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なろう処女作です。
ふわっした中世ヨ一口パ風の異世界ものなので、温かい目で見てくださると幸いです。
「ラナ、お前は可愛い、自信を持つんだ。」とは父の言葉。
「粗相だけはしないでね。それからこれが、いちばん大切なこと。あなたらしく生きなさい」これは母の言葉だ。
私は今日から公爵様の家でメイドとして働く。曲がりなりにも伯爵令嬢である私がメイドとして働くのは、なんというか、その、我が家にはお金がないからだ。
3ヶ月前、我が伯爵領で大規模な水害が起きた。領民の多くは穀物を売ることで生計を立てているため、路頭に迷う人は後を絶たない。
そんな領民たちに食料を配り復興の手伝いをしたことで、領地は活気を取り戻し以前のような生活を送れるようになりつつある。
しかしだからといって、ウチが儲かるわけがない。よって貯蓄はどんどんすり減り、今では新作のドレスどころか執事やメイドの給料を払うのもやっとという状況だった。
そんな我が家に手を差しのべてくれたのが、これから私が仕えることとなる、公爵のハルギア様だった。
以前参加した夜会で姿をお見かけしたことがあるが、どこかミスリアスな雰囲気を持つ大変見目麗しい方であった。同じ年頃の侯爵令息と話していたが、かすかに聞こえる会話からは、知的な印象がうかがえた。
しかも25歳という若さで後継ぎではなく正式な公爵。女性人気ははかりしれない。
見るたびに可愛らしい、もしくは美しいよそおいの令嬢方があたってはくだけて、を繰り返していたから、本来であれば私なんぞが関わることなどないような人だったのだ。
しかし、運悪く災害によって困窮していた我が家に、公爵様はある提案を持ちかけたのだ。お宅の令嬢が欲しい、そのかわり大量の支援をするという感じだ。
こんな都合のいい話なにか裏があるのかと疑いもしたが、公爵様は私や家族、領民たちにとって悪いようにはしない、と誓ってくれた。
この国では神との誓いは破ることのできない、絶対的なものとされている。だから、私は公爵家のメイドとして働くことになった。
正直なんでそうなったのかはわからない。
令嬢として育られてきた私には、メイドとしてのスキルなんてないし、我が家の下働きの方がよっぽど役に立つと思う。
でも、公爵様にとって少しでも私が必要な人材になれるなら、それはとても喜ばしいことだと思う。
どうせ水害のときに婚約者には縁を切られたのだ。
公爵様に、お前はもういらないと言われるまでの間は自分にできることを精一杯やろう。
そう決意して、私は馬車に乗り込んだ。
ラナちゃん、いい子です。
少しでも面白い!と思ってくださいましたら、お星様をポチっとしてくれると作者が喜びの舞を舞ってたんすのかどに子指をぶつけます!(因みに作者の部屋にたんすはありません。)