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貴族の子息ははかりかねる  作者: 月照建速
第2章 学園編

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第2話 召喚獣と神様

 まず、この学園の部活動はガチなものから緩いものまでピンキリである。ガチなものは魔法関係である。その理由は、この学園が魔法関係では王国、いや大陸を含めても3本指に入るほどの名門校であるから、魔法関係の部活動は特に熱心に取り組んでいるからだ。逆に文学や創作系の部活動は緩い。俺は目星をつけているものはあるが、未だ決めかねている状態だ。俺は別にガチで部活動をしたいわけではない。ちょっと緩いくらいの部活動がいい。そう考えながら、学園から渡された部活動全てが乗ってある冊子と部員が行っているアピールを見ながら頭を悩ます。今アピールをしているのはこの学園の部活動の顔であるマジックアーツ部である。マジックアーツは魔法の技術を見せるスポーツであり、フィギュアスケートみたいなものだ。マジックアーツは魔法研究の側面も強く、家庭教師をしてもらっていたデュアンヌさんもここ出身らしい。そして次も花形であるマジックファイト部である。マジックアーツが見せる競技ならこっちは実際に戦うものだ。シングル、ダブルス、団体戦がある。昔は馬上試合みたくマジックファイトに高位貴族も参加していたが徐々にそれが薄れていくと、マジックアーツは高位貴族や聖職者のやるスポーツ、マジックファイトは騎士といった下位貴族や平民がやるスポーツというものになり、さらには文治派の貴族がやるマジックアーツ、武断派の貴族がやるマジックファイトという対立構造までできている。その例にもれず学園内でも煽りあっていた。とは言え所詮は学生。そこまでの対立ではなく、むしろ煽ってお互い切磋琢磨していこうという雰囲気を感じられた。しかし両方ガチそうなのでパスだ。他の魔法関係では昔の魔導書を翻訳しようという部活や妖精と人間のかかわりを調べようとする部活、そして魔物を調べる部活が気になった。他にも貴族やその従者向けの領地経営を研究する部活や、こちらは平民向けの経営論、聖職者向けの教会研究、冒険者を希望する人向けの部活、小さなところだと鍛冶屋向けの部活なんかがあった。生徒数が多いから部活の内容も多彩だった

 リシュリーノは領地経営研究会、スヴォーフは戦史、マリーはクラウス様と同じ部活に入るらしい。クラウス様と随分仲が良いみたいだ。そして俺はというと……


「ミリバーブ、どこ入んの?俺はマジックファイトだけど」

「図書部。図書館に入り浸りたい」

「へ~、お前ならマジックファイトでもマジックアーツでもいい線行けそうなのに」

「別にヴォルクーネ杯に出るのに必須じゃねえしな」

「いや、そうだけど。やっぱ訓練は必要じゃん」

「授業で何とかするわ。てか俺進路決まってないからとりあえず知識を貯めこむ」

「え、貴族になんねえの?」

「家は兄上が継ぐし、親からも俺のしたいことを探せって言われてるし。まあ見つかんなくても地方領主とかの道もあるしな。気が楽」

「ふーん」

「お前がマジックファイトなのも驚きだよ。てっきり料理系に行くと思ってた」

「確かに俺の実家は居酒屋だけどよぉ……俺は料理がテンでダメだから、冒険者になろうと思ってんだわ。腕っぷしはあるからな」

「……ああ、そういや授業でも騎士としての教育受けてたやつ倒してたな」

「まあお前には負けたけどな。ただ!俺はお前に勝つ!」

「楽しみにしてるわ」


 俺は図書部という図書館を拠点とする部活に入った。図書館の準備室を部室に貸してもらい、その代わりに司書の手伝いや本の片づけと言った図書委員みたいなことをする。しかし活動の中心は読書をし、その感想などを言い合うというものだ。まず何をするにも知識だ。そしてこれは本当に偶然なのだがシュガートも入部していた。なぜだ。お前は教会系の部活に行くんじゃなかったのかよ。そう思っていると相手もなんで貴族系の部活に入ってないんだと言わんばかりの眼をしていた。仕方ない。マジックアーツはガチすぎて放課後の時間のほとんどが奪われそうだったし、後貴族の巣窟とかとんだ伏魔殿だ。チラッと見学させてもらったけど上級生になるにつれ腹の内がまじでわからなかったし。あんな人たちと毎日のように会うとか精神が疲れる

