2話 ギルド
そうして着いたのは先程見ていた街の中。
一際大きい…お城のような建物の前で立ち止まったので、もしやここに…?と思ったが違うようだ。
「ここはこの街を収めているミールディ城。一応先にご紹介しておきますね。さて、僕達が行くのはこの先にある…そう、あそこに見えるここよりは少し小さめな建物です」
そうして手を繋いだまま、彼が指さした建物へ向かう。
中に入れば楽しそうに話しているものが多く、私たちが入ってきても特に気にされる様子は無かった。
「では、改めて…あれ?そういえば名前、言ってませんでしたね。僕はアイル、アイル・ヴィエトルです。そしてここは…」
「ギルドだよ。君かな?異世界からの訪問者は」
アイルと名乗った青年の言葉を遮り、ここをギルドだと紹介してくれたのは背の高い女性。
勝ち気そうな赤い目、それとは反対のエメラルドのような長い髪。それを高い位置でポニーテールにしている。格好はこの青年とほぼ変わらず、西洋の騎士が着ていそうな服を着ていた。全体的に緑色をしている。
「私はここの長。ちなみに私も異世界から来ていたりする」
笑いながらそういうが、自分以外にも異世界から来た人がいるのか…。そう考えるとここに迷い込む人は多いのかもしれない。
「おっと、私の名前がまだだったね。私は斉川真琴、以外とこの名前でも通じるから他にも異世界から人は多いんだよね。私も来た時びっくりしちゃったよ。まぁ私が来た時の年齢は…うん、そこはいいとして…」
とにかくここの案内だ。と私の手を引いてギルドの中を案内してくれた。
ここはクエストの請負所、こっちは受付、あそこはトイレ、あっちは仲間募集…等様々な場所を丁寧に教えてくれた。後からアイルさんも着いてきていた。
「そして最後に…」
段々と奥の方へ行っているのは分かっていた。
これから何をされるのかは分からないけれど。
アイルさんが言っていた通りならば、ここに来た理由が分かるはず。少し気合いを入れ直して開かれた扉の先に進んだ。