第4話 中間考査
テスト。それは学生にとって避けられない存在であり、それは多くの学生を苦しませる存在と言っても過言でもない。しかしテスト大好きという異常性癖な人間もいるが極少数である。ほとんどの人間はテストを鬱陶しく思っているはずだ。俺もそうだ。好きなことを勉強するのは好きだがそれ以外は嫌になる。なんだよ微積分とかわかんねよ!しかし今の身分は学生である。逃げることが出来ないし、赤点を取ろうものなら恥だ。なので初めての中間考査をいいものにしようと勉強している。この学校の考査は一般教養の5教科と魔法・戦闘の筆記・実践、戦争史の中から任意で選んだ2教科、合わせて7教科の点数だ。選択科目は1学期は変えられない。一般教養は国語、数学、モンテン語、社会、技術である。技術は魔法を使用する魔法技術と魔法を使用しない非魔法技術が出される。例を出すなら前者が魔石を使用した街灯、後者が自然の力で動く水車だ。ちょっと難しいが一般教養は問題ないだろう。そして選択教科は魔法と戦闘の筆記だ。正直安牌を狙うなら魔法と戦闘の実践だ。恐らく9割以上取れるがそれではいつまでたっても自分がどのくらい知識を吸収できるのかがわからない。なので、とりあえず最初の考査で確認しようと思う
「はい、皆さん、もうすぐ中間考査ですね。今回一般教養の軽い小テストを作ってみました。各20点ずつの100点満点のテストになっています。自分がどこが弱いのかを確認する機会だと思ってやってください」
担任がテスト10日前に小テストをクラス授業の時に配った。内容は基礎をやっていれば8割は取れる内容。残りは発展や基礎を少しややこしくしたものになっていた。その後回収され、次のクラス授業の時に成績発表と成績が返された。俺は国語20、数学20,モンテン語20,社会14,技術12。まあ、国語は文法問題や単語問題、論述だったので問題なし、数学は中学生の問題位なら問題なし、モンテン語はまあギフト無双だった。社会は法律や地名のミス、技術は魔法技術と非魔法技術がごっちゃになっていた。俺は4位、いや1位が3人いるから実質2位か。1位はシュガート、リシュリーノ、そしてブラント。ブラントは文治派の家系だったなあと思い納得した。ほとんどが6割を超えていた。難関な試験を突破した生徒たちならそのくらい当たり前だろう。しかし何事にも例外はいる。そいつらは……
「やべぇ……」36点
「……しまった!」31点
「どうしよう……リシューに怒られる……!?」30点
「\(^o^)/オワタ」27点
「??????」27点
40点以下の5人だ。おい、スヴォーフ、お前家庭教師の授業を忘れたのか!?流石にひどいぞ!?
「因みに、赤点はどの教科も40点以下だね。赤点が出た生徒は7月にある行事の時に捕囚があるから参加が出来ないよ」
残酷だ。そしてその日の放課後俺たちは居残りをしてクラス全員で赤点5人衆を始めとした勉強の方針を決める会議を開催した。まずスヴォーフ、国語、技術は半分を超え、社会が8点、モンテン語が2点、数学は0だ。これを見たリシュリーノの意識が宇宙に飛んだ。俺は頭が急に痛くなった。とりあえずモンテン語と数学を重点的に教えることにした。次はボローネ。全教科7点以上取れている。数学だけ8点だった。こいつに関しては全教科の基礎を固めさせれば赤点を回避できるだろうという全員の認識だった。プリントで何とか出来るレベルだ。次はリワーフォ。全教科6点、技術だけ7点。こいつもボローネと同じ対策を取ることが決まった。そして最下位2人。バシールとコトッジだ。バシールは平均的に出来ていなかったため、全教科まんべんなくできていて、60点付近を取っていたハルークがマンツーマン指導をすることになったコトッジは……なんだ……その……途中から回答欄がズレていた。ズレているところを本来の回答欄に移したら赤点ラインを余裕でとび越えた。こいつは時間を決めたテスト形式でケアレスミスをなくす方向で決定した。それ以外にも教科ごとに赤点ラインを割っている奴もいたのでそれぞれを教え合うことになり、選択教科に関しては同じ教科のグループを作り教え合うことになった
