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オブリヴィジョン〜意志の旅路と彼方の記憶  作者: 縁迎寺
EX、SSまとめ・ペリュトナイ編
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SS04.番外研究・ナイトコールズ編①

若干の焦りを抱いています。

 俺は魔術を専門分野としている。それは昔から変わらないことだ。しかし最近になって魔術研究に行き詰ったこともあってか、他の分野についても興味を抱く余裕が出てきた。そんなわけで適当に蔵書を取り出しては開き、閉じて戻しを繰り返していると、不意に一冊の本が重い音を立てて落ちた。見た目と音通りに重いそれを戻そうとした俺の目に、その表紙が映る。黒一色の表紙には丁寧な金細工の文字で『ナイトコールズ調査書』と記されていた。繰り返すが、俺は魔術を専門分野としている。とは言え、流石に専門外の文書もいくつか所持している。こういったものが、研究の更なる発展に繋がることが大いにあるからだ。だが流石にこの本は、それにしては大きすぎる。一体俺は何処で、この本を手に入れたのだろうか。しかし、だ。


「まあ、こういうのも悪くはないかもな……」


俺はその重い本を読み込んでみることにした。ナイトコールズと言えば、今なお詳細が碌にわかっていない存在だ。古くから人々の記録などにその存在が残り、時には大きな出来事を起こしている。それにも関わらず、詳細な研究成果はまるで出回っていない。しかし、この手にある正体不明な本がその手掛かりとなるかもしれない。……面白いじゃないか。ならばこれを使って、俺はナイトコールズの研究に着手するとしよう。


「……まずはナイトコールズ関連の書物を探すとしよう。……基本から勉強し直さないとな」


俺の中で燃え上がるこの好奇心のままに、俺は書庫へと向かっていった。


 調査書の前に、まずは基本的な情報から見直すこととする。少しでも基本の認識に誤りがあれば、その後の踏み込んだ研究に致命的な支障が出るだろう。というわけなので、まずはおさらいからだ。


「ならばまずはこの本だな……」


俺が手にした本は『再編・仄暗い夜たち』と題された手ごろなサイズの物だ。これは各地に伝わる伝承をまとめたものであり、学術書の類ではない。大衆に向けられて編纂され、流通しているものだ(まあそれにしたって高価なものではあるのだが)。しかし大衆向けであるが故に、読みやすくわかりやすくなっている。基本的な情報を確認するにはうってつけだろう。


「しかし用があるのは本編ではなく前書きなんだがな……」


生憎、本編の内容は今回の研究には関係ない。そこは後で気分転換がてら読むとしよう。内容いわく、この通りだ。


 本書に登場する、珍妙で怪奇な存在たち。それらは後に『ナイトコールズ』と呼ばれ、我ら人間にとっての脅威となっている。読者諸君には、まずナイトコールズがいかなるモノかを解説しようと思う。ナイトコールズとは、我ら人類を含めた生物、それらとは異なる生命体だ。彼らがどのようにして生まれていくのかは、未だにわかっていない。その辺りは博学たる諸氏たちに任せるとして、ここでは数少ない判明していることを記そうと思う。まず、ナイトコールズの危険度についてだ。ナイトコールズと一口に言っても、その種類は多岐にわたる。その中には危険度の低いものから、高いものまで様々だ。そういった危険度に応じて、呼称も異なってくる。本書の各項目にも、そういった記述があるのでここで覚えてもらいたい。まずは危険度の低いナイトコールズたち。それらは『ディスペイジ』と呼ばれる。危険度が低いと言っても、中には人類を襲う凶暴な種も存在している。しかし幸いなことに、それらは人の手でも十分に対処が可能な程度だ。精々、野生動物と大して危険度は変わらない。しかしそれらの習性は等しく未知であるため、もし遭遇することがあっても最大限の警戒は怠らないことだ。続いて危険度の高いナイトコールズたち。それらは『ディスクワイア』と呼ばれる。その危険度はディスペイジの比ではなく、生物と比較するのも馬鹿らしくなること間違いないだろう。これらを相手にできるのは、かの神話に語られる英雄たちか、精鋭たちの集う軍隊だろう。それほどまでに、それらは危険度が高いのだ。そして最後に、強大な力に加えて高い知性を持つモノたち。それらは『ディシュヴァリエ』と呼ばれる。しかしそれらに関しては、今ある情報は余りにも少ない。ただ強大な力を持ち、高い知性を持つ存在であることしかわかっていない。そしてそういった性質上、彼らは人間社会に溶け込んでいる可能性も無いとは言い切れない。彼らの正体とはいかなるものなのだろうか。その答えを明かすのは、読者諸君なのかもしれない。

 次に単純なことではあるが、ナイトコールズ全体に共通する事項について。彼らの体のどこかには、まるで『鎧』のような箇所がある。大きなものから小さなものまで、どのような個体にも、だ。まるで騎士であるかのように武装しているのだ。そして他者に害を成すような危険なものには、まるで剣のような『刃』の武装があるのだ。もしも読者諸君がナイトコールズに対峙した時、刃を持っていたのなら即座に逃げることをお勧めする。




新しいSSでした。これはスクラがナイトコールズ研究を始める話となっています。これも少しずつ進めたいと思います。

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