表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/35

思い出すなら、今でしょ!

私はお母様の執務室を出ると、カイヤの家へと戻った。


「おぉ、お帰りなさい。オシリスお坊ちゃま」


「ただいま!聞いて!来週の月曜日に海に行くことになったよ!」


私は嬉しくて、つい自分のおじいちゃんに話す感じで言った。


「ほう。それはそれは。……セレを作りにですかな?」


「うん!魔法石を使わずにセレを作れたら、この領はもっと豊かになるはず……。そのためにも色々勉強と研究をしなくては!」


私の言葉にカイヤは頷いてくれた。


「では、海水からセレを作る方法について、説明しましょうかな」


「!カイヤはセレを作れるの?」


カイヤは椅子に私を座るように促したので、素直に従った。私が座ったことを確認したカイヤは、棚から一つの巻物を見せてくれた。


「これは、儂の息子が昔セレを作る工場で働いていた時にもらったものじゃ」


巻物についていた紐を外し、巻物を広げテーブルの上に置いた。巻物には、セレを作るための流れが書いてあった。


「息子は今、この領地を離れ首都で生活をしております。その時に預かったのです。『いつかセレ作りが再開したときに必要だから』と言って」


巻物に書かれている内容はこうだった。


------------------------------------------------------------

1.海水を汲み続ける。

2.海水を沸騰させる。

3.沸騰させるとセレができる。

4.セレができたら、魔法石で不純物をとる。

------------------------------------------------------------


「……これだけ?」


「そうですな。これだけです。ですが、最後の工程が何よりも大切だったと言っておりました」


「そ、そっか……」


(あれ?入院してた時にテレビで見た方法は、+と-がどうたらこうたらって言ってたような?それが不純物なのかな?でも、順番が違う?)


私は口元に左の人差し指の側面を当て、考え込んだ。


(思い出せ……。思い出せ!今思い出さないで、いつ思い出すのよ!)


私があまりにも険しい表情だったのが気になったのか、カイヤが心配そうに見つめていた。


「お坊ちゃま、大丈夫ですかな?」


「あ、はい。だいじょ……、カイヤ、それは何ですか?」


私はカイヤが立っている後ろの棚にあった、金属製の棒を指差した。


「?あぁ、これですかな?……これは、園芸用のかごを作るときのワイヤーですな」


カイヤはそう言うと、私にワイヤーを見せてくれた。


「この一番太いワイヤーを支柱として使い、この中くらいのワイヤーは支柱と結合するために使うんです

よ。あぁこの細いワイヤーは茎や葉をきれいに見せるために使います」


私はカイヤからワイヤーを預かってまじまじと見つめた。


「このワイヤーは、何製ですか?」


「これは、銅線ですな。鉄は錆びやすいので、銅線を使い、最後はコーティングします」


(あ、なんだっけ?理科で習ったやつ……。電気分解?だった?実験したことがあるはず……。いや、その前に、この世界に電気という概念がないよ、ね……)


そう、この世界はろうそくに火を灯したり、魔法道具を使って部屋や道を明るくしている。


(つまり、電気の代わりを作らないといけない……?)


「……カイヤ、どうしよう……」


「どうされましたかな?」


「セレ……、作れないかもしれない……」


私の言葉に、カイヤは少し困った顔をした。


「……まだ、何も始まっておりませんぞ、オシリスお坊ちゃま」


「え?」


「始めから成功するのであれば、誰も苦労なぞしません。たくさん失敗し、たくさん考えた先に成功があるのです」


「あ……」


「まだ時間はありますぞ。今から考えれば良いのです」


カイヤはそう言うと、ウインクした。


「そ、そうだね!まだ何もしてないもんね!」


私はカイヤの言葉に大きく頷くと、立ち上がった。


「ここに紙とペンはある?作らないといけないものを書き出そうと思うんだ……」


「ええ、勿論」


カイヤが棚にあった紙とペンを用意してくれている間、袖を捲り気合を入れた。


(絶対に電気を作って、セレを作るぞー!!!)


さぁ、理数壊滅的だった私の、テストのためだけに覚えたことを、今こそ思い出すときだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