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月夜譚 【No.101~No.200】

追いかける背中 【月夜譚No.141】

作者: 夏月七葉

 宙で回るコインに目を奪われた。

 照明の光を反射してキラキラと煌めくそれは、最高地点で一瞬止まると、まるで引き込まれるかのように綺麗な手の中に落ちた。コインを握った彼は、目を丸くする少年ににっこりと微笑む。

 少年が、マジックを生まれて初めて目の当たりにした瞬間だった。

 それから十年。彼が魅せてくれた華麗な奇術を、少年は一度たりとも忘れたことはなかった。

 季節の節目のクラス会。そこで少年がマジックを披露してみせると、クラスメイト達は歓声を上げた。

 最初は見様見真似で失敗も多かったが、練習を重ねる内に、自分でもオリジナルのマジックを考えられるようになってきた。

 だが、彼のマジックにはまだまだ程遠い。彼に追いつくためには、もっともっと、練習や技量が必要だ。

 あんな風に、コインを投げたい。それだけで人を惹きつけるような、そんなマジシャンを目指すつもりだった。

 だから、クラスメイトの歓声だけで満足はしてはいけない。けれど、きっとこの光景はずっと忘れないだろう。

 いつかもっと大きなステージに立った時、一人一人の笑顔を見られるように――。

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