テスト1週間前から部活活動が禁止になるテスト週間が始まるので放課後はみんなでできるだけ集まることにし、寮が同じ奴は危ない奴の面倒を見ると決まった
「ミリバーブ、君はモンテン語でどんな勉強したのかい?満点の君の意見を聞きたい」
「俺、ギフト、翻訳、モンテン語、わかる」
「はぁ!? ずるじゃん……勝ち組じゃん! ギフトの規制は!?」
「ギフトも自分の能力ってことで規則はないぞ。透視系も使い放題だ」
「規制しろよ……学園……」
「w」
とまあ俺はモンテン語に関しては教えれない。いや、教えることもできるがどちらかというと国語や数学メインになる。数学は、連立方程式とか図形の証明、魔力の消費量計算とかなので簡単だ。国語も故事成語や文章読解なので教えるのはそう難しくない。教える人もアウトプットがしっかりできるので自分の勉強にもなる。案外よくわかってない奴の質問が自分も解っていないということもあるのでいい経験だ
そしてあっという間にテスト当日。俺は問題ではないが赤点5人衆をはじめ小テストで赤点ラインを割っている奴らは戦う顔をしていた。リシュリーノ曰く「スヴォーフは問題ありません。叩き直しました」とのこと。実際顔つきが変わっていた。小テスト前の顔はFXでお金を溶かした顔っぽかったが、今回の顔つきはパチンコ屋で抽選に並ぶ人の顔だ。戦う顔をしてる。よかった、休学させて領地に強制送還しなくてすむ。考査は2日間に分かれている。初日は一般教養、2日目は選択教科だ。試験監督が来て、テスト問題が配られる。テスト時間は45分。休憩15分だ。試験監督が、テストが全員にいきわたり、チャイムが鳴ったのを確認すると開始の合図を出した
一般教養は順調に終わった。まあ全教科満点は無理でも赤点はまずないだろう。クラスを見渡して絶望しているやつはいない。恐らく赤点5人衆もできたのだろう
今日は選択教科。時間は同じ。これは不安が残りつつも問題を見た。魔法の筆記の点数配分は入試と同じだ。基礎は多少忘れている部分はあったもののそこまで障害はなかった。展開は問題なし。そして一番の問題の構築だ。入試で2点しか取れなかったのでせめて4割は取りたい。問題を見ると火と水の初級魔法だ。授業で習った術式の核となる部分を書き、周りに火なら温度を上げる術式や火の安定性を手助けする術式を書く。水も同じように水温や安定性に作用する術式を書く。初級は主にこの2つを書いていればいいと言っていたので、余計なものを書き減点されたくないのでそれだけを書いた。少々不格好だが少なくとも2点ではないはずだ。次は戦闘の筆記。これに関しては騎士団で習ったことを書く。まずは武器の種類と各武器の特性だ。どのような種類か、どのような場面で使われるかを書く。後はどのような順序で武器を用いて相手を倒すかの選択問題や有名な武術の流派を答える。大体はできたはずだ
テストは1週間後のクラス授業で返される。教師も大変そうだ。気のせいかもしれないが担任の生気が普段よりも無いように見えた。成績表を見ると、国語96、数学90、社会86、モンテン語100、技術78、魔法(筆記)87、戦闘(筆記)89の合計626。結構いい! 順位は5位か。クライスに負けた。アイツはアイツで全部90点とかいう狙ってやばいことしてた。なんだよ、絶対100点行けたやつもあるけど90点にしとくかって考えてやってんじゃん。1位はリシュリーノの678、2位はブラントの677、3位のシュガートは675と超ハイレベル。おかしいよ、こいつら。尚赤点はいなかった。赤点5人衆は肩を組んで勝利の踊りを踊ってた。スヴォーフの成績を見るとなかなかにぎりぎりだった。特に技術。41点。赤点すれすれでリシュリーノから笑顔で毎日勉強しろと詰められてた。しょうがない
「さて、皆さんは赤点がいなかったみたいですね。いや~よかった。赤点がいると行事に参加できないですし、私の評価に響くので本当に良かったです」
「先生、本音隠れてません!」
「おお、これは失敬。……ええ、では7月の行事について説明します。一言で言うなら巣窟遠足です。この学園が管轄している巣窟の1つに潜ってもらいます。とはいっても最奥まで潜ってもらうわけではなくモンスターが出ない境目である所謂安全層まで潜ってもらいます。5人1班で潜りますがその割り振りはくじで決めます。これを機にあまり話せていない人と仲良くなってくださいね」
