第1話 親睦会
王子からの依頼を果たすためにもまずシュガートと接触をしなければならない。そう思い接触しようとするが
「す、すみません!用事があるので!」
「あ、えっとごめんなさい!」
逃げられる。俺が何かしただろうか?少なくとも記憶がないぞ?いや、俺が思いつかないだけで何かやってしまったのかもしれない
「主~なんでシュガートちゃんに話しかけてるの?浮気?」
「違う。ただちょっとな」
「……ミリバーブ様、出過ぎた真似をして申し訳ございません。勝手にですが調べておきました」
「許す!どれどれ……おい、これは本当か?」
「はい。外の密偵からの確かな情報です」
「成程なあ……これはまた……」
そこに書かれてあったのは大司教としてのシュガート、いやタペインは既に死んでいる。そして、聖女のギフトを授かったシュガートも死んでいる。聖女候補とその補佐として一緒に教育されていた2人はなんらかの理由で死んだはずが、その後シュガート・タペインとして生きていた。……教会が死者の魂を混ぜてハイブリットな人間が誕生したか、神の悪戯か……どっちにしても藪だなあ。突きたくない。何が出てくるかわからん
【いや、まだもう1つ可能性があるよ。妖精の仕業さ】
は?大妖精って人を蘇らせることができるの?
【普通はできない。けれど抜け道はいくつかある。その1つが大妖精に魂を吸収させて大妖精の眷属として地上に解き放つというやり方】
成程な。で、妖精の仕業っぽいか?
【わからない。僕らの仕業なら絶対に僕らはわかるし、あんなにも人間っぽい動きはできない。眷属は須らく眼が人の眼をしていない】
えらく抽象的だな。けどなんとなくはわかった。可能性としてはその3つ。そして死んだからもう戸籍がない?いや、教会なら神が起こした聖女の復活として大々的に押し出しても不思議じゃない。それをしなかったってことは何か裏がある。大妖精との契約か?大妖精側が自身の起こした出来事を神のものにされるのを嫌がった?ここら辺は詰めるべきだな。ポイントとしては、復活させたのは誰か、アレは何者か(片方はギフトを移植させただけ?両方の意識ある?)、なぜ平民枠として入っているか……
「リシュリーノ、引き続き調べろ。特に教会、タペインの出生地であるクルーノ、そしてそいつと一緒に死んでいた聖女候補もだ」
「かしこまりました」
「あれ?ミリバーブじゃん、何してんの?またシュガートをナンパするために考え事か?」
「違う。あとナンパじゃない!俺は貴族だからな、教会とのコネクションを作っといて損はないからな」
「なら、なんで他のやつらにはいかねえの?」
「それはもうやっている。顔は多少つなげれたが、アイツは毎日会うのにに逃げているからその理由が知りたいだけだ。侯爵家の子が平民に逃げられっぱなしだと沽券にかかわるしな」
「あ~貴族ってそういうの大事にするイメージだわ。そういやミリバーブはどうする?」
「何をだ」
「放課後、男子の親睦会を兼ねて広間借りてに集まんだよ」
「他のやつは参加するのか?」
「クライスも来るってなってるから来るぞ」
「なら行くわ」
何だこいつ……まあクラスがギスギスするよりマシか。気分転換にもなるしな。そう思いながら俺は放課後になるとその広間に向かった。ドアを開けるともうすでに結構な人数が揃っており、後2,3人ほどだ。一応礼儀として売店でお菓子を数個買ってきた。こういう場所は高価なものじゃなくみんなでワイワイ出来るものがいいと思い、そういった系統のを買った。俺が机をふと見るともうすでにみんなが持ち寄ったであろうお菓子や飲み物が広げられていた。それらを見ればどの階級のやつがどれを持ってきたか大体把握できた
「……君がこんなお菓子を持ってくるとは意外だったよ。私は選択を間違ってしまったのかもしれない」
「別にいいだろ、これから学んでいけば」
「そうだね」
貴族が地面に座る光景は見ていてなかなかにシュールだ。最後の1人がきて、王子が乾杯の音頭を取り、親睦会がスタートした。最初は重い雰囲気だったがボローネが場を盛り上げ、平民出身のやつが一発芸をして、「ま、貴族様には場を盛り上げることなんかできませんよねえ~w」と煽られた貴族が服を脱ぎ筋肉を魅せると会場が盛り上がった。そこから筋肉に自慢があるやつが脱ぎ始め、さながらボディービル大会のようになった。盛り上がった流れで、王様ゲームの様なものが始まった。最初は和やかだった。しかし、それは王子によって打ち砕かれることになる
「じゃあ、5番は自分の好みのタイプを正直に言って」
「えっと……おしとやかなタイプです」
いや、これは嘘をついている!恐らく貴族としてのプライドだろう。男の性癖に優劣はない。そのことを教えなければならないようだ……!
