とかなるだろ! あいつらいい子だし。そんな悪い方向にはならないはずだ!


 2日目も無事に終わりA組は1位,2位はC,3位D,4位Bだった。なんか見ていて思ったのがA組ってどの学年でも高水準なんだよなあ……。Bは文化系が多くて、Cは体育会系、Dも両方いる。けど、Aの方がまとまっている感がある。他のクラスは若干派閥の対立がある気がする。そういうのも考慮されているのか? けど、クラウス様やマリーはそんなことないと思うが……潤滑剤? ありそうだなあ……クラス内で対立してばっかとか地獄だし


 3日目になり、俺の出番が来る。マジックファイトは3~5日目にわたって4つの会場で行われる。3日目は60人が16人になり、4日目は準決勝まで行い、5日目に決勝戦と3位決定戦、そして表彰式が行われる。俺とマリーは同じCグループ。指定された場所に行き、準備室で準備をする。準備室から戦いが見られるのでそれを見ながら戦術を組み立てる。出来れば魔力を消耗したくないので剣を軸に組み立てて戦う。相手の筋力は俺よりも上……だから速攻で決める。1回戦目は早く終わるものもあれば、長引く試合もあって面白い。俺の知らない剣術や魔法を使うのでいい勉強になる

 そうしているとマリーの番になった。マリーも5年生が相手とぱっと見の印象はマリーが不利だが、マリーは近衛兵の訓練に参加して鍛えられているし、オークも余裕で倒すことが出来るレベルになっている。そう考え、マリーの勝ちを予想していると試合はすぐに終わった。マリーの蹴りで相手をKOした。流石にここまでの瞬殺KOは予想していなかった。強い。これはガチでやらないと勝てないな。そう思い試合に臨む


「今年の1年生は強いな」


 そう先輩が話しかけてきた


「そうですね」

「さっきの彼女はとても素晴らしい。妻にしたいくらいだ」

「生憎、彼女は私の婚約者なので。ええ、諦めてください」

「なら、失望されないように精々がんばれよ、ボーイ?」


 そう言いながら、先輩は槍を構えず、悠然と立った。まるで先に攻撃しろと言わんばかりに


「さあ、攻撃し給え」

「......余裕ですね」

「ああ、余裕さ。上級生としてのね」


 ……舐めてんなあ……まあ、都合がいい。俺はそう思い、構える。相手は余裕綽々と言わんばかりに笑っている。俺は相手の槍を叩き斬り、一瞬の動揺の隙を突き頭に膝蹴りを叩き込む。その後マウントポジションに移行して殴ろうとするとストップがかかり、俺の勝ちとなった


「お疲れ」

「おう」

「次だね」

「そうだな」


 しばしの沈黙が場を支配する


「負けないよ」

「こちらこそ」


 俺たちは拳を突き合わせた

 2回戦目はシード枠の先輩が出る。シード枠だけあって、強い。けど、俺なら勝てると思った。マリーもこの先輩なら今年は勝てないだろうが1,2年もすれば完勝できる。将来有望と言ってもあちらも成長途上。マリーの成長スピードなら勝てるだろう

 2組目の対戦は塩試合。こんなんみて面白いわけがない。そう思わせる試合だった。観客もなんか冷めているし。3組は一転男同士の殴り合いで両者血を流しながらも一歩も引かず熱い試合だった。だがその代償は大きかった。ドクターストップで俺とマリーのどちらかは次の試合不戦勝となることが決まった。なんとも言えない


「そういえば今回が初めての対決ね」


 そういえばそうだ。これまでの戦いは共闘ばかりだ。マリーと拳を合わせることはなかった


「負けないよ」

「勝つよ」


 合図が鳴った。その瞬間マリーの拳が俺の頭めがけて飛んでくる。俺はインロンでガードをするが、それでも重かった。続けてパンチとキックのコンビネーションで攻め立ててくる。捌くことはできるものの依然としてマリー優位だった。俺はインロンで一発を防いだ後にインロンを蹴って距離を取った。それを予見していたかのようにマリーは突っ込んでくる。俺はマリーの勢いを利用して背負い投げをするがその瞬間脚で首を挟まれる。まずい。俺は急いで脱出しようとするが、マリーはがっちりホールドしている。俺はインロンを呼び寄せ、俺の首ごとマリーの足を狙う。マリーはぎりぎりまで待ち、絶妙なタイミングで足を外した。俺は素手で刃を掴み体勢を立て直した


「フゥー......魔法使わなくていいの?」

「使わせてくれなかったんだろが......!」ハァハァ


 マリーは身体強化と硬化魔法を使って重い攻撃をテンポよく打ち込んでくる。しかも、まだそれ以外の魔法を使っていない


「武器、使わなくてもいいの?」

「そっちが使ったら使う......よ!」


 成程、マリーはこれからこのスタイルか。だったら俺もインロンを使わず素手で勝負する。魔闘は魔法と武器を同時に使用すれば火力は上がるように進化している。しかし、それと同時に素手での攻撃はあまり火力が出ない。だが、マリーのギフトも同じ。むしろ、俺の方が魔法効率が上がる分有利だ。では、なぜマリーが有利か。それは慣れだ。俺は武器を前提とした戦い方を重点的に訓練している。しかしマリーは武器の訓練もしているがMMA的な戦い方に重きを置いている。その経験の差がこの戦況を作り出している

 馬鹿正直に武器を使わず素手で打ち合わず、インロンを使えば俺が優勢になるだろう。俺も普通ならそうする。ではなぜしないのか。それは愛する人が素手で来ているのに、俺が武器を使ってたらカッコ悪いという俺のエゴだ。俺の自己満足の結果だ。俺は勝ちたい。相手の土俵に立って勝ってやる……!

 どのくらいの時間が経過しただろうか。俺の体力は削られ続けるが、マリーは回復魔法で体力を回復できる。観客の眼にはどちらが優勢か一目瞭然だろう。後は俺がいつ負けるか。ただその瞬間を待っている。……ジリ貧だな


「お、漸く使う気になったね」

「......」


 俺は走り出し、目の前でインロンを落とす。その瞬間マリーの眼はインロンの方向に向く。俺はマリーの左腕を引きバランスを崩して、足払いをする。それが上手く成功しそのまま絞め技に掛かる。マリーも必死で抜け出そうとするが俺も必死で固める。抜けられれば負ける。その一心で絞め続ける。そうしていると教師が辞めの合図を鳴らした


「負けだね......おめでとう」

「......俺の負け。結局武器を使ったんだから。今度一緒に訓練しよう」

「そうだね......頑張って」


 俺とマリーは一緒に医務室に行った。その道中かすかに聞こえた泣く声に気付かないふりをしながら2人で向かった

 俺は寮に帰り、コップに水を入れ飲もうとするとコップを割ってしまった。俺は弱い。あれは俺の負けだ。もし、あれをしなければ俺は負けていた。そんな自分の情けなさが手の痛みと共に襲ってくる。俺は情けなく泣いた。悔しさで泣いた


「......絶対優勝する。絶対にだ......! 勝ってやる......勝ってマリーの強さも証明してやる......!」


こんにちは、月照です。誤字脱字、誤記等ある場合は報告してくださると幸いです

美少女がステゴロで戦う姿っていいですよね。僕の癖です

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