 その後の学園生活は順調だった。そして今日は前々から楽しみだった召喚魔法の日だ。これは全員が行う授業であり、その狙いは召喚し契約した召喚獣と信頼関係を築くといった道徳授業の一環だ。原則参加、魔力が少ない生徒は魔力を他の生徒から貸してもらうか魔石を代用品として使う。魔石は高価であるため貴族向けだ。リシュリーノは魔石を使う。ここら辺は貴族の従者のメリットだ。貴族の従者としてここに進学する場合原則その貴族が従者の金銭的負担を負担する。リシュリーノは申し訳なさそうにしていたが、貰えるものは貰っておけと言い聞かせた


「ミリバーブ、どんな召喚獣が欲しい?」

「なんでも」


 召喚獣の種類は多彩だ。魔物に近い姿をしている物から人に近い姿、無機物の姿をしている。それらをひっくるめて召喚魔法によって召喚され契約した存在は全て召喚獣と呼称されている。しかし召喚獣と契約して即100%の力が発揮されるわけでもなく召喚獣に認められ初めて100%の力が発揮される。その方法は様々で召喚獣に戦いで認められる、知恵比べをする、行動で信頼されるなど召喚獣によってマチマチだ。傾向として人の言葉をしゃべらない召喚獣は実力を認めさせれば良く、人の言葉を話す召喚獣は信頼を勝ち取る方法がその召喚獣によってマチマチ。そして召喚獣の維持はその契約者の魔力か魔石からの摂取により行われる。偶に食事でも魔力を賄える召喚獣もいるらしい

 だが疑問がある。カグラ的には俺が別の召喚獣と契約を結ぶのはセーフなのか?


【アウト寄りのセーフ。個人的に君が僕以外と契約するというのは僕からしても嫌だけど、僕の感情以外でアウトになる要素がないからね。腹立たしいけど】


 そうか。けど俺とお前は対等な仲間だろ?召喚獣は契約だけの関係だよ


【最初は僕らもそうだったじゃん!あと怖いのが、大妖精がやってくること。普通は無いんだけど、君の場合は特別だからありえそうなのが怖いよ】


 ないだろ、そう簡単に大妖精が出たらもっと大妖精と契約するやつが増えてるって


【それはそうだけど……けど僕とドルティナに会っている時点で出そうなんだよね……】


 そんなことあるわけないじゃん。カグラと話していると歓声が上がった。見るとクライスが人型の召喚獣を召喚していた


【あれは、ヘルトだね。当たればデカいギャンブル性のある召喚獣さ】


 ああ……なんか納得した。アイツ一発当たれば敵をワンパン!とか好きそうだもん。続いてシュガートは、天使っぽい奴だ


【あれは下級の妖精たちと下級の天使が合体したピクジェだね。やれることは魔法の補助。性格は……きまぐれ?】


 成程、聖女候補らしいな。そのあとは子犬やら猫やらが続きスヴォーフは鳥だった


【あれはヴィーグだね。昔は勝利を呼ぶ鳥として崇められたはずだよ】


 ……召喚獣って召喚者のギフトに影響されるとかある?


【どうだろう、けど召喚者の気質は影響するよ。召喚獣を見て相手の人となりを判別してたこともあったし】


 成程なあ。リシュリーノはゴブリンっぽいのを召喚してた


【アナグルだね。ゴブリンと下級の妖精が合わさったやつで人間の手伝いをするいい子だよ。私たちも手伝ってもらうし】


 書類仕事が多くなるリシュリーノにはいいかもな。ボローネは……ライオン?


【お、あのじゃじゃ馬を召喚するか。中々に面白いね。アイツはシラ。戦い勇気を示したものに福をもたらす召喚獣だね。結構人を選んで召喚されるからあんま見ないんだよねえ】


 召喚獣が人を選ぶのか?


【実力が上のはね。神様がどうしたのかは不明だけど、少なくとも実力がある召喚獣は召喚者を選んでいるよ】


 知らなかった。てか召喚獣ってどこにいるの?