「おいおい、ほんとかぁ~?」
「ニナーナルさん……!本当ですよ」
「いや~俺にはどうも嘘を言っているように聞こえるんだよなぁ~?王様の命令は絶対だろ~?ほら、どうせここには男子しかいないんだ、言っちゃえよ!」
「……です」
「は?」
「胸が大きくて俺のことを甘やかしてくれるけどちょっと抜けているお姉さんタイプです!」
「!!!いいこと言った!いいこと言ったぞ!お前らぁ!!」
「「「「フー!!!!」」」」
「わかる、お姉さんタイプに甘えたいよな。太ももが大きいお姉さんに膝枕されたい」
「俺は、俺よりも背が高いお姉さんもいいけど何もかもが小さいけどお姉さんしてくれて、ふいに見せてくれる年下の余裕を見せる方が好き」
「天才か?」
「ふっ、なら私も言わねば彼の勇気に報いることはできない。……私は黒髪清楚でも私と2人になると独占欲を剥きだして清楚を投げ捨ててくれる女性がタイプだ」
「王子!?」
そこから怒涛の好みの女性についての開示が始まった。俺たちは一致団結した。そのさなかある1人の男子が寮にあるものを取ってくると言い、しばらく戻ってくるとその手にあったのは
「お、お前、これは!?」
「お宝本ですぜぇ……兄貴……」
俺たちには手にできないものだった……!
「よし、ここは回し読みしよう」
「それだと時間が掛かります。ここは半分に分かれましょう」
「すまんな、俺は貴様たちを倒して先に見る」
「ゲームで勝った順で」
「じゃんけん大会の時間だぁ!」
その戦いは熾烈を極めた。俺は一回戦負けをして、そのお宝にたどり着くことはできなかった。敗北者はそちらでの興奮をよそに別の議論をし始めた
「やっぱ、ゴーレムには剣だ!」
「いいえ!魔法です!遠距離から敵をなぎ倒し、近距離は自身の質量で押しつぶす。これこそゴーレムです」
「ごめん、俺、空を飛ぶゴーレム以外ゴーレムと認めてないんだ」
「貴族も流行りの本とか見るんだな」
「そりゃあもう」
「やっぱ最強の虫はカッチュウだって!」
「はぁ?最強は一角虫なんですが?」
「これだからにわかは困る。最強はルカブス。虫最強本がそう言ってる」
「ああ、あの禁書」
「聖書なんだが?」
「あれ、禁書にしてって頼んだの私なんだよね。だって最強は一角虫なんだから」
「一角虫とか浪漫全振りで総合的に見て最強ではないでしょう。やはりカッチュウですよ」
と、好きなゴーレム、最強の虫で議論していた。俺は、ゴーレムは合体してこそだと思っている。そう言われたら
「合体は禁止でしょ」
「合体とかみんな好きだからね」
「敵との一時的な共闘での合体が一番好き」
「「「わかる」」」
議論が白熱するころにはお宝そっちのけになっていた。俺たちの絆が深まる瞬間だった。やっぱ、何時の時代も男の子ってこういうのが好きだよねって
「なあ」
「お前は……胸が大きくて俺のことを甘やかしてくれるけどちょっと抜けているお姉さんタイプな貴族!」
「ハルーク!クラスメイトなんだから覚えておいてよ」
「おお、悪かった。で、ハルーク?どうした?」
「いや、俺、君が本当のことを言うように言ってくれたお陰で楽しかった。貴族や平民の身分関係なく遊べた。ありがとう」
「いいよ、別に。俺も平民や貴族とかの対立とか嫌だったし」
「そっか。これから俺たち3年間一緒じゃん」
「そうだな」
「クラスが離れても一緒に遊ぼうよ」
「そうだな。その時はボローネに頼むか、アイツなら全員の居場所知ってそうだし」
「確かに!……最初はちゃんと貴族の子供としてちゃんとしなきゃっていう考えばっかだった。けど今は、皆と遊んで、貴族とか関係なく、俺自身として遊べた。楽しかった。だから、一緒に楽しい3年間作っていこう。だからクラスの中では敬語とか話しな!」
「言われなくても!」
「じゃあ、遠慮しなくていいな!おーい、皆!これからミリバーブの性癖暴露が始まるぞー!」
「はぁ!?お前!」
「俺も言ったんだから!火付け役の君も言わないなんてだめだよなあ!」
クッ……!正論で何も言い返せない!……仕方ない。俺の108ある性癖を開示するとするか……!
