第14話 赤い瞳の真実
白き炎を纏った僕の剣と、ヴェルダンの槍が同時に黒騎士へ迫った。
火花が散り、轟音が広場を震わせる。
「はぁっ!」
ヴェルダンが叫び、渾身の突きを繰り出す。
黒騎士は剣を閃かせ、その一撃を弾いた。
だが、僕の剣がその懐をかすめ、白き炎が甲冑を焼く。
「……!」
黒騎士が初めて一歩退いた。
その瞬間、仮面に大きな亀裂が走り、破片が石畳に落ちる。
露わになったのは――赤く燃える瞳。
「っ……!」
息が止まった。
ヴェルダンと同じ、深い血のような赤。
「な……ぜ……」
ヴェルダンが硬直する。
「この瞳……俺と……同じ……」
黒騎士は沈黙したまま剣を構え直し、赤い瞳でヴェルダンを射抜いた。
「やっぱり……そうなのか……」
ヴェルダンの声が震える。
「父さん……なのか……!」
その名が、胸の奥を鋭く刺した。
僕の父親ロドルフの親友であり、勇敢な騎士――ダーグル・スタール。
まさか、目の前の黒騎士が……?
「ヴェルダン!」
思わず叫ぶ。
「考えるのは後だ! 今は生き延びるんだ!」
「……分かってる!」
ヴェルダンが槍を握り直し、赤い瞳を燃やす。
黒騎士の口元がわずかに歪んだ。
「力を求めるか……守るために戦うか……」
低く、岩を砕くような声が広場に響く。
「答えを見せてみろ、ヴェルダン」
剣が閃いた。
地を裂く一撃が、夜空を貫く。
赤い瞳と赤い瞳がぶつかり合い、火花が雨のように散った。
その狭間で、僕は白き炎を纏った剣を握り締める。
この一瞬――父子の因縁が、今まさに決着へと向かおうとしていた。




