童話投稿を増やす際の障害はなにか
タイトルだけで「俺にケンカを売っているのか!」と血圧上がった方、スティ!
見落としていたのだけれど、小説家になろう運営では公式企画として「冬の童話祭2024」というのを2023年12月14日から2024年1月11日まで行っていた。今回は416作品、2012年からで通算13回目、4653作品(←手計算した)が参加している、とのことだ。
最初に知った時、「何かの間違いではないか」と思った。なろうと童話は相性が悪い、少なくとも小説家になろうサイトと童話の読者(ターゲット層)は相入れない、と考えるからだ。
「冬の童話祭2024」のFAQから1つ引用する。
>>Q:童話の定義を教えてください。
>>A:「幼年、児童に向けた内容の読み物」としております。
>> 残酷描写等に関しましては児童が読むことを前提に考えていただけますと幸いです。
書店や図書館であれば、保護者や教員関係職員などが選択して子どもに勧めたり、子ども自らが手にとって読む本を選ぶ。なろうでそれを行うとどうなるか。
なろうサイトはログインせずとも(それも検証用に用意したまっさらの端末でも)数時間後または翌日にはエロ広告(微エロであってもリンク先は18禁サイト)が出てくる。アクセスしている人の年齢に関係なくエロ広告を出す仕様になっている。更には、なろうサイトにアクセスした後では、Yahoo!JAPANのサイトやアプリでも例のTOPTOONのアレが出るようになる(汚染される)。
結果として、なろうサイトは「幼児・児童に向けた内容の読み物」を載せても読者たる幼児・児童には見せられない。また、なろうサイトにアクセスした端末は、他のサイトに行った時にも不適切な広告が表示されるようになるため、幼児・児童に端末自体を触らせられなくなるし、保護者等もTOPTOONのアレにずっと悩まされることとなる。この状況で、自分が読む目的の大人の愛好者を除き、企画を閲覧する人がどのくらいいるのだろうか。
もっともフィルタリングソフトとその設定強度によっては、小説家になろうサイト自体が表示されない(アクセス禁止)ため、問題は起こらなくなる。保護者等が見つけてきた作品を幼児・児童が読めないことがあるくらい。
この企画、誰が、どのような環境で読む(さらにポイントを入れる、感想を書く)と想定しているのだろうか。それとも「小説家になろうサイトは作家のためにある」ので、読者の存在はノイズなのだろうか。
サイト運営のために広告を表示する。これは正当な行為である。しかし、全年齢サイトにエロ広告(リンク先は18禁サイト)を表示するのは、なろうサイトの価値を毀損している(なろうの18禁サイトにエロ広告を表示する分は、年齢認証後なので法的道徳的に問題ないと考える)。
規約から引用する(規約ページにもエロ広告は表示されている)。
>>第14条 禁止事項
>>6.わいせつ(小説家になろうのガイドラインに抵触するものを含む)、児童ポルノ又は児童虐待に相当するテキスト等の情報(以下、本号において「これらの情報」といいます)について、次に掲げるいずれかの行為を行うこと。
>> (ア)これらの情報を投稿又は表示する行為。
>> (イ)これらの情報を収録した媒体を販売する行為。
>> (ウ)これらの情報を収録した媒体の送信、表示、販売を想起させる広告を投稿又は表示する行為。
>>12.次に掲げる内容のテキスト等の情報を、本サイト内の投稿可能な箇所に投稿し、又は他のユーザにメッセージで送信する行為。
>> (エ)アダルトサイト、ワンクリック詐欺サイト、ウィルス等の有害なコンピュータプログラム等を流布させることを目的とするサイト等当グループが不適切と判断するサイトに誘導するテキスト等の情報(単にリンクを貼る行為を含む。)。
これらはあくまでも運営側が利用者に対して求めていることであって「運営側は規約に縛られない」が、運営側が「窓を割りまくって」いてはサイトが荒れる元になるし、黙って立ち去る人も出てくるだろう。
小説家になろうサイトはラノベ専門、その中でも異世界転生/転移もの専門サイトに見られることがあるが、実は限っていないし、運営も以前から異世界転生/転移でない作品を集めようとしている様子は見られる(異世界転生/転移は登録必須キーワードであり、手間はかかるが除外して検索することが可能)。確かに他企業とのタイアップコンテストは実質ラノベが求められるが、「夏のホラー」「冬の童話祭」といった独自企画でラノベ以外も集めようとしている。
理由はなんだろう?小説投稿の総合サイトになりたいからだろうか。
というか、ラノベって本当に売れているの?。うちの子どもたち(中高生)も周りの若い同僚もラノベ読んでいないし。ラノベというと新井素子と高千穂遥まで(コバルト文庫はTL化で離脱)、田中芳樹と神坂一は(妻の蔵書を)まあまあ読んだ、という私は疑問を持った。
2024年2月27日19時のAmazon売上ランキングを見ると、なろう異世界もの原作のコミックが10位、時代物の文庫はラノベにちょっと掠っているかも)が12位、ラノベみたいなタイトルのエッセイが14位、MF文庫Jだからこれはラノベかな?という文庫が17位、SNSで話題らしい漫画が21位、本屋大賞を取った映画原作本が35位、っぽいけど違いそうな映画原作本が38位、スピリチュアルぽい漫画が48位、と、ここまででラノベ2冊。51位〜100位はゼロ。
紀伊國屋新宿本店のランキングを見ると6位と9位で2冊/10。大型書店ではそれなりに売れているのだろうか。ちなみに2位は絵本(児童書)。
地元のコミックとラノベが充実している本屋(まあまあ大型店)ではラノベコーナーに人がいない。
ラノベ、まずいよ。そりゃあ、今の若い子たちは金がないかもしれないから、ヘタしたらYouTubeかTikTok、Instagramのリール動画ばっか見てる。電車の中だって、本読んでいない。これじゃ、なろうから書籍化したって続刊出なくなっちゃうのも仕方がない。
まずは本を読む、小説を読む人を増やさないと、将来は無い。「だるまさんが」シリーズや「いない いない ばあ」「はらぺこあおむし」あたりの絵本から触れて、できれば公共図書館にも出入りして童話の読み聞かせに参加して、小学校に上がったら教科書の児童文学とかを学校図書館で読んでくれたら、「もっと別の」ってラノベも読むかもしれないけど。
このままではラノベ読者は「大きなお友達」だけになっちゃう(我が家では英才教育失敗した)。
小説家になろうサイトとしても、(金がなくても楽しめると)小学生中学生から出入りしてくれれば、読者や作者の拡大につながる筈。童話企画で子どもが(じゃなくとも親世代が)居ついてくれれば。
でも今は、「エロサイト見てる〜」と友人に囃し立てられて終わり、だものな。
SFなんてもっと以前に斜陽しているんだから。ハヤカワ文庫の抜け(絶版)多すぎ問題。