悪魔との同居生活なんてのぞんでない!!!
恋に恋する女性が、経験値ゼロのまま30になった。
引きこもって生活して数年。
恋愛経験も豊富で女に困った事ない悪魔な男と同居する事に。
初恋を患わせた者同士のラブコメになってゆくとおもいます。
お時間が有れば読んでいただけたら嬉しく思います。
宜しくお願い致します。
(恋はするもんじゃない)
それは何度も何度も何度も何度も言い聞かせてきた私の生きる上での座標である。
恋に恋する中学生みたいな恋愛に昔から憧れていた。
漫画やドラマや映画みたいなシンデレラストーリーに憧れていたけど、小学生の頃からどこか冷めていて、理想と現実の厳しさを悟ったように日頃から安定を求めていた。
お金にはドケチだから、あまりファッションや化粧とか髪型も気にはしない方で、流行には疎かった。
だから、王子様みたいな人なんてはなから求めてなくて… ただただ、普通に優しくて、私を好きで居てくれて、大事にしてくれる年収は生活していけるくらいのそこそこで、顔もイケメンは色々怖いから、どこにでも居そうなモブ顔でも良かった。
宝石とか旅行とかお金もかけなくて良いから、家デートとかに憧れて好きな人となら、近くのスーパーで買い物したり公園で過ごしたりそんな当たり前な日常を過ごしたかった。
全部が分からなくても理解できないのは当たり前だから、少しでもお互い尊重して気遣い合える平和な恋がしたかった。
….….…でも、現実は毎回最低だった。
社会人になり、何社も落ちまくってやっと受かった食品工場の仕事を毎日毎日ただこなす事で月日が流れ、出会いも無く、元来、人付き合いが苦手な私は友達すらもでき辛くて。
数少ない友人から聞いた正直な私の第一印象は、見た目から真面目な所はいい事だけど、妥協を知らない完璧主義や神経質、気難しい、近寄りがたい、目つきが怖いなど良いところが中々見つけ辛く、ぶっきら棒な物言いのせいで、本心が周りには分かりづらいため、他人と会話は中々うまくは続けられなかった。
黒髪や鋭い目つきを若干でも和らげたくて明るいブラウン系統色に髪染めしたり、お洒落眼鏡をかけたり、可愛い小物を持ってみたりしたけど、女性にしては若干…いや、かなり低いハスキー声と170以上ある身長や足のデカさ、男性服を好み、大体黒やグレー、ワイン色に近い紅色や白色のかっちり系の服を好んで着ていたら、裏でのあだ名が宝塚と呼ばれていた。
男性よりも女性から頻繁に何故かデートに誘われて。
いや、可愛い女性は好きだけど、それは恋愛では無くて。
ストーカーや逆ナンパに遭遇したり追われたり襲われたりもして。
終いには、それがきっかけで外に出る事が怖くなり、仕事も行かなくなり、実家で引きこもりになってしまったのだ。
そんなこんなで気がつけばあっという間に数年の時が過ぎた頃、両親の怒りの鉄槌を突如私は受けることになった。
「……………………はっ?…………えっ、え。ちょ、ちょっと待って!!どういうことよ!?母さん!!父さん!?」
「待たん!アンタ、いい加減にしいや?すこーしだけ甘やかしたら調子に乗ってからに。仕事もしないで、部屋に引きこもってばかりで、昼夜逆転してゲーム三昧、運動しないわ日中起きてきたと思ったらバリバリぼりぼりリビングでソファーに横になってお菓子を食べては食っちゃ寝て食っちゃー寝て不摂生三昧しおってな?もう堪忍袋の尾が切れたわ。許さへんからな」
「綾、父さんは体が心配なんだよ?だって、あれだけ細かったお前が………今は…その、……見る影もなく某有名キャラクターのベイ○ックスそのものだろう?どんなに体系が変わろうが可愛い娘に変わりは無いが、将来を考えたら父さん達ももう若くないから、母さんとずっと話し合った末の苦しい決断なんだよ。」
「綾!アンタ今日から家を出てって貰うから。一切の言い訳は聞かん。ただし、まぁ、私も母親として馬鹿でどうしようもない娘でも可愛いには変わりないから、行き先はちゃんと決めてやったから、今日からここにお世話になりなさい。」
身体中から脂汗やら冷や汗が止まらない。
頭が真っ白になりながら、母親と父親につい数十分前に真剣な怖い顔をしてリビングに呼ばれてから嫌な予感はしつつもついて行ってみれば突然突きつけられたの話を血の気がサーっと引くのを感じながら聞いていた。
ただ、うちの両親は言い出したら待ったが効かないのは子供の頃から知っているため、混乱しているのに冷静な所で、もう何を言っても受け入れてくれないのだけは悟っていた。
そのため、母親から、仁王立ちで白いメモ用紙を突きつけられたので、恐る恐る震える手で掴んで、書かれた文字を読んで見れば住所と電話番号が書かれていて………
「アンタ、優姫くんに世話になりなさい。」
「」
人間とは面白いもので本気で驚くと息が止まり声が出なくなるようだ。
実際私は失神した。
失神直前のわざとらしいくらいの和かな母親の笑顔だけが鮮明に脳裏に焼き付いた。
[橘 優姫]
悪魔との同居が決まった瞬間であった。