【魔界って呼ばれる所。魔領以上に魔素が濃くて魔領に住んでる魔物でさえ長時間居たら死ぬ。最後の神秘が残る場所。それが魔界だよ。僕ら大妖精の故郷であり、僕らはそこから人間界を観察して気に入った人についていくんだ】


 そんなやばいところがあんのかよ……。怖いなあ……


「じゃあ、次、ミリバーブさん」

「はい」


 俺の番か。呪文を唱えて魔法陣に魔力を注いだら完了だ


「これは神が我らに与えた契約の儀。契約するは神が我らに与えた神秘残る獣。その額には神の印あり。我の魔力に応え給え。召喚(サモン)!」


 ピカッと魔法陣が光り、その直後煙が発生した。その煙が晴れると、そこには灰色の小さなオオカミがいた


【!?】

「お、ミリバーブはオオカミか。ヴェローか?」

「愛くるしいな」

「わぁ~毛艶綺麗!」


 そのオオカミは気品あふれ、普通のオオカミよりも堂々としていた。直感的に通常のオオカミではないことを悟った。しかしそのオオカミに敵意はなく、俺の足に頭をこすりつけてきた


「かわいいなあぁ~お前!」

「バウ!」

「お前の名前はフェルだ!これからよろしくな!フェル!」

「バウ!」


 フェルは俺の言葉を理解しているのか俺の呼びかけに元気よくうなづいた。持ってみて気付いたが、フェルがもふもふすぎてやばい。ずっと持っていたい。瞳も金色でかっこいい。カグラ、こいつはなんていうんだ?


【ああ~、ヴェ、ヴェローだよ。ほら、授業で言ってたやつ。ヴェロードの基になった始まりのオオカミの種だよ!】


 ……本当か?


【本当だよ。少なくとも今はそうだよ】


 今は……ね。まあお前にも事情があるんだろ。安心しろよ、どんな種類の召喚獣でも愛をもって接するから


 そして授業が終わり、部活動も終わって、フェルと一緒に寝た。ふわふわで大変だ着心地が良かった。明日からも同じようにしよ




 Side カグラ


「や!」

「どういうつもりだ、フェル……いいや、フェンリル……!」


 僕の契約者が契約したのはオオカミじゃない。オオカミの形をした闇の大妖精のフェンリルだった。こいつは基本的に人に興味を示さない。少なくともこいつと契約した人間は僕の知る限りいない。私たち大妖精の中で唯一契約をしたことがなかった


「いやぁ~そろそろママに怒らそうだからね。姉弟の中で私だけじゃん?契約したことがないの。だからそろそろ契約しようと思ってね」

「じゃあ、なんで僕の契約者と契約したのさ、別に他の連中でも良かっただろ。それこそ君を崇拝している教会派の連中とかさ」

「理由は召喚されたからかな。それ以上でもそれ以下でもない。まあ、たかが人間に召喚されるとは思ってなかったけどね。よっぽど私と相性がいいんだろうね!」

「喧嘩売ってる?買うよ?」

「やだな~、姉弟と殺し合いたくないよ~、それに悲しむぜ?召喚してすぐ召喚獣がいなくなるのは」

「チッ!」

「まあ、一緒に盛り上げていこうぜ?同じ契約妖精同士!」


 本当に嫌な奴だ。僕の契約者と相性が良かった?そんなわけない。どうせ僕と契約しているからちょっかいを掛けたくて召喚されたな。そうに違いない。契約者と相性がばっちりなんて認めるものか!彼は僕のだ。絶対に渡さない




 Side フェンリル


 私が彼によって召喚されたのは不可解なことだ。本来人間が契約できる大妖精は一人までだ。にも拘らず、彼は私との契約に成功した。いや、抜け道は存在する。古代の魔女のように他の人間の魂を取り込み、その魂と契約させ大妖精の力を得るということをしたのか?と考えたが、彼の魂は1つだけだ。なら彼が使役や契約に関係するギフトを持っているか?いや、そうではなさそうだ。もしそのようなギフトを持っているなら使役している魔物がいるはずだ。ならば彼は私たちの様な妖精に近い存在か?否。彼はれっきとした人間である。もし私たちの様に神が直接創造した生命ならば神の残り香があるはずだ。しかし彼から漂うのはギフトのものだけで、しかもそこまで強くはない。ではなぜなのだろうか。母がなにか細工をした?母が私を働かせようと無理やり召喚したのか?では、なぜ彼に?わからない。そしてもう1つ私を悩ませる問題がある。私が大妖精としての姿ではなく小さなヴェローに近い姿で召喚されたことだ。大妖精が召喚されるという問題を置いておくが、私がヴェローに近い姿で召喚されるのは意味が解らない。相手の魔力が少ないなら理解はできるが彼はそんなに少なくない、むしろ大妖精と既に契約をしているという点を踏まえると魔力の量は多い。ならば大妖精としての姿ではなくとも大きく凛々しいオオカミの姿で顕現できたはずだ。わからない。彼は一体何者だ?ドルティナの魔力を漂わせている剣も持っているし……




 Side ???


