遺伝子の不思議を見た。
親と子のギャップってかわいいですよね。
夕食を終え、イオと二人で部屋に戻る途中に綺麗に管理された庭を見つけた。なんとなく自分の置かれた状況を理解したけれど、食事内容を見て、気がめいってしまった。だから、庭に出て、自然を感じたかった。
私はイオに庭に出ることを伝えると、イオも一緒についてきた。
庭は所々に明かりがたかれているので、そこまで暗くはなかった。私は当てもなく庭をふらふらしていると、一人のガタイのいい中年男性と遭遇した。
「お、オシリス。もう良いのか?」
「ちょっと、お父さん!オシリスお坊ちゃま!もしくはオシリス様って呼ばないとダメだって、いつも言ってるでしょ!」
「あー、そうだったな。わりぃわりぃ」
え、このボディビルダーみたいな人が、イオのお父さんなの!?イオは華奢なのに?!遺伝子どうした!?
「で?何をそんなに思い悩んでるんだ?」
イオのお父さんは腰を曲げ、私と同じ目線にして質問をしてきた。
「いえ、その……、知らないことばかりで、どうしたらいいのか。と悩んでいました」
「知らない?何を知らないんだ?」
「……なぜ、父は亡くなったのか。なぜ、ここまで貧しくなってしまったのか。とかいろいろです」
一番知らないこと。分からないことは、なぜ私がこの世界に転生したのか。前世の父によく『外が暗い時には、難しいことを考えてはいけない。重く、出口が見えなくなるから。』と言われていたけど、その言葉を気にできないほど、深く考えてしまった。