表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Haphazard Fantasy ~AIエイルの不思議な冒険~  作者: 加藤大樹
第三章 愛の魔女の試練
22/65

第22話 白き炎の誓い

「本当に壊れない子たちね……なら、直接試してあげる」


 グックルガムは鳶色の瞳を細め、赤いハイヒールで石畳を踏み鳴らした。

 甲高い音と共に、漆黒の鞭のような魔力が生まれ、蛇のように僕らへ襲いかかってきた。


「くっ!」

 ヴェルダンが槍で受け止めるが、衝撃で後ろへ弾き飛ばされる。

 僕も剣を構え、白き炎を纏わせて鞭を斬った。だが、黒い鞭は裂けたそばから再生し、何度も襲い掛かってくる。


「エイル、油断するな!」

 ヴェルダンの声が飛ぶ。

 彼はすでに立ち直り、鞭の雨を突き払いながら前へ進んでいた。


 グックルガムは不気味に笑いながら、舞うように大地を蹴った。

「もっと見せて。愛するものを守るための力――私を楽しませて!」

 赤い靴が閃き、鋭い蹴りがヴェルダンの槍を弾く。小さな体からは想像できないほどの重さが伝わってきた。


「ぐっ……!」

 ヴェルダンが膝をつく。

 僕は剣を振り上げ、白き炎で魔女の背を狙った。

 だがグックルガムは振り返りもせず、黒い鞭を一閃して僕を吹き飛ばす。


 石畳に背を打ちつけ、息が詰まった。視界が揺れる。

(くそっ……! このままじゃ……!)


 胸の奥で黒炎が蠢く。右目が疼き、視界の端が暗く染まっていく。

「……闇に堕ちればいい。あなたはその方が美しい」

 グックルガムが妖しく囁く。


「僕は……違う!」

 立ち上がり、剣を強く握る。

「僕は闇に呑まれない! 守るために――白き炎を選ぶ!」


 叫ぶと同時に、白き炎が爆ぜて広がった。

 その光は黒い鞭を焼き尽くし、魔女の動きを止める。


「ヴェルダン、今だ!」

 僕の声に応じ、ヴェルダンが槍を突き込む。

 赤い瞳が閃き、槍先が魔女の胸をかすめた。


「きゃあああっ!」

 グックルガムの身体が弾かれ、瓦礫に叩きつけられる。

 それでも立ち上がり、不気味に笑う。


「ふふ……素敵。あなたたちの絆、本当に壊れないのね」

 鳶色の瞳が悔しさと愉悦に揺れる。

「今日はここまでにしてあげる。でも――また愛しいあなたたちを壊しに来るわ」


 赤い靴音を残し、魔女の姿は黒い霧となって消え去った。


 広場に静けさが戻る。

 僕は剣を下ろし、肩で息をした。ヴェルダンも槍を支えに膝をつき、荒い息を吐く。


「……勝った、のか」

「追い払っただけだ。でも……僕たちなら、また立ち向かえる」


 ヴェルダンはかすかに笑みを浮かべ、赤い瞳を光らせた。

「……ああ。俺たちはもう幻にも、力にも負けない」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