 なんで?なんで?なんで!?なんであの妖精不適合の烙印を押されたアイツが召喚されてるの?!しかも形は小さいながら実力は変わってない!意味が解らない!しかもなんで召喚したほうも周りも大妖精ってわからないの!?あんなに強いオーラを漂わせているのに、なんでちょっと変わったヴェローとして接することが出来るの?!認識阻害でも掛けられているの?意味が解らない!




 Side ――


「ふっふっふ、協力ありがとうねぇ。サウ……あ、教会での名前の方がいい?」

「どちらでも」

「じゃあこっちの世界での名前で呼ぶよ、トリテイアちゃん♪」

「……いきなり頼み事されたときには驚いたぞ」

「いいじゃん♪まったく動かなかったフェンちゃんの働き口もできたし、僕からのプレゼント喜んでくれてるなあ~」

「……殺意を持たれているのによくもまあそんな嬉しそうな顔をするんだな」

「だってさ!殺意って僕のことを想ってくれていることの証明じゃん!つまりは愛だよ!彼は僕を愛してくれているんだ!漸くだよ。彼の前世でも、その前もずーーーーーっと彼の輪廻を見てきた。気が付いてくれなかったけど我慢した。我慢できず人間界にも下りた。けどあの世界だとあまり干渉できなかった。だから君の力を借りたのさ。まあ高天原の神の説得には結構時間は掛けたけど」


 時間が掛かった。その間も彼のことをずっと見てた。彼を見るたびに説得の疲れが拭き取んでさらなるモチベーションになった


「漸くだ、漸く僕を見てくれる舞台に立たせることが出来た」

「……あの人間には愛する人がいるようだが?」

「別に。だって英雄色を好むっていうじゃん。ただ、最初は、1番は僕だ。この世界で彼に初めて愛されたのは僕だ。それも何千、何万年も前にだ!彼にその記憶はないけど、魂に刻み込まれている。僕との愛が!だから、僕の本当の名前をサラマンダーに付けたんだ。待ってるよ、僕の英雄、僕の愛しの人。待ってるから。僕頑張ったよ。君のお陰で、この座にも座ることが出来たんだから」


 ああ、そうだ、今の彼と古代の英雄としての彼は全く違う。所謂テセウスの船だ。しかしそんなことはどうだっていい。一度諦めるために人間界に下りた。その時の在り方は古代の英雄とは全く違ったし、勇敢な英雄ではなく失敗を恐れ、現状に不満足でありながら足踏みばかりしている人間だった。けれど、それでも僕を助けてくれた。手を差し伸べてくれた。僕の記憶は無いのに。だから、僕は気が付いた。最初は英雄としての彼が好きだった。けれど、何度も輪廻の中の彼を見て、絶対にしないであろう行動も見てきた。それでも好きという感情は変わらなかった。だから、強硬手段に出た。僕は悪い神だ。けど、それでも彼のことを愛している


 Side トリテイア


 狂気だなと思った。確かに彼の輪廻を遡ればあの古代の英雄に行きつく。しかしすでに何回も転生し、そのたびに新しい魂の形に生まれ変わり、古代の英雄の魂はもう欠片も残っていない。古代の英雄と今の彼は同じではない。もうすでに違う存在だ。にも拘らず目の前の神はそれを知った上で彼の人生を楽しんでいる。意味が解らない。半神半人である彼女の思考はわからない。ただ、彼女の愛は曲がっていることは解る。そして同時に彼女の愛がただひたすらに彼のことを愛してやまないこと、その愛が偽りなき純粋な愛であることも解った。羨ましい。この世界で魔法の神として崇められようが、ただひたすらに愛することもしなかったし、されなかった。愛というものはどれだけのものなのだろうか


「まあ、あの程度のことなら別に良い。認識阻害なんぞ」

「ありがとねぇ~」


 しかし、彼は大妖精たちと相性がいい。……不良債権に近いフェンリルを押し付けるんだ。多少色を付けて加護を与えるか。どうせ人間には見えないんだからいいだろう


こんにちは、月照です。誤字脱字、誤記等ある場合は報告してくださると幸いです

冬休みなのでできるだけ毎日更新がんばりたいです!

そしてこの小説がなろうだけで1000PVまで行きました!最初はもっとかかるだろうなあと思っていたので1ヵ月以内で達成できるとは驚きです!これからも応援されるような小説を掛けるように頑張ります!

最後にこの作品のコメント・評価も是非ともお願いします

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