誓いの言葉
私たち第52期生は、今日、医療従事者として、新たな一歩を踏み出しました ーと、おきまりの言葉で大島さんの誓いの言葉は始まっていた。
私たちはすべての患者に博愛と平等の精神をもって接します。
私たちは患者の秘密保持に全力で当たります。
私たちは患者のために一番良い治療を施します。
私たちは患者の療養上悪いとわかっていることはいたしません。
私たちはすべての医療従事者と緊密な連携を図り、良質な医療に貢献します。
私たちは良薬を与え、悪薬は与えません。
私たちはジュネーブ宣言及びヒポクラテスの誓いを遵守します。
ここでヒポクラテスの誓いとジュネーブ宣言が書かれた二枚の紙に総代としてサインを書くのだ。わかる。ここまでは変わらない。
その後だった。
改めて、私たちが本日48名全員が、このメディカルセレモニーに出席できたことをここで感謝いたします。今日まで厳しくもあたたかく支えてくださった先生方、慣れない寮生活の中を昼夜問わず支えてくださった寮母さん及び舎監さん、そしてまた、はるばる実家から私たちをあたたかく送り出してくれた両親に感謝の意を改めて表したいと思います。
私たちはこれから医療従事者として羽ばたきます。
私たちがまとっている白衣は真っ白です。白は画用紙の白です。何色にもすることが出来ます。
あなたは医療従事者として、今後どんな色の白衣をまといたいですか?
また、あなたは医療従事者としてどんな絵を白衣に描きますか?
私は今、壇上で白衣をまとったみなさんを見て、そんなことを考えています。
みなさん一人一人の白衣の色が、みなさんらしい、素晴らしい色になるのを楽しみにしています。また、今日、メディカルセレモニーにいらっしゃった皆様にも、まだまだ新米の私たちをこれからもあたたかく見守ってくださるようお願いして、私たちの言葉といたします。
この文章を付け足して、こっぴどく怒られたのよ、と大島さんは笑っていたっけ。メディカルセレモニーでは決められたあいさつ以外読んではいけないことになっている。
私も読もう。
大島さんががんばれ、と言った気がした。