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パーティー(?)が終わって、部屋へ戻った。
このドレスはやはり、ただのメイドには不相応すぎると思ってすぐ着がえた。
すてきで着心地がよくても落ちつけないのはいやだ。
そういえば、ドレスのことも部屋のことも話しそびれた。
本当はベッドにダイブしたいところだけど、さすがにはしたないから腰かけるだけにした。
窓の外を眺めると、日はだいぶ傾いて空は赤く染まっている。
とても美しく、どこか不気味だ。
「ラナ様!たそがれてますけど、今日はまだ終わりじゃないですよ!とりあえず湯浴みです。あっでも、お腹がすいているようでしたら先に軽食をとりましょう」
「お腹はすいていないから大丈夫。でも、とりあえずってことは、この後にも何か...「大変ですっ!!」
1人の使用人が部屋にかけこんできた。
「伯爵領で...伯爵領で大量の魔物がっ!!」
「伯爵領!?お父様の領のこと!?」
「はいっ、先ほど急な知らせが入たのです!伯爵夫妻と公爵様は討伐へ、前公爵夫妻は公爵領へ向か準備をされていますっ!」
「私も行くわっ!準備をしてっ!」
「それはっ...できかねます」
「なんで!我が領の危機なのよっ!」
「ですがっ!!ラナ様はもう公爵家の方なのです!公爵様がこの屋敷を留守にする以上、あなたにはこの屋敷を守る義務があるのです!」
「そう、そうね...。皆が無事だといいけれど...」
「大丈夫、大丈夫ですよ、ラナ様。伯爵様はあの水害でも死者をださなかったですもん!今回だって皆助かります!それに、あの"氷の騎士様"が行くのですよ!あの負けなしの公爵様を前にすれば魔物なんて小さな虫さんと一緒です!」
「それもそうね。って、小さな虫はけっこう厄介じゃない?」
「そうですか、じゃあ何がいいんだろ...」
「ふふっ、レナ、ありがとう。公爵様が帰ってくるまで、この屋敷を一緒に守りましょう!」
「ラナ様...!はい、もちろんですっ!もし長期戦になっても物資の供給は安心です!なんてったって、水害からの復興の1番の功労者のラナ様がいますから!」
「レナったら大げさよ?1番なんてそんな...ふふっ」
「ふふっ。ラナ様、ちょっと失礼しますね」
レナにハンカチをあてられた。
いつのまにか泣いてしまっていたらしい。
心配で、でも安心な、不思議な感覚。
レナがいてくれてよかった。きっと、大丈夫。
そうして私たちは、これから来る大変な日々を前につかのまの安息を得た。