「あの、先生! その巣窟って安全なんですか?」
「安全です。魔物も出ますが近くに教師や学園が雇った冒険者も待機しているので大丈夫です。仮に生徒が死ぬとしてもそれは最後です」
巣窟ねぇ……この学園内のとは違うのだろう。そういい説明を聞く。王国が管理下に置き、初心者向けの管理下に置かれた巣窟。……嫌な予感しかしない。俺のギフトの影響で絶対危険になる……! 教師や冒険者もいるみたいだから、最悪俺が殿になって残りの4人を逃がせばいいな。それが1番生き残る可能性が高いし
「くじ引きの結果発表していきます。1班、ミリバーブさん、シュガートさん、レイノルさん、ノルコンさん、ジューダさん」
わお。まさかのシュガートとか。仕組まれてんのか? これもギフトの影響か? 考えても仕方ねえ。そう思い他のメンツを見る。戦闘の授業で一緒なレイノル、理論の授業で一緒のノルコン、ほとんど関りがないジューダさん。レイノルは前衛、ノルコンは後衛かな? 魔法が得意って言ってたし。ジューダさんは……前衛向きの肉体じゃないから後衛か? なら前衛2、後衛3か。ちょっとアンバランスだな。レイノルと俺のどっちかが盾役にならねえとなあ……。そう考えていると班割が終わり、班での話し合いになった
「どっちが盾になります?」
「俺かなあ……魔法も使えるから魔法で守りつつって感じで」
「わかりました。では彼女らに伝えておきますね」
「頼むわ」
「では、私は回復するね、ギフトもあるし」
「なら、強化と防御魔法は私が、得意なんだ~」
「じゃあ俺は攻撃魔法か。大声で言うからちゃんと避けてくれよ?」
「了解」
「わかりました」
「じゃあ、担任が言ってた通り行事までの時間は学内の巣窟に潜るか。週1,2くらいでいい?」
「そうですね、それが妥当だと思います」
「異議なし」
「私も~」
「俺もだ!」
そうして初めて1班のメンバーと巣窟に行った。その結果は……
「あ゛あ゛あ゛!!! 邪魔!」
「声が小さい!」
「あ、待って!? 動かれたら魔法掛けにくいよ!?」
「皆さん……落ち着いて……」
これはひどい。散々たる結果だった。連携とか初めてだから仕方ないが……アレだな。まず前衛と後衛の声掛けが出来てない。前衛も前衛でなんで俺が盾で守っているのにそこに突っ込んでくるの?
「あ……まず防御魔法があるから盾はいらないな。もっと深く潜るなら必要になると思うけどそれならこの程度の装備じゃあ無理だし。これなら俺とレイノルは剣を持った方がいいわ。後、レイノルもう少し冷静になれ。この強化魔法が掛かっていたらそんな慌てなくても殺せる。次に後衛は乱戦になると声が通らないから鈴かなんかを持って来て、それを鳴らすときは魔法を撃つとかにするか。ノルコンさんも慌てなくても大丈夫。そんなにすぐ解除されるわけじゃないから。範囲魔法あるでしょ? 効率は下がるけど掛けれないよりは良いから範囲魔法を使おう」
「わかりました」
「はい」
「なら、今日のとこは解散するか? 精神的に色々疲れた」
「そうだな。じゃあ今度は2日後で」
「「「「了解です(だ)」」」」
2回目の探索は以前よりも格段に良くなった。後衛の中で冷静なシュガートが鈴の係となり、持って来たハンドベルを使って知らせてくれている。これだけで後ろから撃たれる心配はない。ハンドベル2回が強化魔法、3回が攻撃魔法だ。ハンドベル1回は後方からの敵襲。シュガートの役割は索敵、合図、回復と後衛の核だ。俺の仕事はシュガートが取り乱さないようにすることを第1としてレイノルと連携する。レイノルは少ないものの魔物との戦いを経験をしている。だから冷静さを欠く場面もあるが、声掛けを積極的に行うことで冷静さを欠く場面は少なくなった。2回目の探索は大成功だった
俺たちはその調子で巣窟に潜り、必要な道具を適宜話し合いつつ遠足の日を待った
こんにちは、月照です。誤字脱字、誤記等ある場合は報告してくださると幸いです
もうすぐ年越しですね。年末年始はバイトばかりはいっていて辛いです
そしてこの作品のコメント・評価も是非ともお願いします




