表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/65

第15話 父子の刃

 広場を裂く轟音と共に、黒騎士の剣が振り下ろされた。

 世界そのものの重みを叩きつけられたかのような一撃で、地面が大きく抉れ、砂塵が舞い上がる。


 ヴェルダンは槍で受け止めていた。けれど衝撃に膝が沈み、足元の石畳が砕ける音が耳を打った。


「くっ……!」

 ヴェルダンの赤い瞳が揺れている。その色は、黒騎士と同じ赤。

 父と子を繋ぐ血の証みたいに、二人の瞳が夜の広場でぶつかり合っていた。


「なぜ……!」

 ヴェルダンが叫ぶ。

「なぜ、父さんが……こんな姿に……!」


 黒騎士は何も答えなかった。ただ無言で剣を振るい、力で押し潰そうとする。

 その剣筋に迷いはなく、かつて勇敢な騎士だったはずの面影は見えなかった。


 僕は剣に白き炎を宿し、ヴェルダンの隣に駆け寄った。

「ヴェルダン、一人で抱え込むな! 僕も戦う!」


「エイル……!」

 彼は一瞬迷ったけれど、すぐに頷いた。

「……分かった。二人で、あの影を越える!」


 僕たちは同時に踏み込み、剣と槍を交差させて黒騎士へ迫った。

 白き炎が闇を照らし、槍の赤い光が閃きを添える。

 その瞬間、黒騎士の仮面が砕け、破片が飛び散った。


 露わになった顔は確かに人間だった。

 表情は無機質なのに、その奥には苦痛の影がうっすらと見えた。


「父さん……!」

 ヴェルダンの声が震える。

 でも黒騎士はその叫びに応えず、剣を振り抜いた。


 轟音と共に僕とヴェルダンは弾き飛ばされ、背中を石畳に打ちつけた。

 肺が焼けるように痛む。立ち上がらなければ終わってしまう。


「ヴェルダン……!」

 僕は声を張った。

「これは父さんとの戦いじゃない! 僕たちの未来を賭けた戦いだ!」


 ヴェルダンの赤い瞳が揺れ、やがて決意の光に変わった。

「……ああ。父さんを越える。俺の手で!」


 黒騎士の剣が再び振り下ろされる。

 その一撃に抗うため、僕とヴェルダンは同時に跳び出した。


 白き炎の剣と赤い瞳の槍が交差し、夜空に閃光が走る。

 父と子、そして僕。

 三つの刃が広場でぶつかり合い、運命を決する戦いが始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