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第29話 腹いせ

ちっ、この宝箱はハズレか。


え?でも防具入ってるよ?


防具なんざ鍛冶の町で買えるものしか入って無い。宝箱の当たりは合成素材だ。

高く売れるし合成に成功すれば強さに拍車がかかる。


待って、嫌な予感がするんだけど。僕たちより前に冒険者がこのダンジョンクリアしてたよね?なんで宝箱が中身があるままなのさ。


それは補充されているからですよ。


…………一応聞くけど、誰に?


ダンジョンのマスターに決まってるだろ。


あぁ……やっぱり嫌な予感が当たったよ。

……カルチャーショックが多すぎるよ……ここ。

溶けるスキュラの糸、自由になる体、涼しい顔の姉御、燃えて取り乱す吸血鬼。


ふむ、ちょっと範囲が広すぎましたか。

自分のブレスのせいでネクロマンサーの姿を見失ってしまいました。


「いきなり酷いです~。謝罪を要求します~」

地面を転がり、体についた火を消しながら吸血鬼が文句を言ってくる。


無言で自分の手のひらに爪を立て、少し景気よく血を流す。


そのまま手を吸血鬼に向けて振れば、


「きゃは~☆ありがとうございます~☆」

たった今までの不満はどこへやら、満面の笑みで食事を始める。


「魔力回復したならデバフをどないかしとくれ、力が出ーへん」

糸から解放された姉御は、ぐったりと地に膝をつく。


普通にデタラメばかりで知りませんでしたが、姉御たちってデバフ効くんですね。

不意打ち必須ですが。


「さて~、あのくそ程調子に乗った死体使いはどこに行きやがりましたかね~。すこーしだけ怒っているので~、実力を見せつけたいんですけど~」


吸血鬼がかなり不機嫌にそう言えば、

身体にかかったデバフが消え、気怠さが吹き飛ぶ。


ボコッ、ボコボコボコボコ……


まるで私たちのデバフが解かれるのを待っていたのか、壁から床から天井からとゾンビが出てきた。


出てきた……はずだった。


「不可解、何が起こった」

ミイラを出した本人も戸惑いを隠せないのか声が響く。


私たちの眼前には、出てきたはずの死体など、ただの一つすら無かった。


「あの~?その程度でどうこう出来ると思ったんです~?本当に僕を舐め過ぎです~」

先程よりさらに不機嫌に、そのデタラメはネクロマンサーに言い放つ。


「ふむ、……確かに舐めていたようだ。非礼を詫びよう。しかし、……」

言いかけて止まる。


「どうしました~?もしかして~、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


「――っ!?」


「そもそも出せたと思ってるんです~。それ、全部”嘘”ですよ~?というかあなたはまだ僕の”嘘”の中なので~、そこで何しようが無駄です~」


吸血鬼……本気で怒ってますね。


ネクロマンサーに心の中で手を合わせつつ、姉御の方へ向き直ると……


山のように積まれたスキュラの大軍が……。


「あかんなぁ。こないな奴らに捕まったんか……ちょい自己嫌悪やわ」


などと言いながらスキュラをぶん殴り、山に放り投げていく。


うわぁ、やることない。


まぁこのまま放置でも構わないのですが……なるべくモンスターの消耗は押さえたいので、ネクロマンサーの元へ交渉しに足を運ぶ。


「先程の契約の件なのですが……」


「あ、もう少し待ってください~。まだ満足してないので~」

「却下です。早く休みたいので」


ぷくーと頬を膨らませ、ネクロマンサーに重ね掛けしていた”嘘”を解除する。


「さてと、契約の件ですが、……結ぶか消されるか、お好きな方を選んでください」

「……傘下に下る」


すっかり意気消沈し地面にのの字を書き始めるネクロマンサー。


「では、あなたの能力や強さ、あそこで山になっているスキュラの話を聞かせて頂けますか?」

「承知……」


*


ふむ、

ネクロマンサー

得意属性 無(ゾンビ呼び出し) ステータス弱体化  弱点属性(光 炎 土)

死体さえあればゾンビを呼び出せるが、ゾンビは動きが遅く、光 炎 土属性に弱い。

本人の戦闘力も並み。魔法もゾンビ呼び出しとデバフのみだがデバフは我々Sランクにも有効な強さ。

と。


スキュラも普通に居るモンスターと何ら変わりがありませんし、Bランク……いえ、Cランクの上の方程度ですかね。


デバフ使うモンスターもそんなに珍しくはありませんし、

スキュラの糸も油断さえしなけば大丈夫でしょう。……私達みたいに。


忘れないうちに明日にでも資料を作りに行きますか。

各村への配布は連休明けでいいでしょうし。


「マデラー?終わったかいな?」


自分が吹っ飛ばしたスキュラに治癒魔法をかけながら、姉御が聞いてくる。


「えぇ、ダンジョンの中の情報は十分です。後は、このダンジョンがどの辺りに出来たのかを確認しなければ……」


「もうめんどくさいので~、化け狐のダンジョンの山辺りにぶち込みましょうよ~」


……それ楽でいいなぁ。

世界に”嘘”ついてそこにあった事にするのか。

……使い方ですっごく便利だなぁ。その”嘘”の魔法。


使っている奴が曲者過ぎるのが問題ですが。


「あの辺に……か。ま、ええんやない?」

と山の頂上のダンジョンのマスターからの了承も得られましたし、


「では、神楽の社のある山の中腹に、このダンジョンはあった。という事で」


「了・解・で~す☆」


ダンジョン内を、夜が包み込む。


*


「最初はびっくりしました~。まさかあっさり捕まるとは思ってもみませんでした~」

「がっつり油断しとったな。他のダンジョンでもあんな感じなん?」

「今回はスキュラの警戒が強かったから、ではないですかね。流石に毎回毎回あんな事にはなりませんよ」


無事に……ええ、無事に姉御の旅館に戻って来てみれば、

ツヅラオを抱き枕に満面の笑みで眠るリリスの姿があった。


こうしてみると、ぬいぐるみを抱いたまま寝るお嬢様みたいですね。


流石に僕は陽の当らない部屋で寝ます~。

と吸血鬼は別の部屋へ。


私も寝相の悪いハーピィを脇にどけ、夢の世界へ入っていくのだった。

ご愛読の程、ありがとうございます。


活動報告にて茶番を始めたのでそちらも併せてどうぞ。


休みの日に急に仕事が入るなんてありえないわー……無いわ……ないわ。


皆さまの応援を励みに、まだまだ続きます。応援よろしくお願いします。

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