尚最初に言った性癖がマニアックすぎて全員から引かれた。かわいい純粋無垢な存在に急にビンタやパンチを浴びせて動揺からの現実を理解しきれず泣くという行為に1人も共感するやつがいないとは思わなかった!ボローネには「まぁ。なんだ……おの……実際にはするなよ?」と言われ、王子には「婚約者にはしてないよね!?」と言われた。するか!
その後、掃除をして解散した後、クライスの部屋に行き、シュガートのことを報告した
「なるほど……」
「これ以上調べるとなるともっと仲を深めないと無理。そして俺はなぜか避けられている……何ですか?そんな眼で見て」
「いや……さっきの姿と違うなって」
「今は仕事中ですから。ギフト以外で変わった点はありましたか?」
「うーん、ないな。しいて言うなら魔力が多いって彼女たちの友人が話していてね。そこまで多かったか?と思ってね。なんでも測定が満点だったらしいんだけど私の記憶では彼女の魔力は多いけど平均よりも少し多い程度だった気がするんだ」
「……2人が合体した結果、満点をたたき出すほどの魔力量を手に入れた可能性や、契約した可能性が大きくなりました」
「うん、まあまだ時間はあるんだ。ゆっくり調べてよ」
「はい」
「そういえば、履修は決めたかい?」
「ええ、まあ」
「じゃあ部活は?」
「明日から始まる勧誘期間で決めようと」
「そっか、私は生徒会に入ることが半ば強制だから私の分も楽しんで」
「王子という肩書は貴族以上に大変ですね。俺は親に自由に決めてもいいといわれたのでその言葉に甘えますが」
「まあ、その分特権もあるからね。カードゲームで一角虫を最強に出来たりね」
「あの巷で投げ売りされてるカードゲームは王子監修だったんですね」
「私の愛はまだ理解されてないがいつかは理解されるはずさ」
「すごい自信ですね」
王子の顔はシュガートのことを依頼してきたときの仕事の顔か、親睦会での年相応の顔かわからなかったが、恐らく両方王子の素なんだろう。この人はどんな場所でも希望を見出し、楽しめる人だ。だから、あのような初手で学園長の方針肯定や、親睦会参加をすぐに決めることが出来たのだろう。そしてそういう人だからこそ、彼の周りは笑顔で、人が集まるんだろう。羨ましいな
Side シュガート
なんであの人は私に話しかけてくるの!?王子はわかる。だって初めましてじゃないから。けどニナーナル様は違う!初めて会う。クラスメイトと仲良くなるため?教会とコネクションを作るため?わからない。けど、彼と仲良くなってしまったら私の秘密がばれてしまう気がする。秘密がバレることだけ避けないと……。私のせいで教会に迷惑が掛かってしまう……。それだけは避けないと……!ニナーナル様とその周辺の子たちとのかかわりは最低限にしないと……
「ああ、私の罪をお許しください。どうか、神様、私の願いを聞いてください……」
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